2016 Japanese Championship Champion Interview (2)

2016 Japanese Championship Champion Interview (2)

全日本ダートトライアル選手権は、2016年も全8戦のカレンダーで北海道から九州までを転戦して競われた。ダートトライアルでは慣熟歩行に加えて、自らの出走順における路面状況を的確に予測した上でのタイヤ選択も重要な勝利へのポイントとなる。特にダートトライアル特有の事象として土埃防止のための散水があるが、水の撒かれ方や量、乾き方などを経験則にも基づいて判断することが選手には求められる。そのような走り以外の部分でも強さを見せ、ヨコハマタイヤ勢は4つのクラスでシリーズチャンピオンを獲得した。まずはSA1とSC2で、栄冠を勝ち取った選手をご紹介していこう。


中島孝恭 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 SA1クラス

SA1クラスを、DC5型のホンダ・インテグラで戦う中島孝恭選手。ランサーやミラージュで参戦した後、2005年からはFTOという意外とも言える車種をチョイスしてSC1クラスに戦いの場を移した。8シーズンをFTOで戦い、2013年にマシンをインテグラに変更。クラスもナンバー付きのSA1に移籍して4シーズン目で悲願のチャンピオンを獲得した。

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2016年は第2戦・恋の浦、前夜からの雨でマッディなコンディションとなった第1ヒートをADVAN A031で走りセカンドタイムを刻む。路面がドライへと転じつつあった第2ヒートではADVAN A053をチョイス、見事な逆転劇を演じてシーズン初優勝を飾ることに成功した。そして続く第3戦のスナガワも、第2ヒートで見事な逆転で連勝してシリーズリーダーとして主導権を握っていく。

前半を締めくくる第4戦・門前は3位で表彰台を獲得してシリーズは折り返し、後半初戦の切谷内を迎えたがここは8位と沈んでしまう。しかし次の第6戦・丸和で準優勝を飾って勢いを取り戻すと、地元開催となる第7戦の今庄で見事にシーズン3勝目をゲット。タイトル争いは優位な立場で迎えた最終戦、惜しくも表彰台には一歩届かなかったが悲願のチャンピオン獲得に成功した。

CHAMPION DRIVER

中島孝恭 選手 [SA1クラス シリーズチャンピオン]

以前は三菱・FTOという、ダートトライアルではちょっと珍しい車種で戦っていました。あまり結果が出なかったのですが、今のホンダ・インテグラに乗り換えて「戦闘力のある車で戦えば、シリーズも狙える」という手応えは持ち続けていたんです。2016年は開幕戦こそ6位でしたが、第2戦、第3戦と連勝したことで波に乗ってチャンピオン争いを展開出来ました。

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第4戦の門前は3位で表彰台に立てたのですが、後半初戦の第5戦・切谷内では下位に沈んでしまって……。シーズン2回目の丸和となる第6戦、ここは開幕戦が6位だったのに対して準優勝でしっかり結果を残せました。そして第7戦は地元でもある今庄ですが、ここは絶対に落とすことは出来ないので、事前にこれまでに無いくらい徹底的に練習しました。

今庄での事前練習は単に走り込むだけではなくて、実戦をシミュレーションしたんです。具体的には、コースに散水をしていただいて乾き方を確認したり。さらに本番での散水から自分の出走順までの待ち時間と同じだけ実際に待ってみて、その上で走ったりしました。それが功を奏して優勝、この勝利は大きかったですね。最終戦では、無事にチャンピオンを獲ることが出来ました。ただ、勝って決めたいところでしたが(苦笑)。

今年は仕事の関係で出張が多くて、飛行機での往復では自己啓発本のようなものを読んでメンタルを鍛えたりもしました(笑)。そのほか、最終戦の前には気分を高めようと思って、優勝した第3戦・スナガワの自分の走りを撮影した映像を見たりもしました。「あの時は、うまく乗れていたよな」と思って見たら、それがまた下手くそでガッカリしちゃって(苦笑)。そんなこともあったのですが、来年の目標は「格好良く、速く」です。ラリーの新井敏弘選手のように、流石にそのままは出来ないですが少しでも自分の今の殻を破ろうというチャレンジをしていきます。今の自分なら、さらに進化出来ると信じて頑張ります!!

