E :Environment
自然との共生

水と廃水

KPI

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項目 2022年度実績 2023年度実績
総取水量 (連結)8,247千m3 (連結)9,164千m3
  • バウンダリー拡大
リサイクルおよびリユースした
水の比率と循環水量※1
(連結)155%
12,796千m3
(連結)134%
12,289千m3
水の総消費量※2 (連結)14,693千m3 (連結)138,896千m3
取水によって著しい影響を受ける水源 (連結)
<絶滅危惧種について>
宮川(三重)、狩野川(三島)、金目川(平塚)に絶滅危惧種(RED種)有り。
<保護地域からの取水について>
保護地域からの取水はなく、該当なし。
(連結)
<絶滅危惧種について>
宮川(三重)、狩野川(三島)、金目川(平塚)に絶滅危惧種(RED種)有り。
<保護地域からの取水について>
保護地域からの取水はなく、該当なし。
水質および排出先ごとの総排水量 地表水 4,763千m3
地下水 0千m3
下水道 1,173千m3
その他 364千m3
地表水 5,817千m3
地下水 0千m3
下水道 1,301千m3
その他 439千m3
重大な漏出の総件数および漏出量 なし なし
排水などにより影響を受ける水域、関連生息地の場所、規模、保護状況、生物多様性価値 該当なし 該当なし
水質/水量の認可・基準・規則に関する違反 なし なし
  • 1 リサイクル・リユースした水の比率=循環水量÷取水量の比率
  • 2 水の総消費量=総取水量+循環水-総排水量 (循環水も考慮)

責任部門

各拠点
  • パフォーマンスは生産環境部会で管理しています。

考え方・目標

なぜ「水」が重要取り組み項目なのか
理由と背景の解説

横浜ゴムグループの水の利用については、各生産拠点におけるボイラーや生産設備の冷却等での水の使用(直接利用)と原料などの調達先様における水の利用(間接利用)の2つがあります。
直接利用については、各拠点が立地する地域により水リスク(物理的、規制、評判リスクなど)が異なります。そのため、各生産拠点の水リスクの特徴に合わせ、貴重な水資源を有効に利用することが重要と考えています。
また、天然ゴム等の原料の生産過程における間接利用についても、状況を確認し、必要に応じて適切な対応が必要と考えています。これは、調達先様の水に関するリスクによって原料調達ができない場合、私たちの操業を左右する重大な問題に直結すると考えているからです。

水の利用方針

国内拠点では水は潤沢に存在しており、循環型の資源として有効に利用していますが、海外拠点の中には水の使用に制約があるエリアもあります。そのため、立地するエリア毎の水リスク評価を実施し、適切な管理ができるように取り組む必要があります。一方、調達先での水の利用状況についても状況を確認し、水リスクが顕著に存在する場合には、協働して対策を講じる必要があると考えています。
そのために、2015~2017年度に検討を行い、当社の方針を決定しました。また、これらの進捗状況は、外部アンケート(CDPウォーターなど)やWEBサイトを通じ、広く情報を公開します。
  • 地域(行政)との協定など正式な手続きの上利用しています。

水リスク評価方法について

水を多く使用する生産拠点エリアについては、WRIのAqueductなどの既存の水リスク評価ツールを用いて、潜在的な水リスクの評価を確認しています。既存のツールと現地の情報から、総合的な水リスクを判断しています。
その結果から、拠点ごとの代表的な水リスク(物理的、規制、評判リスクなど)のうち、最も高いリスクを選定し、優先順位の高い水リスクから対策を検討します。

目指す姿(達成像)/目標

水の3Rによる取り組みを、サプライチェーンを含めた全ての事業所とそれぞれの地域において推進し、水の健全な利用と水資源の保全に努めます。その結果、地球規模での適切な水循環に貢献します。
水利用については、 国内外の中期目標を設定しています。
それに基づき、水リスクや排水の状況を確認した上で、循環水利用の比率を高め、最終的にはクローズドシステムを目指します。

目指す姿に向けた施策

国内外の生産拠点については、前年度原単位1%の取水量削減を目標として、下記の取り組みを行っています。
  • 物理的(水量不足)リスクが高い拠点については水使用量の削減対策の強化
  • 規制リスクが高い拠点については排水質管理の徹底
  • 評判リスクが高い拠点については地域コミュニケーションの強化
  • 循環水処理設備を導入し、循環水利用の比率を高め排水量を減らしています。

