1. タイヤサイトトップ
  2. サステナブルな社会に向けて。 YOKOHAMAも、挑む。
  3. =ADVAN CHALLENGE= 2023 PIKES PEAK INTERNATIONAL HILL CLIMB

2023年06月23日

=ADVAN CHALLENGE=
2023 PIKES PEAK INTERNATIONAL HILL CLIMB

アメリカ・コロラド州に「パイクス・ピーク」と言う山がある。山頂に向かう道は普段は観光道路として使われるが、年に1度だけコンペティションな風景に変貌する。それが世界最大かつ最強のヒルクライムトライアル「PPIHC(パイク・スピーク・インターナショナル・ヒルクライム」だ。実は初開催は1916年でアメリカではインディ500と並ぶ歴史あるモータースポーツとして高い人気を誇る。
その人気の秘密は全長約20㎞の峠道(それも標高2800~4301mと言う高地)を「いかに速く登ることができるのか?」と言う単純明快なルールだろう。以前は未舗装区間も存在したが現在は整備が進み全線舗装路面となる。

全長約20㎞の峠道

標高高く過酷なコース

ヨコハマは以前よりPPIHCに参戦するマシンにタイヤの供給は行なっていたが、より注目を集めたのは2009年の電気自動車での参戦だろう。モーター駆動ならではのパフォーマンスや応答性の良さはもちろん、高地が故に内燃機関は酸素密度の低下があるのに対して電気自動車はパワーダウンの影響がない強みもある。そんな電気自動車の“可能性”を証明するための参戦でもあった。

2011年には何とこのマシンにエコタイヤ(プロトタイプ仕様)を装着して参戦し、電気自動車の最速タイムを更新。更に2012年には市販の低燃費タイヤを履いて参戦、タイム更新を行なっている。つまり、グリップと転がり抵抗のバランスがモータースポーツシーンで証明されたわけだ。

その後、2022年には環境負荷を低減する技術開発の一環として、以前から研究開発を続けてきたサスティナブルな素材(サイドウォールのゴムを石油由来のブタジエンゴム→バイオマス由来のブタジエンゴムに変更)を使用した「ADVAN A052」が初投入されたが、2023年は更に進化を遂げた2種類のサスティナブルなレーシングタイヤが供給される。
その一つがEXHIBITIONクラスに参戦する#42 2021 TESLA MODEL S PLAID(ランディ・ポブスト選手)に装着される「バイオマス由来のタイヤ(ADVAN A005:スリック)」だ。

#42 ランディ・ポブスト(写真は2022)

バイオマス材料によるタイヤ

その特徴は大きく4つ。
・サイドウォールを全量バイオマス由来のブタジエンゴムに置換。
・再生可能原料比率を向上させたカーカスの採用。
・マスバランスSBR化したCAPの採用で再生可能原料比率を向上。
・生産時の電力を再生可能エネルギー電気に切り替え。

もう一つがPPIHCの最上位となるUNLIMITEDクラスに参戦する#49 2018 Wolf GB08 TSC-LT(ロビン・シュート選手)に装着される「サスティナブル素材比率33%タイヤ(ADVAN A005:スリック)」である。 実はこのタイヤ、2023年シーズンよりスーパーフォーミュラに供給を行なっている物と同仕様となる。その特徴は大きく6つ。
・天然ゴムの比率向上
・アブラヤシの実やオレンジの皮から生成したオイルなど各種自然由来の配合剤を活用
・リサイクル鉄の採用
・廃タイヤから再生したリサイクルゴムの採用
・マスバランス方式の合成ゴムを採用
・生産時の電力を再生可能エネルギー電気に切り替え

ちなみにPPIHCのコースは150を超えるコーナー、平均7%/最大10%の急勾配、そしてエスケープゾーンが皆無(ガードレールすらない箇所も)など、過酷かつチャレンジングなコースで、マシンのパフォーマンスに加えて、タイヤに対する性能要求は非常に高い。特にロビン・シュート選手はこのマシンで2022年のPPIHCを総合優勝しており2連覇の期待が高まるが、サスティナブル素材比率33%タイヤの性能がそれに貢献してくれることを期待したい所だ。

#49 ロビン・シュート(写真は2022)

サステナブル材料比率33%のタイヤ

この2つのサスティナブルなレーシングタイヤによるPPIHC挑戦は、6月25日だ。チームと共に新たなタイヤの可能性に挑むこの「ADVAN CHALLENGE」で、将来の高性能・高品質なタイヤの姿を描いていく。是非とも応援していただきたい!!