ADVAN A052、そのキーワードは“次世代”

はじめに、「ADVAN A052」とはどのような位置づけに置かれたタイヤなのか。グローバル・フラッグシップ・ブランドである「ADVAN」の中で、ストリートスポーツタイヤとしては「ADVAN NEOVA AD08R」があるが、ポジショニングについて企画を担当したヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社企画本部の藤本廣太に聞いてみよう。

「基本的な『ADVAN A052』の位置づけとしては、『ADVAN NEOVA AD08R』の上位モデルとなります。その上で騒音や転がり抵抗など外部環境への対応を、これまで以上にしっかりしていなかればならないという時代背景があります。もちろん走行性能に関しても、定評ある『ADVAN NEOVA AD08R』をさらに超えるところに持っていかなければなりません」

基本的な位置づけは藤本が語る通りだが、実際に目指してきたところはもう少し説明が必要になる。その点について、まずは開発を担当したヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社開発本部の山根賢司が補足する。

「時代が変わって、スポーツモデルにもハイブリッドカーが登場するなど、スポーツと環境の両立が高次元で求められるようになってきました。そうした世界的な動きに対する横浜ゴムとしてのひとつの答えが『ADVAN A052』です。ですから既存商品の後継といった話ではなくて、如何にスポーツと環境を融合して前進するか、というミッションに対する結果がこの商品なのです」

もう一人、開発の最前線で「ADVAN A052」の“生みの親”となったのが、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社開発本部の八重樫剛。八重樫は「ADVAN A052」について、ひとつのキーワードを教えてくれた。

「社内では、開発にあたって“次世代”という言葉がキーワードでした。『ADVAN A052』については、何か既存の商品に対する“次期品”ということではなく、“次世代”に向けた新しいストリートスポーツタイヤを生み出そうというミッションの結果なのです」

環境性能に係る国際基準を満たした「ADVAN A052」

「ADVAN A052」を語る上で、優れた環境性能は外すことの出来ないポイントとなる。ウェットグリップ性能、騒音、転がる抵抗に係る規制を定めた国際基準「UN/ECE Regulation No.117 02 Series (R117-02)」をクリアしており、この基準を満たすストリートスポーツタイヤということでヨーロッパをはじめ世界の注目を集める存在になっている。この点を踏まえて藤本は「ADVAN A052」のポジションについて、改めて次のように語る。

「商品ラインアップをわかりやすく説明するためのポジショニングマップでは、『ADVAN NEOVA AD08R』と『ADVAN A050』がある中で、それらの真ん中に位置するようにしています。商品としてはこれまでのスポーツタイヤよりも高いレベルで、環境性能なども十分に考慮しました。その象徴が国際基準を満たしていることなのですが、特定の高性能スポーツモデルに限らないサイズもラインアップしてモータースポーツにも使われる上で、公的な機関に認められた環境性能を有する、新しいカテゴリーという位置づけになると思います」

「ADVAN A052」の位置づけについては、新しいカテゴリーということもあって表現が難しいと山根も語る。

「『ADVAN A052』が置かれているポジションを、二次元のマップで表そうとすると難しいかもしれません。環境性能なども加味した、三次元のマップが必要になるかと思います。そういうポジションのタイヤを、横浜ゴムとして時代を先取りしたのが『ADVAN A052』なのです」

この、新しい位置づけについて、八重樫は自信を持っているという。

「全く新しい位置づけなのですが『ADVAN A052』が先駆けとなって、今後はこれがスタンダードになっていくことでしょう」