ニュースリリース

横浜ゴム、透明性に優れるブルーライトカットハードコート材を販売

2014年06月27日

  • 工業品関連

横浜ゴム(株)は、パソコンやスマートフォンなどのディスプレイから発せられるブルーライトをカット(減衰)できる紫外線硬化型ハードコート材「HR380-550G」の本格販売を開始する。同製品は横浜ゴムが開発した「青色光選択反射」技術(特許取得済み)を採用しており、無色透明性に優れるのが特徴。昨年末に先行上市した、青色光選択カット品「HR375-1」が主にスマートフォン等の後貼り保護フィルム(アフター・マーケット)を主用途としているのに対し、本製品は無色透明性を維持しながら450nm付近の波長域を大幅にカットすることで全体のカット率を向上させるという特徴を活かし、主にディスプレイ用部材向けでの採用を目指す。塗料(ハードコート材)、フィルム(ハードコート付きフィルム)の2タイプの仕様を備え、ユーザーの要望に対応する。

ブルーライトは紫から青色に見える短い波長の可視光線(380~495nm)で、他の可視光線のように角膜や水晶体で吸収・散乱されることなく網膜まで達する割合が多いことから人体に悪影響を与える可能性が指摘されている。近年、ブルーライトカット機能を持つ様々な製品が販売されているが、その多くが青色光を広い範囲で吸収してカットするために黄色味を帯びたり透過率を抑えたりしており、色彩再現性や美観性が損なわれるデメリットがあった。

これに対し、「青色光選択反射」技術はディスプレイ内部から発する光線のうち、450nmを中心としたブルーライトをコーティング層で反射させカットすると同時に、ディスプレイ表面において自然光に含まれる青色光の反射を利用し青色を補う仕組み。これによりブルーライトカットと高い水準での透明性の確保を両立した。こうした技術の実用化は市場で初めて。「HR380-550G」はフィルムの曇り度を表すヘイズ値、黄色味を表すb*値を低く抑えることでディスプレイ組込み用途への展開を可能とした。

ブルーライトが人体に及ぼす悪影響に関する認識や、その対応技術の開発は日本が先行しているとされる。横浜ゴムは今後、積極的に国内外で同技術を活用できる市場を開拓し、世界トップクラスの電機メーカーへの販売展開も図る考え。

「HR380-550G」を塗布したフィルム

「HR380-550G」を塗布したフィルム

「HR380-550G」の青色光選択反射技術の仕組み

「HR380-550G」の青色光選択反射技術の仕組み