S :Society
持続可能なサプライチェーンの構築
タイ南部スラタニでの取り組み


なぜスラタニなのか?
タイ南部は、タイでの天然ゴムの6割を生産している天然ゴム生産の中心地となっています。中でもスラタニ県は横浜ゴムグループの天然ゴム加工会社であるY.T. Rubber Co., Ltd.(ワイ・ティー・ラバー:以下YTRC)が立地しているため、当社にとってはとても重要な場所です。しかし、近年になってパラゴムノキに「葉枯れ病」の発生が確認され、対策が必要となっています。そのため横浜ゴムはスラタニで持続可能な天然ゴムのための活動を開始することにしました。
スラタニでの天然ゴム農園調査を開始
横浜ゴムは2019年6月からタイ・スラタニ地区での天然ゴム農園の調査を開始しました。
YTRC社の取引先を中心に、2023年12月末までに667戸の農家を訪問しヒアリングを行ってきました。調査は、目標としていた500戸を達成し、今後も継続しています(2024年7月時点で814戸)。この調査により得られる情報と農家の方とのコミュニケーションは貴重なものですので、この調査は今後も継続して実施することにしています。調査では農園の場所を確認し地図に落とし込むことで、農園が自然公園や保護地域にないことを確認しています。さらに農園の開拓してからの年数やタイ天然ゴム公社(RAOT)への土地の登録の有無を確認することで、違法な土地や森林破壊につながった土地開発でないかを確認しています。農園で働く人については労働時間、労働日数などの勤務体系、業務のノルマの有無、自由に離職できるか、健康保険の有無、農園内の18歳未満の子どもの有無・人数・農園での労働の従事の有無などを確認し、強制労働や児童労働がないことを確認しています。農園調査では、現在までのところ違法性がある問題は見つかっていません。また天然ゴム農園を経営する上での困難なことを聞いています。調査を通じて、農園の抱える問題や解決すべき課題を知ることができました。
横浜ゴムでは調査結果を蓄積して天然ゴム農園の持つ課題を分析し、天然ゴム農家の持続可能な経営に貢献するとともに、トレーサビリティの向上に活用していく予定です。

タイ南部での農園調査

タイ南部での農園調査
タイ天然ゴム公社と共同で天然ゴム農家を支援、品質向上に向けたセミナーイベントを実施
横浜ゴムは2020年1月、当社の「持続可能な天然ゴムの調達方針」に基づき、タイ天然ゴム公社と天然ゴム農家の経営支援およびサプライチェーンの透明性と健全性を確保するためのトレーサビリティの向上に協力していく覚書を締結しています。
この覚書に基づき、2023年は6月にタイ天然ゴム公社(Rubber Authority of Thailand:RAOT)スラタニ支局と共同で、タイの天然ゴム農家に対し天然ゴムの品質および生産性向上に向けたセミナーイベントを開催しました。これまでの5回のイベントでスラタニ地区の農家の方々(50戸)、累計250名に参加いただき、タイ天然ゴム公社の知見を活かした肥料を1農家当たり250kg無償提供し、参加者から好評いただきました。

天然ゴムセミナーの様子

提供された肥料を前に記念撮影をする農家の方々