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持続可能なサプライチェーンの構築
インドネシアでの取り組み
なぜインドネシアなのか?
インドネシアの天然ゴムの生産量は2021年度実績でタイに次いで世界2位を誇っています。横浜ゴムもインドネシアからの多くの天然ゴムを購入しています。一方で、インドネシアでの天然ゴム生産は単位面積当たりの生産量がタイやベトナムなどに比べて低いこと、葉枯れ病などのゴムノキの病害が拡大していること、農園から天然ゴム加工場までの仲介業者が多段階で存在し、商流が複雑で把握が困難であることが課題となっています。
そのため横浜ゴムはインドネシアでの天然ゴム生産が持続可能なものになることを願って、インドネシアでの持続可能プロジェクトを開始することにしました。
KIRANA MEGATARA社との協業の開始
PT KIRANA MEGATARA社(以下KM社)は当社にとって重要なサプライヤーの一つであり、以前から天然ゴムの生産を持続可能にするための取り組みを行っている会社です。例えば、KM社の天然ゴム加工会社のある地域で農民グループを形成し、そこから天然ゴム加工工場に直接ゴムを納入してもらうことにより天然ゴム調達の透明性を高めることを行っています。農民グループにとっては、KM社に直接売ることにより通常の取引に比べてより多くの金額を得ること、KM社と長期的に安定した取引ができること、グループ内で勉強会を開催し農業技術を高め合えるなどメリットのある取り組みとなっています。KM社は天然ゴムに適した凝固剤の普及啓発やタッピング技術に関する指導、優れた農業実践(GAP = Good Agricultural Practice)など農業知識の普及も行っています。
横浜ゴムとKM社は2022年12月に覚書(MOU)を締結し、協同してインドネシアでの天然ゴム生産を持続可能なものにする取り組みを開始しました。
スマトラ島でセミナーイベントを開催、肥料と凝固剤を提供
横浜ゴムとKM社は2022年12月にインドネシア スマトラ島中部のジャンビで農民支援イベントを開催しました。イベントでは農民グループによる取り組みの事例紹介、ゴムノキの病気の影響と防除に関する研究者による講演、ゴムノキから樹液を取り出す技術を争うタッピング競争、農業技術に関するクイズ大会などを行いました。イベント参加者には横浜ゴムから肥料と凝固剤(ギ酸)の提供も行いました。
インドネシアでは天然ゴム価格の低迷により天然ゴム農家は安価で入手しやすい酸(例えば廃バッテリー液、硫酸が含まれている)を用いて天然ゴムを凝固させています。凝固に適していない酸を用いることにより天然ゴムの品質の悪化と収量の低下をもたらします。また、ゴムノキの樹液中に天然ゴム成分が十分ではないのに毎日ゴムを収穫することにより天然ゴムの収量が低下してしまうという問題も起きています。このように正しい技術的な知識がないためにゴムを適正に生産できていないという実態が農家の経済的困難さを加速させています。そのため、イベントでは正しい農業知識の習得を目的としたプログラムとしました。
両社はイベント前日には農民グループとの交流会を開催しました。農家が直面する問題をヒアリングし、また農民グループの取り組みを紹介していただきました。
今後の課題
インドネシアは経済的な発展が著しく、また森林破壊がはげしいスピードで進んでいる地域でもあります。その中で天然ゴム生産を持続可能なものにするには農園面積を増やすことなくそこでの天然ゴムの生産量を向上させ、また農家の経営を安定化させることにあると考えています。そのための適切な農業技術の指導、資材の提供、アグロフォレストリーなどの経営強化の取り組みなど、現地が必要とする支援を継続して行っていきたいと考えています。