THE YOKOHAMA RUBBER
RECRUITMENT

絆を信じて

ONCE MORE
NEVER GIVE UP
STRONG TIES
TROUBLE
BELIEVE
M.T.
タイヤ第一直需営業部
2010年 新卒入社
法学部 法律学科 卒
EPISODE 1

積み重ねた日々

その日、彼のもとにお客様から1本の電話があった。長らく取り組んできた、次期主力車種にまつわる大型商談について話があるという。すぐに営業車に乗り込み、出発する。数分後、車は首都高に入り、スピードを上げる。後ろへ流れていく景色に、彼は馬上からの光景を思い出した。「あのときの気持ちは、馬術の大会本番前に似ていました。準備運動を行う馬場から、馬に乗り、本運動場へ向かう。あの時間に味わう気持ちそのものでした」。高揚感と緊張感が入り混じる、あの何とも言えないおぼつかない気持ち。日々の積み重ねが、実を結ぶか、否か。もう少しで、それが分かる。

学生時代は馬術に熱中していた。きっかけは、父の仕事の都合で香港に住んでいた子どもの頃にある。当時の自宅の窓から競馬場が見え、次第に馬に興味を持っていった。中学に入り乗馬クラブに通い始め、進学の際は馬術部のある高校を選んだ。乗馬クラブと違い、部活では馬の世話も自分たちで行う。「馬術は、いきなり馬に乗っても結果が出るわけではありません。馬との間に信頼関係を築く必要があり、そこがまた難しいところです」。ペアを組む馬と、大会に向けて練習を重ねる日々。ただ、どんなに大変でも、人馬一体となって風になる喜びは何事にも代えがたかった。

BELIEVE

青天の霹靂

横浜ゴムに入社後は、欧州・北米自動車メーカーの新車装着ビジネスを担当した。新車に装着される専用タイヤは、車両の企画段階から時間をかけて開発される。そのため、横浜ゴムは将来発売される車種の情報を収集し、仕様に沿ったタイヤを提案する。彼は、営業担当として関連部署と連携し、要望に応える提案をつくり上げることをミッションとしていた。

2017年1月、国内自動車メーカーの担当に異動してすぐ、大型商談に携わることになる。次期型製品であり、商談の規模は大きい。「その反面、コスト、目標性能、本数など、寄せられる要望は厳しいものでした。そこで、生産部門、設計部門と連携し、実現可能な線を探りながら提案をまとめ上げていきました」。加えて、コスト力強化のため、自社の海外工場での生産や設備投資も提案に含めることにした。

お客様に最終的な見積を提示した直後、事件は起こる。海外工場でトラブルが発生し、複数の生産ラインが稼働不可となってしまったのだ。復旧の見込みはなく、別件で生産が進行していた同じお客様のラインも、その中に含まれていた。「自動車メーカーの工場は、何万点もの部品が順序通りに納入され、稼働しています。あのままでは、すべての車両の生産が止まってしまう状況でした」

TROUBLE

諦めたくなかった

幸い、日本には約1カ月分の在庫が用意されていた。しかし、海外からの輸送を考えると、残された時間はわずかだ。稼働可能な新しいラインに移し替えることで復旧を見込む。もちろん、新たな生産ラインでも今までの性能を保たなければならない。試作品をつくり、性能評価を繰り返す。必要な金型は揃っているか、計画に遅れはないか、現地の責任者と英語でやりとりを続けた。「やっとのことで、生産ラインの切り替えが完了しました。復旧の兆しが見えた頃には、供給に対する責任の重さを、ひしひしと感じましたね」

最悪の事態は避けることができた。しかし、彼が気になるのはお客様からの信頼だ。トラブル発生後は密に連絡を取り、「困ったときはお互い様」と温かい言葉をいただいた。しかし、並行して進んでいた大型商談への影響は免れないだろう。それに、信頼度の低下は、その他の既存取引にも飛び火しかねない。それでも、諦めたくなかった。生産ライン復旧後もお客様のもとには足繁く通い、検討状況のヒアリングや、見積根拠の説明など、粘り強く丁寧に交渉を重ねた。

