ニュースリリース

横浜ゴム、2022年度連結決算は過去最高の売上と利益を達成

2023年02月17日

  • 経営関連

横浜ゴム(株)の2022年度連結決算(2022年1月1日から 2022年12月31日)は、売上収益は8,605億円(前期比28.3%増)、事業利益は701億円(同12.8%増)となりました。一方、前年に旧本社ビルの譲渡益を計上したことなどから、営業利益は689億円(同17.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は459億円(同29.9%減)となりました。ウクライナ情勢に加え、原材料価格や物流費の高騰、半導体不足による自動車メーカーの減産、中国でのゼロコロナ政策、インフレによるエネルギー費の高騰など厳しい経営環境となりましたが、「ヨコハマ夏の陣」をテーマに取り組んだ「ADVAN」をはじめとする高付加価値商品や農業機械用などのオフハイウェイタイヤ(OHT)の拡販、またMIX改善や国内外での値上げなどに努めた結果、北米などでタイヤ販売が堅調に推移したほか為替円安も寄与し、売上収益、事業利益は過去最高となりました。

※事業利益は日本基準の営業利益に当たる指標として設定。事業利益=売上収益-(売上原価+販売費及び一般管理費)で算出。

タイヤ事業は売上収益、事業利益ともに前期を上回りました。新車用タイヤの売上収益は、世界的な半導体不足による生産調整や中国でのロックダウンの影響を受けたものの、自動車メーカーの挽回生産および北米での新規車種獲得などに加え、円安も寄与し、前期を上回りました。市販用タイヤは、2022年年初の降雪により国内で冬用タイヤの販売が好調に推移したほか、海外で高付加価値商品の拡販に努めた結果、北米や中国、アジア地域でも販売を伸ばし、売上収益は前期を上回りました。値上げ効果は国内では計画に届かなかったものの、その他の地域では値上げが浸透し収益改善に寄与しました。
OHTを生産販売するYOHT(Yokohama Off-Highway Tires、旧ATG)は、北米など各販路でインドを生産拠点とするコスト優位性を活かした拡販や、値上げの浸透に努めた結果、売上収益、事業利益は過去最高となりました。
※2022年度より「YOHT(旧ATG)」の業績は顧客および製品特性の類似性などを踏まえ「タイヤ事業」に集約しています。

MB(マルチプル・ビジネス)は、売上収益、事業利益ともに前期を上回りました。ホース配管事業の売上収益は北米で自動車の生産が回復したほか、国内では建機向けを中心とした油圧ホースが底堅く推移し前期を上回りました。工業資材事業の売上収益は、コンベヤベルトの国内販売が前年を大きく上回り、また航空部品も民間航空機向け補用品需要が回復したことにより、前期を上回りました。
※航空部品事業部は2022年3月30日に工業資材事業部へ統合しました。

2023年度通期の連結業績予想は売上、利益ともに2022年度を上回り過去最高を目指します。売上収益は前期比4.6%増の9,000億円、事業利益は同4.2%増の730億円、営業利益は同6.0%増の730億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同0.2%増の460億円を予定しています。配当金は中間配当を1株当たり33円、期末配当を34円とし、年間では3期連続の増配となる1株あたり67円を予定しています。

中期経営計画「YX2023」の2022年度の進捗と2023年度の活動

横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023 )」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)の下、既存事業における強みの「深化」と大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進することにより、次世代の成長に向けた「変革」を図っています。

