2020 Champion Interview =Gymkhana=

2020 Champion Interview =Gymkhana=

全8戦のカレンダーが組まれた2020年の全日本ジムカーナ選手権は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて3月の初戦から中止や順延が相次ぐ事態となった。ようやくシーズンが開幕したのは8月のお盆明け、ここから4大会が開催されて全戦のポイントが有効となる異例のシーズンとなった。そんな中、ヨコハマタイヤ勢は「ADVAN A08B SPEC G」で戦うPN1クラス、そして「ADVAN A050」で戦うSA・SAX1クラスで、ユーザーがシリーズチャンピオンを勝ち取った。


斉藤邦夫 選手 – 全日本ジムカーナ選手権 PN1クラス

ジムカーナ界の大ベテラン、斉藤邦夫選手は2016年からマツダ・ロードスターを駆って参戦している。2018年からは、16年ぶりにRed in BlackのADVANカラーをまとい、シリーズチャンピオンを獲得。2020年はタイトル奪還を賭けて臨んだが、なかなか開幕を迎えられない難しいシーズンインとなってしまった。

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そんな中、ようやくシーズンが始動した8月の北海道・スナガワの第1ヒートで、クラス唯一の1分37秒台に叩き込んで速さを見せ、幸先よく初戦を制した。続く2戦目は一気に日本列島を西へ移動して九州の恋の浦が舞台、ここで北海道をスキップした同じくヨコハマタイヤで戦う箕輪雄介選手が優勝を奪い斉藤選手は3位表彰台というリザルトとなった。さらに3戦目となる奈良県の名阪、ヨコハマタイヤ勢がクラストップ4を独占したが表彰台の真ん中を射止めたのは前戦に続いて箕輪選手。斉藤選手は準優勝、ランキングのトップは守ったが点差は7と詰まることに。

最終決戦は富山のイオックスアローザ、フルパイロンコースが舞台となった。朝までの雨によりハーフウェットで始まった第1ヒート、箕輪選手がトップタイムで斉藤選手は3番手。このままでは箕輪選手が逆転チャンピオンという展開になるも、完全に路面が乾いた第2ヒートで大きく箕輪選手を引き離すタイムをマーク、斉藤選手がシリーズタイトルを奪還することに成功した。

CHAMPION DRIVER

斉藤邦夫 選手 [2020年 PN1クラス シリーズチャンピオン]

本来ならば全勝してチャンピオンを獲得することが自分に与えられたノルマだと思うのですが、それは相手もいることですし自然環境の変化もありますからね。速いライバル達がいるなかで、自分の調子が良いときにはしっかり勝って、そうでないときもしっかり踏みとどまって、最終的な目標であるチャンピオンを獲るというのが予定であり目標であり、支えてくれる皆さんへの約束ですから、実現できてホッとしています。

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2020年は夏まで大会が無くて、走りたくてウズウズしていました。自分の舞台を奪われて、まるで存在すら否定されたような気分でしたね。だから初戦となったスナガワは、まず走れることが嬉しかった。そして気持ちよく走って結果も良くて、いろいろありましたが理想的なシーズンの出だしになりました。ただ、その後は箕輪選手に連勝されて、「ちょっと嫌だな~」という感じになって。自分も決してタイムが出ていないわけではなかったけれど、ちょっとリズムが狂ってしまいましたね。

イオックスの第1ヒート、あれは極端に言えば走らなくても良かったんです。ただ、路面状況からタイヤへのダメージは大きくないですし、フルパイロンコースだから走っておきたいという面があって、第2ヒートに向けた最終準備という感じでした。そして第2ヒート、走っている最中に自分が何番手で得点差がどうなって、なんていうことは計算出来ませんから、最大限の努力で勝つことだけを考えていました。結果的に2箇所くらい砂に乗ってタイムロスをしたのは悔しいですが、全体としてはほぼ自分としての走りは出来ているという自己評価です。