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田口勝彦 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 SC2クラス

2012年に全日本ダートトライアル選手権へのチャレンジをスタートさせた田口勝彦選手も、5年目のシーズンを迎えた。昨年はチャンピオンを獲得、2016年は引き続きランサーエボリューションⅩを駆ってSC2クラスでの連覇を目標とした参戦となった。

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開幕戦の丸和、第1ヒートを終えてセットアップをアジャスト。そして第2ヒートは完璧な走りでオーバーオールベストをマーク、文句無しの優勝で幸先よいスタートを切った。続く第2戦・恋の浦も勢いに乗り、乾いていく路面に合わせてADVAN A053のソフトコンパウンドで快走を見せて連勝を飾る。第3戦をスキップして臨んだ第4戦の門前、しかし2週間前にテスト走行で左手の中指を骨折してしまっていた。そんな厳しい状況ではあったが、準優勝を飾ってしっかりポイントを加えることに成功した。

カレンダーは後半戦に入り、第5戦は切谷内。ここは難なく制して3勝目を挙げたが、第6戦の丸和で思わぬ苦戦を強いられて4位と表彰台を逃してしまう。チャンピオン争いが接戦の様相を色濃くする中、第7戦の今庄は散水に翻弄された部分もあり3位に。1点差で追う立場となって迎えた最終戦のタカタ、第2ヒートで渾身のアタックを見せて堂々のシーズン4勝目を飾って連覇を達成した。

CHAMPION DRIVER

田口勝彦 選手 [SC2クラス シリーズチャンピオン]

ディフェンディングチャンピオンでもあるので、「勝たないといけないな」というところから始まった2016年でした。開幕から連勝、ともに公開練習から決勝を通じてタイムも良く、予定通りという感じのシーズン序盤でした。しかし、第4戦を前にテストで転倒してしまい、車はワンオフのリアウィングが無くなり、自分も骨折してしまって調子が狂ってしまいました。ですが、そんな中ではベストを尽くした結果として準優勝を獲得出来ました。

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ただ、振り返ってみるとリアウィングを失ったことは最後まで影響が残りました。後半に入って第5戦の切谷内、ここはドグミッションを使う自分の車ではギアが合わなくて、加速がちょっと不足してしまうのです。失ったワンオフものの代わりに汎用の大型リアウィングを装着して臨んだのですが、アンダーステアに悩まされました。優勝はしたのですが決して手放しで喜べる状況ではなくて、硬質路面用タイヤの使い方や舗装を含めた硬い路面で走ってきた経験値を活かせた結果だと思っています。

第6戦、第7戦とリズムに乗れず、ちょっと追い詰められてしまいました。最終戦のタカタに臨むにあたっては、リアウィングが重くなった分をなんとかしようとフロアガードやマッドフラップなど外せるものは全て外して軽量化を図りました。そして迎えた本番、「とにかく、1番を獲ってチャンピオンを手にするんだ」という思いだけでしたね。エンジンが完調ではなかったのですが、そこは良い意味で誤魔化して走り、余裕というわけではありませんでしたが勝つことが出来ました。

自分はラリーでもダートトライアルでも、尻上がりに良くなるタイプなんです。これはひとつの大会の戦い方に限らず、シーズンという長いスパンでも終盤に向けて良くなる傾向にあるんですよ。だから、今年のように後半に入って追い詰められるような展開というのは初めてでした。そんな中で最後はしっかりとチャンピオンを獲ることが出来て、タカタで第2ヒートをフィニッシュした時は本当にホッとしましたね。

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UPDATE : 11.Nov.2016