2016 Japanese Championship Champion Interview (3)

2016 Japanese Championship Champion Interview (3)

2016年も北海道から九州まで、全9戦のカレンダーで熱戦が繰り広げられた全日本ラリー選手権。クラス区分やターマック(舗装路)ラリーにおけるタイヤ規定の変更もあり、新たな歴史のページが開かれたシーズンとも言える一年であった。そんな中、ヨコハマタイヤ勢はJN5クラスのドライバー/ナビゲーター(コ・ドライバー)両部門を制したのを筆頭に、JN2クラスでもドライバーとナビゲーターそれぞれの部門を制覇。さらにJN1クラスのナビゲーター部門でもチャンピオンを獲得して強さを見せた。全日本ラリー選手権のチャンピオン、まずはJN5を制したクルーからご紹介していこう。


柳澤宏至 選手/中原祥雅 選手 – 全日本ラリー選手権 JN5クラス

2016年の全日本ラリー選手権にやって来た大きな“ムーブメント”が、輸入車の台頭だ。FIA(国際自動車連盟)によりグループR(R1~R3)として公認された、日本の規定ではRR車両と定められたマシンが一気に数を増やし、今シーズンから再編されたクラス区分の中でJN5においてしのぎを削りあった。ヨーロッパでは主流となりつつあるグループRは、競技を戦うために生み出された生粋のラリーマシンである。

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顔ぶれとしては一足先に全日本への参戦を開始していたアバルト・500 R3Tに、今シーズンからシトロエン・DS3 R3 MAX、トヨタ・GT86 CS-R3、そしてプジョー・208 R2が加わり、さらにRJ車両勢のプジョー・208GTi、ミニクーパー・JCW F56、トヨタ・ヴィッツGRMNターボなどと合わせて賑やかなラインアップとなった。

この激戦区で強さを見せたのが、名門・キャロッセがプロデュースしたプジョー・208 R2。海外ラリーの経験も豊富な柳澤宏至選手と中原祥雅選手のコンビが駆り、デビュー戦となった開幕の唐津で準優勝を獲得。第2戦の久万高原こそ優勝目前のトラブルでリタイアとなったが、続く第3戦・若狭で待望の初優勝(コ・ドライバーは加勢直毅選手)。ここから勢いをつけ、第4戦・福島と第5戦・洞爺のグラベル(非舗装路)2連戦を制した。さらに天王山の第7戦・RALLY HOKKAIDOでも優勝、柳澤選手は初の全日本タイトルに王手をかけると第8戦・高山の準優勝で栄冠を手中におさめた。さらに最終戦の新城で3位表彰台を獲得し、中原選手も31年ぶりのチャンピオンに輝いた。

CHAMPION DRIVER

柳澤宏至 選手 [JN5クラス・ドライバー部門 シリーズチャンピオン]

車については、去年の208RJに乗っているのでベースは同じ車体なので基本的なところは分かっていたのですが、やはりR車両はラリー専用に作られた車なので、動きが全然違うんです。良く走るし、曲がるし、軽いし。ミッションもシーケンシャルがついていて、走っていて凄く楽しいし。潜在的なポテンシャルは開幕前のテストから感じていました。

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第2戦では初期トラブル的なこともあってリタイアを喫しましたが、第3戦からは一気に巻き返しを図れました。その背景としては、市販車からRALLY HOKKAIDOに出場したAP4車両まで、色々な車に携わってきた豊富な経験値を持つエンジニアやメカニックの存在が大きいですね。特に会社としては改造車に対するノウハウを持っているので、トラブルが生じた時の対応や事前の対策に長けている部分があります。いくらクルーが頑張っても、トラブルが続くとシリーズタイトルは獲れません。その点、着実に車の信頼性も高まった一年でした。

振り返ってみると、開幕戦はゼロ、実質的に白紙の状態でした。僕自身も左ハンドルは初めてですし改造車に乗ったこともありませんでしたし。全てが未知数の中で手さぐり状態からスタートした、そんなシーズンでチャンピオンというのは、普通ならあり得ないことだとも思います。

自分の今シーズンを自己採点したら、ちょっと良い点数ですが80点くらいかと(笑)。あとの20点は、もうちょっとドライビングでタイムを出せたところがあったのですが、まわりのタイムを聞いて守りに入ってしまったりもしました。R車両が増えてきてハイレベルで競り合うようになると、もっと限界のセッティングを詰めていかなければなりません。そこがちょっと足りなかったので、これは来年に向けた課題だと思っています。

CHAMPION NAVIGATOR

中原祥雅 選手 [JN5クラス・ナビゲーター(コ・ドライバー)部門 シリーズチャンピオン]

31年ぶりの全日本選手権チャンピオン、お祝いの言葉をかけていただいたみなさん、ありがとうございます。神岡政夫選手と組んで、NISMOからフェアレディZで参戦したとき以来ですね。久しぶりのチャンピンを獲得したシーズンでしたが、シリーズを通じて全部追うのは久しぶりだったので結構しんどい一年でもありました。

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今シーズンは新たにプジョー・208 R2で戦いましたが、ドライバーの柳澤選手は色々と大変なこともあったでしょうが、僕は車のことはまったくわかりませんから(笑)。事前の準備から当日の全体的な管理、そしてペースノートのリーディングといったナビゲーターとしての仕事は、どんな車に乗ってもまったく変わりません。あえて今年の208 R2で変わったことといえば、車に灰皿がついていなかったことでしょうか(笑)。

ナビゲーターとして、ドライバーの柳澤選手を見ていると、初めての左ハンドル車で競技をしたはずなのに、最初からそれを苦にしているような感じはまったくありませんでしたね。事前に左ハンドルの運転を、相当に練習したんでしょうかね。だから、SSアタック中のペースノートリーディングもこれまで通りだったんです。2015年にRJ車両の208 GTiに乗ったときは、それまでの4WDターボ車と速度域が違ったこともあって「読むのが早すぎる」と言われたりもしたんですけれどね(笑)。

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UPDATE : 18.Nov.2016