2016 Season Review =SUPER GT・近藤真彦 監督=

2000年に設立されたKONDO RACINGは’06年にSUPER GTへの参戦を開始し、一貫してGT500クラスをヨコハマタイヤとともに戦ってきた。’07年のマレーシア戦で初優勝を飾り、その後も’10年まで毎年優勝を続けてきた。’11~’14年は勝ち星に恵まれなかったが、’15年の富士で5年ぶりに優勝。そして’16年はSUGOともてぎを制して、チームとして初めてのGT500年間2勝を飾った。オーナー兼監督として戦いの最前線に立つ近藤真彦監督に、’16年を振り返っていただいた。


タイヤの力が成長した一年だった – 近藤真彦 監督

2016年は2勝を飾ったKONDO RACING。近藤監督はこのシーズンインを前にして、どんな思いを胸中に抱いていたのだろうか。

近藤真彦 監督「2015年は富士で勝って、良いシーズンとして終えることが出来ました。ですから、’16年を迎えるにあたっても’15年以上に良い一年になるだろうという予感がしていたんです。終わってみたら、確かにその通りになってKONDO RACINGは2勝しましたし、同じヨコハマタイヤで戦うRACING PROJECT BANDOHも1勝しました。ヨコハマタイヤとしては3勝したわけですが、まさかこんなに勝てるとは思っていなかったというのも本音のところです。こうして勝てたのはタイヤの力がついてきたというか、タイヤが大きく成長したことによる結果だと思っています」

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戦いを足元で支えるタイヤ、そのパフォーマンスの成長を絶賛してくれた近藤監督。そして、パフォーマンスを最大限に引き出す走りを見せたドライバー陣については、次のように評してくれた。

近藤監督「’16年は佐々木大樹選手と柳田真孝選手のコンビで戦いました。佐々木選手は’14年からチームの一員になって3年目ですが、どのチームも欲しがる“イケイケ”のドライバーに育ちましたね。まだGT300車両のかわしかたなどに物足りない部分もありますが、速さについては予選一発など言うこと無しです。

’16年から加わった柳田選手については、自分の役割が良く解っていますよね。自分が持っている“堅さ”というか、佐々木選手が持つ“速さ”に対してベテランならではの自分の役割を理解して戦った一年だったと思います。ある意味で、チームとしてドライバーのバランスはとても良かったですね。2人が互いに『アイツに負けたくない』と我を張らず、互いを尊重して補い合うような感じでしたから」



無交換なんて本当はやりたくない(笑)

KONDO RACINGは’16年の2勝をともに、タイヤ無交換で決勝を走りきって飾ることに成功した。チームの歴史を紐解いてみても、’07年のマレーシアにおける初優勝も暑さが厳しい中で1ピット作戦を敢行したことが勝因のひとつであり、さらに’10年の開幕戦・鈴鹿での優勝は当時のGT500では前例の無いタイヤ無交換での優勝劇であった。このようにKONDO RACING×ヨコハマタイヤの“お家芸”とも言える、タイヤ無交換作戦についてお聞きしてみよう。

近藤監督「タイヤ無交換なんてやりたくないんですよ、本当は(笑)。レースは何が起こるかわからないものだから、無交換で行くということは交換していくよりも確実にリスクがあります。だから『絶対にゴールする自信があるから無交換で行く』と言うと嘘になって、実際には多少のギャンブル的な要素というか、リスクを背負ってやっているのも事実です。

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しかし、タイヤの成長幅が大きいこの2年間を戦ってきて、『無交換で行けるんだ』というタイヤに対する信頼がどんどん上がってきています。結果的にうちの2勝は、全てタイヤ無交換で勝ちましたね。

ただし’17年に向けては、もっと強いタイヤで、普通にタイヤ交換をして信頼性を高めたレースをしなければいけない、そこは課題になっているという認識を持っています。一方、他メーカーのタイヤを使うチームからすると、KONDO RACINGの無交換作戦に対しては『無交換をまたやられて、タイヤがあんなに持つのであれば’17年はヤバイぞ』という声もあるようです。だからと言って、他メーカーが今から無交換で行けるタイヤを造れるのかと言えば、それは時間的にも難しいでしょうね。

将来的にはGT500でタイヤ無交換を禁ずる規則が出来るかもしれませんが、それまでは“やった者勝ち”なので(笑)、2017年も行けそうな時には無交換で行きます。そして同時に、交換してもきちんと勝てる、アベレージタイムを上げて行けるタイヤを、ヨコハマタイヤと一緒にしっかり造っていきたいと思っています」



ヨコハマタイヤには、チームより5点プラスで(笑)

ますます期待が高まる2017年に向けて、力強い言葉を聴かせてくれた近藤監督。ここで、2016年を改めて振り返っていただき自己採点をしていただこう。

近藤監督「100点満点で、75点ぐらいですかね。やっぱり、チャンピオンになれなかったことは減点ですよ。あとは、シリーズのポイントランキングが真ん中くらいだっというのもマイナス要素で、これらを合わせて25点を引いて75点としました。

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ヨコハマタイヤには80点をつけるかな、うちのチームよりも5点プラスで(笑)。やはりチャンピオンを獲らせてもらえなかったから20点のマイナスです。それから、無交換ではない戦いでも勝ちたいのと、ウェットタイヤのポテンシャルをもっと高めてほしいというところもありますね。’16年は雨のレースがほとんど無かった、これは大きかったと思います。ただ、最後のもてぎではウェットの予選でレインタイヤが良かったので、決勝のロングラップでも通用するウェットタイヤが生まれることに期待したいですね」

’17年に向けた手応えも、しっかり掴んでいる近藤監督。インタビューの最後に、来シーズンに向けての意気込みをお聞きして締めくくろう。

近藤監督「’16年の勝因と敗因は分析出来ているので、敗因だったところは修正していく段取りをしています。’16年が出来すぎだったという見方もありますが、’17年はそれ以上のシーズンにしてチャンピオンを獲りに行きたいですね。ヨコハマタイヤと長く一緒にやってきた中で、’17年は最高のシーズンにしなければいけないという責任も感じています。ですから、できる限りの努力を惜しまずに、チャンピオンを目指していきます!!」


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