SUPER GT 2015 (1)

世界一のツーリングカーレースと呼ばれるほど、高いレベルとスピードを誇るSUPER GTはまた、国内レースとして最も多い集客も誇るレースである。総合優勝を争うGT500は、新車両規定が導入されて2シーズン目。開発が進んだ今年は信頼性も向上し、より攻めた走りが見られるようになっている。一方、車種のバラエティ豊富なGT300には本格的にマザーシャシーが加えられ、高い可能性を秘めていることをアピールした。そんなSUPER GTの概要について紹介しよう。


GT500とGT300、ふたつのクラスで熱戦を展開!!

SUPER GTは国内の主要サーキットに加え、海も越えてタイのチャーン・インターナショナル・サーキットも舞台とする、全8戦で争われるレースシリーズだ。レース距離は6戦が300kmで、ドライバーふたりで走らせる。そして残り2戦は500km、1000kmで争われることから、3人目のドライバーを追加することが可能である。

クラスはGT500とGT300に分けられ、表彰は総合ではなく、クラスごとに行われる。ちなみにクラスの数字は最大出力を示すが、これはシリーズ発足当時の数値で、現在は遥かに上回る。したがってトータルポテンシャルの割合と考えてもいいだろう。

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公式スケジュールは金曜日からスタートするが、ブリーフィングなどが行われるだけで、実際に走り出すのは土曜日から。午前中に公式練習が行われた後、予選が行われる。その予選はノックアウト方式といい、Q1とQ2、2セッションで実施される。セッションごとひとりのドライバーが走行し、連続して走行するのは不可。Q1は全車走行し、GT500は上位8台、GT300は上位13台のみQ2進出が可能で、それぞれ9位、14位以下は、その順位で決勝のスターティンググリッドが決定。続いて行われる、Q2の順位で上位グリッドが決まる。

日曜日は午前中にフリー走行を行い、午後には決勝のスタート進行として、その始まりに8分間のウォームアップが設けられている。ここまでのスケジュールで気づいてもらえたと思うが、SUPER GTは練習の機会が極めて少ない。それだけにトラブルなどで満足に走れなかったりすると、なかなか好結果を得られなくなる。


戦略もぶつかり合う決勝、結果に応じてウェイトハンデも!!

レースはローリングスタート方式で開始される。1周のフォーメーションラップの後、グリッドに止まらず、隊列を組んだままストレートを通過し、レースの始まりを告げるのはグリーンシグナルの点灯。ただし、加速は可能だが、計測ラインを超えるまでは追い越しが禁止され、もし少しでも前に出てしまったら、ドライビングスルーなどのペナルティが科せられる。

レース中にはドライバー交代を含むピットストップが、300kmレースでは1回、500kmレースでは2回、1000kmレースでは4回義務づけられており、併せて給油やタイヤ交換も行われる。ただし、給油と同時に行えないタイヤ交換は義務づけではないため、無交換や2本のみの交換に留め、ロスを最小限とすることで順位を上げる術もある。

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レースの終了は、チェッカーフラッグが振られることで告げられ、順位決定は周回数優先。したがって、リタイアしてチェッカーを受けなくても、規定周回を満たしていれば完走扱いとなる。ドライバーポイントは1位から10位まで、20、15、11、8、6、5、4、3、2、1ポイントずつ(700km以上のレースでは各25、18、13、10、8、6、5、4、3、2ポイント)与えられ、チームポイントはGT500ではトップと同一周回なら3ポイント、1周遅れなら2ポイント、2周遅れ以上でも完走すれば1ポイント、加算される(GT300の場合、同一周回、1周遅れで3ポイント、2周以上の遅れで1ポイント)。

またSUPER GTは独自のウェイトハンデ制度を設けており、第2戦から第6戦までは獲得したドライバーポイントの2倍のウエイト(例:10ポイント=20kg)を積まねばならない。これはひとつのチームが勝ち続けるのを避けるのと、戦力の均衡化をはかるための配慮である。第7戦は同ポイント(例:10ポイント=10kg)となり、最終戦はノーハンデに。従来は搭載するウエイトの上限は100kgだったが、昨年よりGT500は50kgまでと改めるとともに、越えた場合は燃料リストリクターによる調整に置き換えられることになった。GT300は従来どおり。


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タイヤにとっても、世界的にみてもハイレベルな戦いの舞台であるSUPER GT。次回はGT500とGT300、ふたつのクラスそれぞれの詳細について解説いたします。