2019年の全日本ラリー選手権はクラス再編に伴い、その表記も大きく変更された。4輪駆動ターボエンジン車が属する最上位クラスは、従来のJN-6からJN-1へと名称を改めたが、その初年度となったシーズンは若手の台頭がベテランの上位陣を大きく刺激する展開に。そんな中でディフェンディングチャンピオンの新井敏弘選手/田中直哉選手組が連覇を達成、シリーズ2位は新井大輝選手/小坂典嵩選手組、3位が奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組となり、最高峰クラスのシリーズトップ3をヨコハマタイヤ勢が占める結果となった。
ディフェンディングチャンピオンとして2018年に続き、VAB型のスバル・WRX STIを駆って連覇を目指す新井敏弘選手/田中直哉選手組。開幕戦のスノーラリーを制して幸先よいスタートを切ったが、第2戦の新城と第3戦の唐津は優勝に届かず、表彰台は確実にゲットしたもののストレスの溜まる展開となってしまう。
そして第4戦の久万高原から参戦してきたのが、息子の新井大輝選手と小坂典嵩選手の“平成生まれコンビ”、この若手クルーは久万高原で圧勝を飾りJN-1クラスの混戦模様がここから色濃くなっていった。第5戦のMONTRE、敏弘選手にとっては群馬、そして県境をまたいでSS(スペシャルステージ)が設けられた長野は田中選手の地元ということで、強さを見せたベテランコンビがシーズン2勝目を飾ることに成功。
巻き返しが期待されたが続く第6戦では出走順の影響もあってまさかのリタイア、ところが第7戦は大輝選手組がリタイアと混戦にはますます拍車がかかっていった。天王山の第8戦・RALLY HOKKAIDOは大輝選手組が制して一気にチャンピオンへ近づいたが、台風の影響もありタフな戦いとなった第9戦・ハイランドでのミスが響くかたちで大輝選手は王座に一歩届かず。苦しいながらも確実にフィニッシュしてポイントを重ねた新井敏弘選手/田中直哉選手組が、ベテランの意地も見せてシリーズ連覇をなし遂げた。
開幕のスノーラリーは勝てたのですが、第2戦の新城からのターマックはマシンのセッティングを間違えたところがあって苦戦を強いられる展開となってしまいました。第3戦の唐津、LEG2の朝にようやく原因が分かって、ウェット路面でライバルを逆転して3位表彰台に滑り込むことが出来たのです。
2019年のシーズンは若手コンビの台頭が話題も集めましたが、戦っている立場としても2018年以上にチャンピオン獲得を強く意識した部分もある一年でした。同じチームの中で親子でのチャンピオン争いがあり、JN-1クラスに2台が出場して出走順も近いことが多かったので、何かと大変なことも多かったですね。
チャンピオンを獲れたから言うのではないですが、若いコンビが力をつけてきたことは刺激にもなって活性化という面で良かったと思います。我々も彼らに引っ張られるかたちになり、結果として成長することが出来たかな、と。JN-1の上位勢では、ドライバーもコ・ドライバーも大きなミスをしない大会は無かったと思います。それだけみんな追い詰められた部分があったということで、クラス全体のレベルアップにもつながりましたね。
新井敏弘選手とコンビを組んで、5シーズン目が終わりました。自分がコ・ドライバーとしてプロ宣言したときに5年がひとつの区切りだと考えていたので、その視点で言えば2019年を戦い終えて一区切りを迎えました。でも、実際のところはどうなるんでしょうね?(笑)
これまで、同じドライバーと5年も組んだことは無いんです。コ・ドライバーとしては今まで見たことの無い新しい道を見てみたいという思いもあって、コ・ドライバーにとっても新しい道に挑むことはエキサイティングで自分の成長にもつながる経験になります。海外にも参戦してみたい、という思いはありますが、ラリーは趣味ではなくプロとして取り組んでいることなので、与えられた環境でこれからもベストを尽くして勝っていこうと思っています。
UPDATE : 27.Dec.2019