2020 Champion Interview =Dirt Trial (2)=

2020 Champion Interview =Dirt Trial (2)=

全3戦で競われた2020年の全日本ダートトライアル選手権、シリーズランキングは全戦の得点が有効となったことから確実に全ての戦いで上位を獲得することがチャンピオンの条件となった。そんな中、3戦全てで表彰台に立ち、タイトルを獲得したのが4WDターボの三菱・ランサーを駆る二人のベテランドライバーであった。


荒井信介 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 SA・SAX2クラス

1988年に全日本選手権へ初参戦、以降これまで30年以上にわたって第一線で戦い続けている大ベテランの荒井信介選手。1990年の三井三池において三菱・ギャランVR-4で全日本初優勝、1992年の最終戦で三菱・ランサーエボリューションにマシンをスイッチして投入初戦を優勝で飾った。ここからは“ランエボ”とともにキャリアを歩み、1995年に初めての全日本タイトルを獲得、ヨコハマタイヤとともに幾度も栄冠を手中におさめてきた。

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2020年は前年までに続いてランサーエボリューションⅩを駆り、ナンバー付で改造範囲の広いSA・SAX2クラスに参戦。開幕のコスモスパークでは強豪のライバル勢をおさえて2ヒートともにトップタイムを叩き出し、優勝で幸先よいシーズンインを果たした。

しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会の中止や順延が相次ぎ、長いインターバルをはさむ結果となってしまった2020年。シーズン再開となった8月のスナガワ、ブランクを感じさせない走りで第1ヒートでクラス唯一の1分22秒台に叩き込むと、第2ヒートでタイムアップを果たして堂々の二連勝を飾った。

タイトル奪還に向けて有利な立場で迎えた、九州・恋の浦での最終決戦。難しい路面コンディションとなる中、惜しくも同じヨコハマタイヤを装着する林軍市選手に僅差で届かなかったが準優勝を獲得して5年ぶり、通算10回目のシリーズチャンピオンに輝いた。

CHAMPION DRIVER

荒井信介 選手 [2020年 SA・SAX2クラス シリーズチャンピオン]

3月のコスモスパークは無観客というかたちで感染拡大防止策を講じて開催されましたが、その後はお盆まで大会の開催が無い状態が続きました。その間は、練習に行きたいという思いがある一方で感染が拡大しているという状況との板挟みのような感じでしたね。外出自粛につとめて時間を過ごし、大会前に少しだけ練習の機会を作った程度で8月のスナガワに臨みました。ランサーは熟成されていますから、感触としては普段と遜色なくスナガワでも走ることが出来ました。

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3大会で全戦ポイントが有効という状況、恋の浦の第1ヒートは「この歳になっても、こんなにプレッシャーを感じるものなのか」という思いでスタートを迎えました。絶対に落とすことの出来ない最終決戦、ですが結果を見ると2ヒートともにトップタイムを奪うには至らなくて、チャンピオンは決められたものの気負いすぎていた面があったのかもしれません。ただ、あれだけのプレッシャーの中で、些細なミスはありましたが2番手で走りきれたのは良かったですね。結果的には軍ちゃん(林軍市選手)に、“美味しいところ”を全部持っていかれましたが(笑)。

2勝してチャンピオンも奪還出来て、2020年は良いシーズンでした。以前は最新のランサーエボリューションを頻繁に乗り換えていましたが、いまのエボリューションⅩは長くなりました。話題のニューモデルについては、エボリューションⅩと遜色無い速さを実感出来れば、誰もが代替を考えますよね。自分はどうかというと、もうそんなに若くないのでもうちょっと様子見というのが正直なところ。ただ、どんなマシンを駆るのかは別にして、選手としての現役はまだまだ続けられるように頑張りますよ!!

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大西康弘 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 SC2クラス

往年のラリーにおいて“青森三羽がらす”の一人として名を馳せ、国内のみならず海外でも豊富な参戦経験を有する大西康弘選手。一旦は競技から離れたが、2010年にラリーへ復帰、同時に全日本ダートトライアル選手権にも出場して2013年からはフル参戦を開始して現在に至っている。

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2018年の中盤から、ナンバー無しで改造範囲の広いマシンで戦うSC2クラスへ移籍。2019年にはシリーズランキング2位として、チャンピオン獲得への期待が高まる中で迎えた2020年。開幕のコスモスパークは3位表彰台を獲得、長いインターバルをはさんだスナガワは準優勝と、着実に表彰台を獲得してランキングトップで最終決戦の恋の浦を迎えた。

ランキング2番手の上村智也選手との得点差は5、決して大きな差ではないものの有利な立場であったのは間違いない。しかし大西選手としてはここまで勝ち星が無かったことから「勝ってチャンピオンを決める」という思いが強く、第1ヒートからトップタイムをマークする気迫の走りを披露。路面がよりタフになった第2ヒート、ラリーでも磨かれてきた走りはますます冴え、タイムアップで堂々のシーズン初優勝を飾り、意外にも思えるが自身初のシリーズチャンピオンという称号を手中におさめた。

CHAMPION DRIVER

大西康弘 選手 [2020年 SC2クラス シリーズチャンピオン]

チャンピオンを賭けた最終決戦の恋の浦、第2ヒートでは走行中にライバルのベストタイム更新を告げる場内アナウンスが聞こえてきたので、勝つためにより真剣にアクセルを踏んでいかなければと思って、これまでの経験も活かして頑張って攻めました。路面は荒れていて何回か飛んでいきそうになり、第1ヒートより格段にタフな状況でした。その点は厳しかったのですが、自分も根性を出しましたよ!!

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2020年は新型コロナウイルスの影響で、「ダートトライアルの参戦はしないほうが良いのかな」と思ったことがあるのも事実ですが、モータースポーツを若い頃からずっと続けてきているので、やはり試合がある限りは出場しようと決めました。3戦という少ない試合数でしたが、安定して力を出せたことがチャンピオンに結びついたのだと思います。やって良かったですし、いろいろな出来事の多かった年にタイトルを獲得出来たことは記憶にも深く残るので、ここは自分を評価したいですね。

以前はSA車両でしたが、より改造範囲の広いSC車両という市販車ベースで最も速い車でやってみたいということもあって移籍して現在に至っています。クラスを変更して思い切り楽しんで走れたことの結果、そのひとつがチャンピオンという結果ではないかと思っています。

地元の青森から遠く九州まで遠征して頑張って、その九州で勝ってチャンピオンを決めることが出来て家族も喜んでくれています。ただ、試合数の少ないシーズンでしたから、もう一年フル参戦して連覇を決めたいと思っていますので、新たな気持ちで気合いを入れ直して頑張ります。

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UPDATE : 15.Jan.2021