ニュースリリース

ダンパー向け高減衰ゴムを開発

低層から高層ビルまで幅広い建築物での採用を見込む

1999年12月06日

  • 工業品関連

横浜ゴム(株)(社長:冨永靖雄)は、高減衰ゴムを使った粘弾性ダンパー材を開発した。同ダンパー材は東京都港区品川駅東口B-1地区再開発計画の超高層賃貸住宅棟に採用が決まっている。横浜ゴムは粘弾性ダンパー向け高減衰ゴムの販売を5年後に10億円と見込んでいる。
ダンパーは柱やブレース(柱や梁の補強材)等に組み込み、振動エネルギーを吸収し揺れを小さくする装置。これまでエネルギー吸収材に鋼材、オイル、ブタン系高分子等の粘性流体、ゴム等の粘弾性体を利用した各種ダンパーが開発されてきた。なかでもゴムやアスファルトを使用した粘弾性ダンパーは鋼材系よりも高い減衰性能を発揮し、粘性と弾性を併せ持つためオイル系や粘性系に比べ過大変形しにくくコストが安い等の利点があったが、温度依存性の大きい事が建物への適用拡大を難しくしていた。
こうした問題を解決するため、横浜ゴムでは免震ゴム用高減衰ゴムの技術を応用し、粘弾性ダンパー向けに温度依存性を大幅に小さくした特殊配合の高減衰ゴムを開発。10~30℃の温度変化での変形能力は、従来の粘弾性材料が4~8倍になるのに対し、新材料は約1.5倍に抑える事ができた。また減衰性能を大幅に高め、風による微少変形から大地震時にも十分対応できる最大500%(ゴム厚さの5倍)の変形能力を実現している。さらに粘弾性体の厚さや幅、長さを調節する事で必要に応じて減衰性能を調節できるため設計の自由度が大きく、新築だけでなく既存建物の耐震補強にも利用できる。また復元特性があり長期耐久性に優れ、定期的なメンテナンスが不要等のメリットも併せ持っている。
横浜ゴムは、橋梁用ゴム支承やビル用免震ゴムの開発で蓄積してきた技術をもとに制震装置用ゴムの開発に力を入れている。今回の新しい粘弾性体の開発で、軟弱な地盤上の建築物や超高層ビルなど免震ゴムの適用が難しかった立地条件、形状の建築物にも粘弾性ダンパーで対応できるようになった。今後はより低層の建築物に対応できる制震装置用ゴムの開発に取り組む計画。