2023年度の活動レビュー

取水量と水の総消費量の推移を示します。
2023年度の取水量は8,369千m3で、Y-TWSが加わり生産量は10%増加し、2022年比1.5%増加しました。一方、水の総消費量は12,829千m3で循環使用は減少し、2022年比12.7%減少しました。
WRIのAqueductなどの既存の水リスク評価ツールによる結果と現地の情報も加え水リスク評価を実施し、水量リスク(インド、フィリピン)、水質リスク(日本、米国、タイ、ベトナム、ロシア、台湾)、水量、水質リスク(中国、インドネシア)を層別し、国別管理を実施しています。
水ストレスを再確認した結果、「極めて高い」または「高い」地域は、中国、インド、フィリピン、ベトナム、イスラエル、そしてロシアでした。
これらの国と地域での取水量は以下の通りです。2023年度は3,133千m3で前年比159%と取水量は増加しました。
インドの水リスクのマップ 
中国の水リスクのマップ
出典:World Resources Institute Aqueduct Water Risk Atlasから引用
【事例】 世界資源機構の情報に基づく水リスクの度合い
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)で推奨されているWWF Water Risk Filterを用いて当社グループの事業所が立地する地域の水リスクに関する評価を行っています。
  • 2023年度もCDPウォーターおよびサプライチェーンに関する質問書に回答し、報告を行いました。取水量の内訳は、国内で62%、海外で38%となっています。
  • 継続的な漏洩防止、循環水利用の装置改善を行い、水の有効活用を全拠点で実施しています。特に多くの海外生産拠点では、物理的(水量不足)リスクに対応するため水のクローズドシステムの導入を行っています。
  • 廃水については、水質に問題ないことを定期的に確認しています。拠点のある国や地域の水質基準をクリアしています。
水リスクの高い地域での生産拠点(タイ、インド)では、工場建設時にクローズドシステムを導入し、最小限の取水を行い、排水はありません。
排水量の推移は以下の通りです。
海外の生産量は増加し、総排水量は7,557千m3(前年比20.0%増加)でした。国内での排水は漏洩対策も継続していますが、前年比8.7%増加となりました。

水質/水量の認可・基準・規則に関する違反

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項目 2022年度 2023年度
違反件数 0 0
罰則(財務/運営上) なし なし
罰金 なし なし
指導/執行命令 なし なし

事例紹介

国内生産拠点では、三重・尾道の各拠点で設備配管の漏水対策、循環水利用の設備投資を実施しています。
海外生産拠点では、インドの工場建設時にクローズドシステムを導入しています。
タイや中国では雨水を回収し、冷却水やトイレ用の生活水に利用しています。
また、各拠点では排水の水質を悪化させないよう水処理装置を設置しています。
インド工場に設置している水処理施設の概要
長野工場では、水循環システムを導入し、冷却水などに再利用しています。
長野-水循環装置

天然ゴム農園での水利用に関する調査

横浜ゴムグループの天然ゴム加工会社であるY. T. ラバー社(以下YTRC)は、YTRCが立地するタイ・スラタニ地区で天然ゴム生産による環境や人権への影響評価と天然ゴム農家の方とのコミュニケーションのために2019年から天然ゴム農園調査を行っています。2023年末までに667戸の農家を訪問してヒアリングを行ってきました。農園での水利用に関しては雨水のみを利用している農家がほとんどであると確認しています。しかし、最近降雨不足による天然ゴムの収量減を訴える農家が一定数いることも確認しています。そのため、今後雨水利用以外の水資源利用についても注視していく必要があると考えています。
当社の主要事業であるタイヤ事業やMB事業では工場での水利用への依存が高くまた使用した水の排水先での水質汚染や周辺生態系への影響が懸念されるため、取水先・排水先水系への影響を評価するため生産工場での「生物多様性保全活動」を行っています。

今後の課題

グローバルな水利用状況のデータを把握する仕組みを構築し、以下の取り組みを行っていきます。
  • 水の適正管理のための横浜ゴムグループ基準(ガイドライン)の策定
  • 水への取り組みやその必要性に対する社内の意識向上
  • サプライチェーンを通じての水利用の取り組みを協働で実施
  • 水使用の少ない設備の開発、クローズドシステムの検討と投資
  • 生物多様性ガイドラインに水利用について明記し、負の影響の回避・低減と正の影響を増やす取り組みの実施