ニュルブルクリンクとヨコハマのバディのような関係性

世界で最も過酷と名高いサーキット「ニュルブルクリンク」をご存知でしょうか? ここでレースを経験したドライバーが口を揃えて「怖かった」と唱えるほどタフなコースですが、実は横浜ゴムと深い関わりがあるのです。
今回はニュルブルクリンクと横浜ゴムの意外な関係性について紐解きます。
2021.05.26

世界一過酷で難攻不落なコース、ニュルブルクリンク

ドイツの北西部、アイフェル地方に設立されたニュルブルクリンク。 24時間耐久レースでも
有名なこのコースは、 世界三大耐久レースの開催地、フランスのル・マン、アメリカのデイトナ、ベルギーのスパ・フランコルシャンと比べても、世界で1番タフなサーキットとして名を馳せています。

その過酷さを元F1チャンピオンのジャッキー・スチュワートは”グリーンヘル(緑の地獄)”と表現したという逸話があるほど。F1のレジェンドさえ唸る地獄たる所以、それは他には類を見ないコースレイアウトに理由があるようです。

ニュルブルクリンクは2つの個性的なコースから成り立ちます。
1つ目はグランプリ・コースと呼ばれるサーキット。1984年に完成した一周5.148㎞のコースです。
そして2つ目が北コース(ノルトシュライフェ)と呼ばれるサーキット。こちらは1927年に完成した歴史あるコースです。これこそがニュルブルクリンクを「世界一過酷」と言わしめるコースなのです。

     左下が「グランプリコース」、その上がいくつかの村を囲む「北コース」。

全長20.834㎞、高低差は約300m、さらにコーナー総数は170以上……。数々のブラインドコーナーや路面のうねり、急な下り坂・上り坂、車が一瞬浮くかのようなジャンピングポイントなどもある超ロング&ハードなレイアウト。さらにはその広さゆえに同日であれど路面コンディションが異なることもしばしば。攻略にはドライバーの経験とテクニックが欠かせないと言われるコースなのです。

ファンが熱狂する24時間の祭典

「ニュルブルクリンク24時間レース」は、世界中のモータースポーツファンを魅了するビッグタイトルです。グランプリコース、北コースを合わせた一周約25㎞が決戦の舞台となり、昼夜をかけてマシンが熱い火花を散らします。
特に北コースは先述の通りドライバーの間でも難関と呼ばれている上に、24時間レースならではの日没後は漆黒の闇がコースを覆い、高性能なヘッドライトを持ってしても、一瞬の隙でクラッシュやアクシデントにつながる可能性がコース各所にはらんでいるのです。
このタフなコースをより速く確実に駆け抜けるのはどのチームか。世界中が熱狂し注目する理由は確かにここにあるようです。

横浜ゴムは1980年代・90年代、Team BigazziやSchnitzer Motorsportと共にニュルブルクリンク24時間レースに挑み、BMW M3での優勝を勝ち取っています。
最近では2020年の24時間レースにWalkenhorst Motorsportチームと共に参戦し、SP8TクラスではBMW M4 GT4にて優勝を果たしました。
BMW M6 GT3で挑んだ最高峰のSP9クラスは惜しくも上位入賞を逃しましたが、年間全9戦で行われるニュルブルクリンク耐久シリーズでは見事シリーズチャンピオンに輝きました。
2021年も同じくWalkenhorst Motorsportチームと共にBMWで24時間レースに挑戦し、両クラスでの優勝を目指します。
(*2021年の24時間レースは6月5日スタートです。)

        「Walkenhorst Motorsport」の「BMW M6 GT3」

世界で戦うためのもうひとつの”聖地”として

そしてニュルブルクリンクにはもう一つ重要な役割があります。それは世界のカーメーカーの市販車両開発の地としての一面です。唯一無二のタフな環境を擁するニュルブルクリンクには、古くより欧州を中心としたカーメーカーが集い、各社のハイパフォーマンスカー開発のテストリンクとしてしのぎを削ってきました。

タイヤメーカーの横浜ゴムも例外ではありません。まだ日本メーカーの使用が稀であった1980年代、この地に小さなガレージを設け、市販用タイヤ、カーメーカー純正タイヤの両方の恒常的なテスト拠点としてスタートしました。2006年3月にはより設備の充実した「ヨコハマ・テストセンター・ニュルブルクリンク」を設立。ここを拠点に欧州でのテスト体制を強化してきました。ここから生み出されたタイヤはADVAN Sportはじめ数多にも及び、いまこの瞬間も次世代製品の産声があがっているのかもしれません。

               ガレージ前に並ぶテストカー

日本人技術者から見たニュルブルクリンク

「どんな状況でも安全に走れる車両、タイヤづくりをすることが、最終的に市場でも受け入れられるのだと実感します」
と語るのは、多くのドイツ人で構成される現地のテストチームで、日本人テストドライバーとして活躍する横浜ゴムタイヤ試験部の鈴木陽。
テストドライブ以外にも評価法の開発やテストドライバーの育成支援など、その業務は多岐に渡ります。

         Yokohama Europe GmbH タイヤ試験部 鈴木 陽

ニュルブルクリンクを拠点にすることについて、鈴木はこう語りました。

「ニュルブルクリンク周辺には、世界の名だたる自動車メーカー、タイヤメーカーのテストセンターが軒を連ねています。小さいながらも昔から拠点を構えていた横浜ゴムは、ここでは「馴染みの顔」の一つです。ドライバー同士で顔見知りも多く、仲間意識が強いオープンな雰囲気がいいですね。みんな企業の垣根を越えて、良い製品を作る仲間にリスペクトしている感じが分かりますね。」

北コースの各コーナーには名前が付いています。そのコーナー名を表示する看板には「YOKOHAMA」のロゴが表示してあります。古くからの馴染み企業として、看板設置に少しご協力をしているのです。横浜ゴムとして、それはちょっとした誇りでもあります。
ニュルブルクリンクと横浜ゴムの関係は実は長く、「速く安全に走る」という自動車の一つのゴールに対して、“最高のバディ”とも言えるのかもしれません。

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横浜ゴム株式会社
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