タイヤ消費財

タイヤ消費財では「高付加価値品比率最大化」を掲げ、「ADVAN」「GEOLANDAR」「ウィンタータイヤ」の構成比率を2019年度の40%から50%以上にすることを目標としています。そのため「ADVAN/GEOLANDARの新車装着の拡大」「補修市場でのリターン販売強化」「ウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充」「各地域特性に合致した商品の販売強化」に取り組んでいます。
2022年度はメルセデスAMG、BMW Mパフォーマンス、「Lexus LX」「Lexus RX」、「日産フェアレディZ」、「SUBARU SOLTERRA」など多くのプレミアムカーやEVに新車装着されました。また、2022年度を「ヨコハマ夏の陣」と位置付け、新商品「ADVAN Sport V107」「ADVAN NEOVA AD09」などを中心に拡販に努めました。モータースポーツではSUPER GT GT300クラスのチャンピオン奪還に加え「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」と「アジアクロスカントリーラリー」で総合優勝しました。こうした活動により、高付加価値品比率は42%になりました。
2023年度は「泥試合」をテーマに「GEOLANDAR」の販売拡大に努めます。誕生45周年を迎える「ADVAN」でも販売拡大に向け、「トヨタGRカローラ」への「ADVAN APEX V601」の新車装着や、EV向け商品の立ち上げなど様々な挑戦により、高付加価値品比率は47%に高める計画です。また、好調なインド市場でのさらなる成長に向けインドでの乗用車用タイヤの生産能力増強を進めており、2024年第4四半期には2019年の153万本から2.9倍の450万本へ増強します。

タイヤ生産財

タイヤ生産財では「コスト」「サービス」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「商品ラインアップの拡充」をテーマに掲げ、市場変化を「探索」しています。
成長ドライバーであるOHT事業は、8月にYOHTのインドのヴィシャカパトナム新工場が計画よりも前倒しして生産を開始しました。TBR事業においては、米国ミシシッピ工場の供給改善が進み、生産量が過去最高となりました。また、三重工場でウルトラワイドベースタイヤ「903W」やオールシーズンタイヤ「BluEarth 711L」の増産投資を行いました。
2023度年は、OHT事業ではヴィシャカパトナム新工場のフル稼働と第2期の増強を進めます。TBR事業は三重工場でライトトラック用、バス・トラック用タイヤのさらなる増産投資を実施し年産10万本を増強します。なお、Trelleborg Wheel Systems Holding ABの買収完了は、各国の競争法に基づく手続きを経た上で2023年上期を予定しています。

MB事業

MB事業は強みであるホース配管事業と工業資材事業にリソースを集中し、安定収益を確保できる構造を確立します。ホース配管事業では、米国とメキシコで自動車用ホース配管の生産体制再編を進めました。油圧用ホースは中国工場に続き、茨城工場の増産投資を決定しました。工業資材事業はコンベヤベルトの国内シェアを約5割まで拡大したほか、平塚製造所の生産能力増強を開始しました。また、リソース集中による安定収益の確保を目的に航空部品事業を工業資材事業に統合しました。
2023年度は、ホース配管事業では自動車用ホースのメキシコでの生産構成比率を31%まで引き上げるほか、油圧用ホースは中国工場の生産能力最大化に努めます。工業資材事業は引き続きコンベヤベルトのシェア最大化に注力し、新商品も発売する予定です。

ESGにおける2022年度の進捗と2023年度の活動

当社はESGの取り組みを事業を強化する実際的な事業戦略の一つとして捉えており、取り組みを通じて持続的な企業価値向上に繋げていきます。
環境分野では「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」、さらにこれらを下支えする「自然との共生」を3本柱としており、カーボンニュートラルは「2050年にネットゼロ」、サーキュラーエコノミーでは「2050年にサステナブル原料100%」を目標としています。2022年度は、新城南工場のカーボンニュートラル化やサステナブル素材を使用したレース用タイヤの実用化に向けた取り組み、植樹活動を通じたネイチャーポジティブに取り組みました。社会分野では人権方針の策定や一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構のプラットフォーム活用により苦情処理メカニズムの拡充を図ったほか、コーポレートガバナンスでは政策保有株式の縮減や女性社外取締役の選任などのガバナンス・ダイバーシティを進めました。こうした活動が評価され、CDP気候変動レポートのAリストに認定されたほか、NIKKEI SDGs経営調査で星4を獲得しました。
2023年度は、国内外生産拠点の省エネルギー化やカーボンニュートラルタイヤの投入、サステナブル素材使用タイヤの研究開発の促進、生物多様性保全に関する短中期目標の設定など環境課題への取り組みをさらにレベルアップするとともに、働き方改革の加速や監査等委員会設置会社への移行など社会課題への取り組みとコーポレートガバナンスをさらに強化します。

決算ハイライト(百万円)

事業別(百万円)