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持続可能なサプライチェーンの構築
タイ南部スラタニでの取り組み
なぜスラタニなのか?
タイ南部は、タイでの天然ゴムの6割を生産している天然ゴム生産の中心地となっています。中でもスラタニ県は横浜ゴムグループの天然ゴム加工会社であるY.T. Rubber Co., Ltd.(ワイ・ティー・ラバー:以下YTRC)が立地しているため、当社にとってはとても重要な場所です。しかし、近年になってパラゴムノキに「葉枯れ病」の発生が確認され、対策が必要となっています。そのため横浜ゴムはスラタニで持続可能な天然ゴムのための活動を開始することにしました。
スラタニでの天然ゴム農園調査を開始
横浜ゴムは2019年6月からタイ・スラタニ地区での天然ゴム農園の調査を開始し、毎月農家を訪問してヒアリングを行ってきました。調査は、開始当初に目標としていた500戸を2023年に達成しましたが、現在は2030年までの調査件数目標を1,200戸とし、継続して調査を実施しています(2026年3月時点で1,101戸)。この調査により得られる情報と農家の方とのコミュニケーションは貴重なものですので、この調査は今後も継続して実施することにしています。調査では農園の場所を確認し地図に落とし込むことで、農園が自然公園や保護地域にないことを確認しています。さらに農園の開拓してからの年数やタイ天然ゴム公社(RAOT)への土地の登録の有無を確認することで、違法な土地や森林破壊につながった土地開発でないかを確認しています。農園で働く人については労働時間、労働日数などの勤務体系、業務のノルマの有無、自由に離職できるか、健康保険の有無、農園内の18歳未満の子どもの有無・人数・農園での労働の従事の有無などを確認し、強制労働や児童労働がないことを確認しています。農園調査では、現在までのところ違法性がある問題は見つかっていません。また、天然ゴム農園の経営課題に関するヒアリングも実施し、農園の抱える問題や解決すべき課題を把握しています。横浜ゴムでは、これらの調査データを蓄積・分析し、天然ゴム農家の持続可能な経営を支援するとともに、トレーサビリティの向上に活用していく予定です。
タイ南部での農園調査
タイ南部での農園調査
タイ天然ゴム公社と共同で天然ゴム農家を支援、品質向上に向けたセミナーイベントを実施
横浜ゴムは2020年1月、当社の「持続可能な天然ゴムの調達方針」に基づき、タイ天然ゴム公社と天然ゴム農家の経営支援およびサプライチェーンの透明性と健全性を確保するためのトレーサビリティの向上に協力していく覚書を締結しています。
この覚書に基づき、2020年からタイ天然ゴム公社(Rubber Authority of Thailand:RAOT)スラタニ支局と共同で、タイの天然ゴム農家に対し天然ゴムの品質および生産性向上に向けたセミナーイベントを開催しています(継続的に年2回開催。毎回50人~70人ほどの農家の方が参加)。参加者にはタイ天然ゴム公社の知見を活かした肥料を1農家当たり250kg無償提供し、肥料の効果を実感していただいています。また、2025年6月以降の参加者で施肥効果の検証に協力してくれる農家から一定期間継続して天然ゴムのサンプルを取得して、収穫量、品質の分析を行っています。これまでのところ、施肥により天然ゴムの収穫量が増えるが品質に影響を与えないということが分かりました。これは文献調査での結果と一致しています。
天然ゴムセミナーの様子
提供された肥料の前で記念撮影をする農家の方々
タイ・スラタニ地区におけるゴムの原料調達先における人権デューデリジェンス
2024年6月、当社は「ゴムの原料調達先における労働者の労働環境および近隣住民の環境への影響」をテーマに、第三者機関である経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会の協力のもと、タイ南部スラタニ県にてヒアリングおよび現地視察を実施しました。農園主や農園で働く労働者、原料ゴムの仲介業者、輸送を担うドライバーといったサプライチェーン上の関係者(ライツホルダー)に加え、地元の村長、学校長、病院長など、幅広いステークホルダーに対し、CRT日本委員会によるヒアリング、現地視察を実施しました。
なお、ヒアリングには当社グループの関係者は同席せず、第三者機関のみで実施することで、ライツホルダー/ステークホルダーの率直な意見を引き出すことに努めました。インパクト・アセスメントの結果、強制労働や児童労働など、人権に負の影響を与える重大な問題は確認されませんでした。一方、農園主と農園労働者の関係はフリーランスの請負契約に近い形で、労働契約書を締結しているケースがほとんどないことが明らかとなりました。また、一部の農園では住み込みのミャンマー人労働者が働いており、母国の情勢から帰国が困難で脆弱な立場に置かれているため、生活賃金や生活環境の観点からも継続的に状況を注視していく必要があることが認識されました。
こうした結果を踏まえ、インパクト・アセスメント後の自主点検では、ミャンマー人労働者が働いている農園を重点的に調査し、労働環境の把握・改善に努めています。併せて、YTラバーがタイ労働局のアドバイスのもと作成したミャンマー語の労働契約書のひな形を農園主に配布し、労働契約の締結を働きかけるなどの活動を行っています。
更に2025年には、上記活動のフォローアップとして、第三者である経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会による現地調査を実施しました。本調査では、2024年のインパクト・アセスメントからの変化を確認するため、天然ゴム農園の農園主および労働者へ再びヒアリングを行ったものです。その結果、労働契約の書面化の進展や、農園セミナーなどのイベントを通じた農園主・労働者双方の意識変革等といったポジティブな変化が確認されました。引き続き、労働環境、労働契約の締結、経済的基盤、人権、そして事業継続の観点から、天然ゴム農園におけるリスクの低減につながる取り組みを推進していきます。
農園労働者へのヒアリング
農園主へのヒアリング

