2016 Japanese Championship Champion Interview (4)

2016 Japanese Championship Champion Interview (4)

2016年の全日本ダートトライアル選手権では、4つのクラスでチャンピオンを獲得したヨコハマタイヤ勢。栄冠を手中におさめた選手をご紹介する特集、ダートトライアルの後編となる今回は改造範囲がもっとも広いDクラスを制した谷田川敏幸選手と、改造範囲が厳しく制限されたPN車両の小排気量マシンで競うPN1クラスで悲願の王座に輝いた宝田ケンシロー選手をご紹介していこう。


宝田ケンシロー 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 PN1クラス

宝田ケンシロー選手は2009年に全日本ダートトライアル選手権にデビュー、2011年からは名門・オクヤマのカラーをまとうマシンを駆って参戦を続けている。ブーン、デミオと乗り継ぎ、2014年からはスイフトにマシンをスイッチ。この年からシリーズを追うようになり、2015年はタイトル争いを演じたが接戦の末に惜しくもシリーズは2位で終えた。

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悲願のチャンピオン獲得を目標に臨んだ2016年、開幕戦の丸和では3位表彰台を獲得。第2戦・恋の浦は順位をひとつ上げて準優勝、そして地元での第3戦・スナガワで待望の優勝を飾り右肩あがりの成績を残した。

ところが中盤2戦は停滞してしまい、タイトル争いは混戦模様を色濃くしていく。しかし終盤に勢いを取り戻し、第6戦の丸和で3位表彰台に立つと、第7戦・今庄でシーズン2勝目。最終戦は惜しくも優勝には届かなかったが3位でしっかり表彰台を獲得、見事に初の全日本チャンピオンを手中におさめた。

CHAMPION DRIVER

宝田ケンシロー 選手 [PN1クラス シリーズチャンピオン]

2016年を迎えるにあたり、そんなに強い意気込みがあったというわけではないんです(笑)。タイヤと路面が合ってさえくれれば、上のポジションに行けるだろうと思っていましたから。

フタを開けてみたらPN1は混戦模様でしたね。開幕の丸和は3番以内に入れれば良いなと思っていたので、悪くはありませんでした。その後の恋の浦、スナガワと連勝しようと目論んでいたのですが、恋の浦は得意のウェットだったのに勝てなくて。これは精神的にもショックでした。

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こうなると地元のスナガワは絶対に勝たなければ、と。ここで勝てなければチャンピオン争いから脱落してしまう、という危機感が強かったですね。ただ、スナガワのコースに対するプレッシャーとかは無くて、ミスさえしなければ勝てるという自信もありました。特にコースの下段には絶対の自信があるのですが、思い通りに走って勝つことが出来ました。

ところが門前、切谷内と沈んでしまい、心が折れましたね(笑)。もう今年はダメかな、と。そこで切谷内で走り終わってすぐに、オクヤマの社長とウチの親父から「次の丸和に向けてテストに行け」と言われて走りにいったんです。

「1本目はどこでもトップを獲れる、だから2本目でドライになった時にアンダー傾向が強いのを修正して、1本目と同じように走ることが出来れば勝てる」ということをメカニックさんと話し合って、足回りのセッティングを変更しました。それで走ったらADVAN A031、A053、A036とタイヤを履き替える度にタイムがドカーン、ドカーンと上がって。

振り返ってみると、このテストは非常に大きな意味があって、第6戦の丸和はタイヤ選択を外したところもありましたが、それでも3位に残ることが出来ました。そして今庄、ドライ路面における車の動きがとても良くなって、勝つことが出来ました。この勝利は自分の自信にもなりましたね。チャンピオンになって、嬉しいというよりは安心した、ホッとしたというのが正直なところ。奥山社長も親父もとても喜んでくれて、獲れて良かったなと思っています。

【注】「オクヤマの社長」 : チームを率いている、株式会社オクヤマの代表取締役・奥山正さん
「ウチの親父」 : 往年の名ダートトライアルドライバーであり、ケンシロー選手の父である宝田芳浩さん

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谷田川敏幸 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 Dクラス

2016年のゼッケン「01」を装着してシーズンに臨んだ、Dクラスの谷田川敏幸選手。4連覇を目指す谷田川選手、マシンは2014年から投入しているスバル・WRX STIである。ダートラ界では最強を誇るパッケージとも言える体制でチャンピオンの最有力候補とされる谷田川選手だが、2016年は開幕戦の丸和で思わぬスタートとなってしまった。

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第2ヒートで同じヨコハマタイヤを装着する河内渉選手に逆転を許し、準優勝という結果で幕を開けた2016年シーズン。だが、そこはディフェンディングチャンピオンとして第2戦からしっかり強さを見せて、恋の浦、スナガワ、門前、切谷内と破竹の勢いで4連勝を飾り、シーズン中盤戦で早々にチャンピオンへの王手をかける。

ところがシーズン2回目の開催となった丸和での第6戦、ここで開幕戦と同じように第2ヒートで河内選手が逆転を演じて連勝がストップ。続く第7戦・今庄は第2ヒートで散水の影響が残る中、河内選手の連勝を許す結果に。しかし準優勝を獲得、最終戦を待たずして4連覇を達成した。そして最終戦では、谷田川選手らしい豪快かつ繊細な走りでオーバーオールベスト(全車総合1位のタイム)を奪い文句無しの優勝、シーズン5勝目で有終の美を飾った。

CHAMPION DRIVER

谷田川敏幸 選手 [Dクラス シリーズチャンピオン]

2016年は、苦労したシーズンになった部分もありましたね。正直、開幕戦の丸和を3位でスタートして、その後は4連勝をしてチャンピオンに王手もかけましたけれど、また丸和で負けてしまって。今庄も2位で、思うように獲れなかったなという思いはありますね。もうちょっと思い通りに行くと思っていたんですけれどね。

どうしてこうなったんだろうと分析してみると、私の思いとして「走りに対して、自分の走りを徹底したい」ということがあるんです。自分の走りを曲げたくない、ダートトライアルの醍醐味、魅せる走りもありながら、他のドライバーを唸らせるような走りをしながら勝ちたい、というのが自分のポリシーとしてあって、これは曲げたくないんです。

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その中で映像を見たりして分析してみると、コーナーの立ち上がりで車の動きにルーズさが見られたんです。ここが丸和や今庄の硬質路面で前に出て行っていない要因なのだろう、と。ここは来シーズンに向けてアジャストして、しっかり対策していこうと思っています。

毎年、自分がレベルアップするように、オフシーズンの間も北海道糠平の氷上を走ったりして自分の走りを突き詰めて更に上の走りをしたいという取り組みを続けていますが、もちろん来年に向けてもレベルアップを図っていきます。車についても更に進化させていきますが、自分のレベルが上がらなければ車の進化も実現しません。だから、車に対する不満は自分のドライバーとしてのレベルを上げて明確化した上で、しっかり解消していくということを、現役で走る以上はずっとやり続けていきます。

もちろん2017年の目標もチャンピオン。そこで2016年を振り返ると、100点満点で70点でしょうか。足りなかった30点は、もうちょっと早くマシンの不足を見極められて取り入れて行ければ良かったかな、と。シーズンが終わってから気付いても遅かったな、まだまだ自分が甘かったな、という思いがありますね。

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UPDATE : 2.Dec.2016