アジア最高峰のフォーミュラ・レースとして、国内外から注目を集めているSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)。2016年からコントロールタイヤサプライヤーをヨコハマタイヤがつとめることとなり、久しぶりのトップフォーミュラ復帰も大いに話題を集めたシーズンとなった。2016年のSUPER FORMULA、この一年を振り返ってみよう。
予選、決勝を通じてドライコンディションとなったが、土曜日の予選では主力選手がQ1/Q2で次々に姿を消すという波乱の展開に。
オフシーズン中のテストを経て、満を持してヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーとして足元を支える2016年のSUPER FORMULAは、4月22日から24日にかけて鈴鹿サーキットで開幕を迎えた。
そんな中でポールポジションを奪ったのは、2013年の王者である山本尚貴選手(TEAM無限)であった。日曜日の決勝は43周、山本選手は好スタートを決めて序盤からリードを拡大していく。安定した走りで33周目にピットインした山本選手はタイヤ無交換作戦を敢行、同時に入った3番手のS・バンドーン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、1周後にピットインした2番手の国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)も同様に無交換で戦列に復帰したが、終盤も危なげ無く走りきった山本選手がポール・トゥ・ウィンを飾ることに成功した。
約1ヶ月のインターバルをはさんで5月27日から29日にかけて行われた第2戦、舞台は岡山国際サーキット。
金曜日は初夏のような暖かさ、土曜日もまずまずの晴天に恵まれた中、Q1から速さをみせたのが前年チャンピオンの石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)。Q3までを通じてトップタイムを刻み続け、堂々のポールポジションを獲得した。
決勝が行われた日曜日は、昼から雨がサーキットに落ち始めてしまった。雨足は時間とともに勢いを増し、レースはセーフティカーの先導でスタート。しかし、マシントラブル等に見舞われる選手も現れ、さらに雨量が増えてしまったことから8周を終えた時点で赤旗が提示されて走行が中断されてしまう。天候の回復を待ったが残念ながら雨は勢いを弱めることが無く、このままレースは成立となった。この結果、優勝は石浦選手となり、2戦続けてチャンピオン経験者がウィナーとなった。
波乱の第2戦からやや長めのインターバルを置き、第3戦は7月15日から17日にかけて富士スピードウェイで開催された。しかし、またも天候に翻弄されてしまい土曜日の予選は全車がウェットタイヤを装着してのコースインで始まる。
Q2、Q3と時間を追って路面コンディションは好転していったが、そこでポールポジションを獲得したのはストフェル・バンドーン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。自身初のポールポジション獲得で、大いに期待を集める展開となった。
日曜日の決勝はドライコンディション。オープニングラップで激しくトップを争ったバンドーン選手と石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)が互いにコースを外れた隙に、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がトップを奪うも、4周目にコースオフを喫して後退するなど、序盤から波瀾含みの展開に。この後もセーフティカー導入などがあったが、粘り強く2番手を走っていたオリベイラ選手が残り4周で逆転に成功した。
全7戦のカレンダー、折り返しとなる第4戦は夏休みの8月20日から21日にかけてツインリンクもてぎで行われた。
この大会ではソフトコンパウンドのドライタイヤが供給されたことも、話題のひとつとなった。土曜日は台風の影響もあって雨の朝だったが、午後の公式予選までに天候は回復。そして注目のソフトタイヤをQ1で温存した関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が、Q2からソフトタイヤを装着。他の選手がQ2まででソフトタイヤを使い切った中、Q3では唯一ソフトタイヤを装着してトップタイムを叩き出す。
上位陣の多くがソフトタイヤでスタートを迎えたが、関口選手がホールショットを決めて序盤から後続をじわじわと引き離していく。中盤には10秒以上のマージンを構築、34周目のピットインでミディアムコンパウンドタイヤに交換すると38周目には再びトップに立ち、盤石の走りでウィニングチェッカー。ルーキーながら4戦目にして初優勝を飾ることに成功した。
9月10日から11日に行われた第5戦は、シーズン2回目の開催となる岡山国際サーキットが舞台。熊本の影響によりオートポリスの代替戦として設定されたが、土曜と日曜にそれぞれ予選と決勝を行う2レース制が採用された。
土曜日のレース1では、ポールシッターがグリッドにつく際のミスで最後尾に降格となる波瀾の幕開けに。そして、スタートでトップを奪ったストフェル・バンドーン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が終始レースをリードしてウィニングチェッカーを受けた。
日曜日のレース2は、野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がポールポジションからスタート。ピットインを遅らせる作戦でレースを引っ張っていったが、21周目にピットへ入る。これで同じくピットインを遅らせていた石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)がトップを奪うも、30周目にピットインしたことからポジションをドロップ。これでトップは国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)となり、安定した走りでチェッカーまで運んでシリーズ戦初優勝を飾り、ランキング争いでもトップに立った。
前戦から実質10日間ほどのタイトなインターバルで迎えた第6戦は、9月24日から25日にかけてスポーツランドSUGOで開催された。
土曜日の予選はドライコンディション、ここではQ1でトップタイムをマークした第4戦の覇者・関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がQ3の終了直前にタイミングモニターの表示を塗り替えてトップタイムをマーク、シーズン2回目のポールポジションを獲得した。
日曜日の決勝、関口選手はスタートから速さを見せて序盤で15秒ほどのマージンを構築する。しかし17周目にセーフティカーが導入されて“貯金”を吐き出した上、後続はこの間にピットインを済ませたため関口選手は取り残される形に。しかしリ・スタートから猛プッシュを続け、55周目にピットインした段階で35秒という大量のマージンを再び構築。トップを譲らず戦列に復帰してシーズン2勝目を飾り、ランキングリーダーの座を奪還した。
チャンピオン争いの最終決戦となった第7戦、10月28日から30日にかけて鈴鹿サーキットで行われたレースは、土曜に予選を行い日曜日に2回の決勝を行う2レース制。ポイントは各決勝に通常の半分の点数が与えられる上、優勝のみ3点を特別加算するという規定である。
日曜日のレース1、スタートでホールショットを奪ったのはセカンドグリッドにつけていた国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)。食らいついてくる後続を寄せつけず、トップを守りきってチェッカー。関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が下位に沈んだこともあり、レース1を終えてランキングトップに返り咲いた。
レース2は35周で競われ、タイヤ交換も義務づけられている。そして、レース1に続いてセカンドグリッドからスタートした選手がホールショットを奪う。今回の主役はストフェル・バンドーン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、ピットインによって一時はトップの座を譲るも、24周目のクラッシュで導入されたセーフティカーの間に上位がピットインしたことからトップに復帰。そのまま逃げきって、バンドーン選手が優勝を飾った。そしてチャンピオン争いは、6位でフィニッシュした国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)が手中におさめることとなった。
UPDATE : 16.Dec.2016