話は冒頭に戻る。彼のもとにお客様から電話があったのは、あのトラブルから半年が過ぎた頃だった。例の大型商談の結果を伝えられてもおかしくない時期である。車は目的地に到着した。

NEVER GIVE UP

あの喜びをもう一度

嬉しさよりも安堵のほうが先だった。何度も訪れていた、いつもの会議室。「これまでの信頼と、今後の期待値を込めて」というお客様の言葉とともに彼が聞いたのは、“発注”の2文字だった。「トラブルを乗り越えてなお『信頼』から受注できたのは、過去の先輩方が長い時間をかけて信頼関係を築いてきた成果であると思います。一歩間違えば、自分がそのバトンを落としていた。このプロジェクトは自分一人ではなく、多くの人の尽力の上に成り立っていることを実感しました」

それは馬術部でも同じだった。馬術は決して個人競技ではなく、厩舎や輸送、指導など、多くの人のサポートが欠かせない。さまざまな人物の協力を仰ぎながら、ゴールに向けて、地道な努力を続ける。提案の際に連携した生産・設計部門の方、海外工場のトラブルをともに復旧に導いた供給担当の方、上司、先輩、同僚、後輩。力を借りたすべての人の顔が、目に浮かぶ。一人ではたどり着けない地点に到達できる。そこに、この仕事の醍醐味があった。

提案に携わったタイヤが、新たに街を駆けることになるだろう。そんなことを思いながら、彼はお客様と別れて帰路につく。車は高速道路に入り、スピードを上げた。ふと、何とはなしに窓を開けてみる。後ろへ流れていく景色。車内に吹き込んでくる風。彼は馬とともに風になったあの喜びを、もう一度感じた。

ONCE MORE
COLUMN
横浜ゴムに入社を決めた理由は?
小さい頃から自動車が好きで、将来は自動車に関わる仕事がしたいと思っていました。なので、自動車メーカーや、部品メーカーを中心に就職活動を行いました。その中で横浜ゴムに入社を決めた理由は2つあります。1つ目は、海外進出に積極的で、英語力を生かせると感じた点。2つ目は採用面接を受けた際に、面接官の方が私のエントリーシートの内容を熟読し、理解していてくれ、一人ひとりに真摯に向き合っている姿勢を感じたことです。また、内定が決まった際も、「ゆっくり考えてから決めてください」と決断を急かされなかったことが印象的です。当時はリーマンショックの真っ只中。会社側からしても、就活生側からしても非常に厳しい環境の中、一就活生でしかなかった私に真摯に向き合ってくださったことや、人を大切にする風土に惹かれました。
職場の雰囲気はどうですか?
風通しが良く、オンとオフが非常にはっきりしている職場だと思います。オンのときは、お互い何でも相談ができる関係でありながら、チームとして仕事に真剣に取り組みます。役職など関係なく、役員の方々とも気さくに話ができる会社はなかなかないのでは? と感じています。オフのときは、皆で楽しくお酒を飲みに行ったり、仕事がひと段落していたら、休暇をとって各々がリフレッシュしています。また、新人社員の育成のために先輩社員がマンツーマンで指導する「ブラザー制度」など、人を育てることに労力を惜しまない文化があると思います。私自身、入社当初ブラザーを担当してくださった方は、今は海外に駐在されていて仕事上は関わることが少なくなってしまったのですが、帰国の度に一緒にお酒を飲みに行く関係が続いている、「お兄さん」的存在です。
出社。まずはメールチェックを行い、お客様へのタイヤ生産、納入状況を確認する。
営業車でお客様の会社へ出発。1時間30分ほど運転し近くのレストランで昼食。
お客様の会社に到着。面談資料の最終チェック。
お客様との面談。準備してきた資料をベースにプレゼンテーションを行う。
営業車で帰社。
先ほどの面談内容を上司に報告後、次回面談に向けた提案資料を作成し、定時で帰宅。
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