2020年を自己採点すると、メカニック&エンジニアとしては車の仕上がりがここ数年で最良なので95点をつけてあげたいですね。一方でドライバーとしては、攻める走るが出来たけれどミスも多かった。攻める走りをしてのミスではなく、凡ミスがあったから70点くらいかな。例えば恋の浦の第2ヒートは、勘違いから癖で不必要なブレーキを踏んでしまいましたし、名阪の第2ヒートはシフトアップが乱雑になっていました。2021年はあらためてメンタルコントロールをしっかりやって、万全のコンディションで臨みたいと思います。

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小武拓矢 選手 – 全日本ジムカーナ選手権 SA・SAX1クラス

SA・SAX1クラスでホンダ・CR-Xを駆る小武拓矢選手は、学生だった2009年にジムカーナデビュー。以降、地区戦をメインとしながら2012年に本庄で開催されたJAFカップ、2013年にはもてぎでの全日本選手権第6戦と大舞台を経験し、2016年から全日本選手権を本格的に追うようになって現在に至っている。この間、4年前には地区戦で初のシリーズチャンピオンを勝ち取った。

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全日本は’16年がシリーズ4位、’17年が3位、’18年が2位と、着実にポジションを上げて実力を見せてきた。残すはチャンピオンという中で迎えた2019年だったが、惜しくも前年に続いての2位に留まる。それだけに誰よりもチャンピオンへの熱い思いを胸に抱いて臨んだ2020年、しかしシリーズはなかなか開幕することなく夏を迎え、ようやく8月のスナガワで初戦を迎えた。

ところがこの初戦、小武選手は決勝で2ヒートともにまさかのパイロンタッチ。10位という厳しい出だしとなったが、続く恋の浦では優勝を飾って息を吹き返す。なれどライバルも準優勝で続き、短期決戦となったシーズンにおいて負けられない展開が続く。そんな中、3戦目となる名阪では準優勝で再びライバルとの点差を詰め、迎えた最終決戦はフルパイロンのイオックスアローザ。トップから9点差の3番手から逆転タイトルを目指しての走りは第1ヒートでトップタイム、さらに第2ヒートでタイムアップして優勝、劇的な結果で初めての全日本選手権タイトルを手中におさめた。

CHAMPION DRIVER

小武拓矢 選手 [2020年 SA・SAX1クラス シリーズチャンピオン]

初戦のスナガワで大ミスをして、正直なところ諦めかけたところがありました。しかし、その後はくさらずに地道に周りのみなさんのサポートもいただいてやってきたことで、チャンピオンというかたちで実になってとても嬉しく思っています。

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2020年はお盆に開幕となりましたが、規則の変更によってマシンが多少変わった部分もあったので、大会の順延や中止が相次ぐ中で新型コロナウイルスの感染拡大防止にもしっかりつとめながら、可能な限りの練習を重ねていました。こうして満を持して迎えたスナガワだったのですが、はやる気持ちを抑えきれていなくて、いま思えば冷静さを欠いていたのではないかと思います。

スナガワで「今シーズンは終わった……」くらいの気持ちになって、でも逆にそれで開き直れて「残りは気持ちよく走って、自分が参戦した証を残してやろう」という思いに切り替えて。恋の浦以降は、変に緊張感を背負わずに良い意味で肩の力を抜いて戦いに臨めたのが、結果につながりましたね。

イオックスアローザは、成績に関係なく自分が楽しんで行こうと。走っていて辛いと思うばかりでは、そもそもどうしてジムカーナをやっているんだろうということになってしまいますから。第1ヒートをベストタイム、ですが第2ヒートでは路面温度が上がった中でADVAN A050のG/2Sコンパウンドで少し気が重い面もありましたが、冷静に自分のタイムを上げる走りに徹しようと集中して走り、タイヤもその思いに応えてくれました。自分は初めてJAF戦に出場したのが2009年ですが、11年目でここまで登り詰めることが出来てホッとしています。

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UPDATE : 22.Jan.2021