ホイールボルト点検と管理

日常点検

道路運送車両法に基づく日常点検・整備の義務

1目視による外観の点検

  • ホイールナットのゆるみや脱落がないか。
  • ホイールボルトの折損や周囲に錆汁が出た痕跡がないか。
  • ホイールボルトの長さに不揃いがないか。
  • ホイールに錆や亀裂がないか。

2点検ハンマーによる点検

  • ホイールナットのゆるみやホイールボルトの折損等がないか。

    ホイールナットの下側に指を添えた状態で、点検ハンマーを用いホイールナットの上側をナットが締まる方向に叩きます。指に伝わる振動が、他のホイールナットと異なったり、濁った音がしないかチェックします。

点検ハンマーによる点検

定期点検

使用者の点検項目

1ホイールナットのゆるみ点検(3ヶ月点検)

  • トルクレンチを使用し、ホイールナットを規定トルクで締め付けましょう。
  • JIS方式の複輪の場合は、インナーナット、アウターナットの順で増し締めしましょう。

2ホイールを取り外して行う点検(12ヶ月点検)

  • ホイールボルトおよびホイールナットに亀裂や損傷がないか。
  • ホイールボルトおよびホイールナットに錆が出ていないか。
  • ホイールボルトおよびホイールナットのネジ部につぶれ、やせ、かじり等がないか。
  • ホイールのボルト穴、飾り穴の周囲および溶接部に亀裂や損傷がないか、またホイールナット当たり面に亀裂や損傷、へたりがないか。
  • ホイールのハブへの取付面やホイールの合わせ面に摩耗、損傷がないか。

3ホイール取付時に行う点検(12ヶ月点検)

  • ホイールのハブへの取付面、ホイールの合わせ面、ホイールボルトおよびホイールナットのネジ部等を清掃し、泥、ゴミ、錆や追加塗装等の異物などを完全に取り除きましょう。
  • 締め付ける前に、ホイールボルトおよびホイールナットの正しい位置に指定の油類を塗布しましょう。
  • ホイールナットの締め付けは、対角線順に2~3回に分けて行い、最後にトルクレンチを使用し規定トルクで締め付けましょう。
  • ホイールナットを締め付ける際は、手でなるべく奥まで回して入れ、ひっかかり等がないことを確認し、異常があった場合には、ホイールボルト等を交換しましょう。
  • インパクトレンチを使用して締め付ける場合、締め付け時間や圧縮空気圧力等に留意し、締め付けすぎに注意し、最終段階ではトルクレンチを使用して規定トルクで締め付けましょう。
締め付けとオイル塗布の注意ポイント

ホイールナットの締め付けは、対角線順に2~3回に分けて締め付けることが重要です。
トレーラー等一部車両においては、油類の塗布を推奨していないケースがあります。※自動車製作者が指定の油脂類を使用のこと。

■JIS方式(球座面)の場合

エンジンオイル等の塗布部位

エンジンオイル等の塗布部位
8ホイールナット締付け手順

■新ISO方式およびISO 方式(平座面)の場合

エンジンオイル等の塗布部位

エンジンオイル等の塗布部位
10ホイールナット締付け手順

ハブはめ合い部グリース塗布位置

ハブはめ合い部グリース塗布位置

4ホイール取付後の増し締め

  • ホイール取付後(タイヤ交換時も含む)は、50~100km走行後を目安として、トルクレンチを使用し規定のトルクで増し締めしましょう。

規定トルク(社団法人 日本自動車工業会基準値)

JIS方式(8穴) 新ISO方式(8穴・10穴)

550~600N・m(大型車の締付トルク)

新ISO方式(8穴・10穴)
JIS方式(6穴) 各車両毎の規定トルク

ISO方式(10穴)

!タイヤ交換時の注意

  • タイヤ交換時は、12ヶ月点検の項に従って点検、取付を行いましょう。
  • ホイールの種類(スチール・アルミ)に合ったホイールボルトおよびホイールナットを使用しましょう。
  • 使用限度を超えた部品は、ゆるみや異常の原因になる可能性があるので、交換しましょう。
中・大型車のホイールナット締付けトルク一覧