2019 Champion Interview =Dirt Trial=

2019 Champion Interview =Dirt Trial=

2019年の全日本ダートトライアル選手権は、クラス再編により新生PN-3クラスが誕生。一方でN-1クラスは今シーズンを最後に廃されることが発表され、両クラスへの注目は必然的に高まる一年となった。そんな中でヨコハマタイヤ勢は、PN-3とN-1の両クラスでシリーズチャンピオンを獲得。さらにPN-2クラスでもチャンピオンに輝き、3つのクラスで栄冠をユーザーが手中におさめたシーズンとなった。


宝田ケンシロー 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 PN-2クラス

2018年にZC33型のスズキ・スイフトにマシンをスイッチ、PN-2クラスへと戦いの場を移した宝田ケンシロー選手。惜しくも同年はシリーズ2という結果になったが、その悔しさもバネにしてチャンピオン獲得を唯一の目標として臨んだ2019年となった。

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シーズン開幕の丸和、宝田選手にとってはこのコースで初優勝を飾って幸先よいスタートを切った。しかしここから3戦はあと一歩優勝に届かないリザルトが続いたものの、それでも表彰台はしっかり獲得してポイントを積み重ねていく。

そして前半戦の締めくくりとなる第5戦の門前は、ヘビーウェットで第1ヒートからトップタイムをマーク、そのまま逃げきりで3年連続優勝を決めて強さを披露。シリーズ後半に入り、第7戦の丸和を制するとここから切谷内、今庄と勢いに乗って3連勝を飾り、最終戦を待たずして第9戦の今庄における優勝でシリーズチャンピオンの栄冠を手中におさめた。

CHAMPION DRIVER

宝田ケンシロー 選手 [2019年 PN-2クラス シリーズチャンピオン]

チャンピオン獲得だけを目標に臨んだ2019年だったので、実現できて安心しました。マシンについても良い感じでブラッシュアップすることが出来て、特に必勝態勢で臨んだ門前で勝った後に第7戦の丸和では大バクチでもあったのですが足回りを大きく変えて、これが上手くいって連勝にもつながりました。

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シーズン前半では苦労した部分もありましたが、それでも表彰台を取りこぼすことなく結果を残してこられたことが大きかったですね。中盤で足回りを含めたアジャストを施して、第7戦の丸和を勝ったときに「今年はイケるかな」とチャンピオン獲得をより強く意識するようになりました。

ライバルと競り合っていくかたちのシーズン後半は、「最終戦まで持ち越してはダメだ」と思っていました。その上でシーズンインの段階で「5勝がチャンピオン獲得の条件」だと思っていたので、終わってみれば最終戦のひとつ前で5勝してチャンピオンを確定出来たので、思っていた通りの展開になりました。

今年、最も印象に残っている一戦は、第3戦のコスモスパークです。散水のタイミングと量の関係で路面状態が厳しく、スタートして1コーナーで心が折れてしまって。結果的には3位で表彰台に立ちましたが、精神面を克服して難しい状況でもしっかり走れるようにならなければと改めて思いました。運転も精神面もまだまだという自覚はあって、どこでもそれなりには走れていますが、どこでも確実に勝てるようにならなければいけないと思っているので、2020年もさらに精進していきます。

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竹本幸広 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 PN-3クラス

2015年からヨコハマタイヤ勢の一人として、名門・TEAM OKUYAMAでトヨタ・86を駆り、旧PN-2クラスを戦ってきた竹本幸広選手。2回のシリーズ3位獲得を経て、2019年は熊久保信重選手率いるチーム・オレンジへと移籍、新生・PN-3クラスを引き続き86で戦った。

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シリーズ前半は、第2戦の恋の浦で獲得した2位が最上位、このほかの4戦はやや苦戦する展開となった竹本選手。しかし、第7戦の丸和で待望のシーズン初優勝を飾ると、第8戦の切谷内は3位表彰台、そして第9戦の今庄で2勝目を挙げて最終戦にチャンピオン獲得の望みをつないだ。

迎えた最終戦のタカタ、大会に先立って発売された「ADVAN A036」の195/65R15サイズを土曜日の公開練習で装着して、フィーリングの確認を行った竹本選手。散水の影響で完全なドライとはいえない路面コンディションでしたが、第2ヒートで195サイズの「ADVAN A036」を装着した竹本選手は大幅なタイムアップで圧勝、見事に悲願のシリーズチャンピオンを獲得しました。

CHAMPION DRIVER

竹本幸広 選手 [2019年 PN-3クラス シリーズチャンピオン]

ダートトライアルでは“苦節9年”、無茶苦茶いろいろなことがありましたがやっとチャンピオンになりました!! 4年間オクヤマさんでお世話になり、2019年からチームオレンジに移りました。ただ、戦う車種はトヨタ・86でタイヤはヨコハマタイヤと、“道具”については何も変わっていません。

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勝負に対する責任感は昨年までと何も変わりませんが、2019年は新しいPN-3クラスが発足したことで、今まで以上に絶対勝たなければいけないという思いがあったシーズンインでした。しかし、ちょっと開幕戦では空回りしてしまったところもありましたね(苦笑)。チームメイトでもある熊久保選手は、自分がエビスサーキットの社員になったことから“社長”でもあるのですが、競技の現場ではチームプレーも出来るので戦いやすいです。使うタイヤやコーナーのギア選択など、互いに違うことを試してトータルでベストなものを組み合わせて決勝の2ヒート目に集約出来ています。

2019年はメンタル面でも、自分の中で成長出来たと思っています。チャンピオンについても第7戦の丸和で勝ったときは「チャンピオンがちょっと近づいてきたかな」という感じでしたが、第9戦の今庄を勝って強く意識するようになりました。でも、だからといってプレッシャーに押しつぶされそうになったという訳ではなく、「勝てるんだ」と思うようにしていました。

最終決戦となったタカタ、第1ヒートはトップタイムではありませんでしたが「自分は勝てる」と強く言い聞かせて。優勝が決まった瞬間は地面に崩れ落ちてしまいましたが、あれはそれまで“強い自分”を作り続けていた緊張の糸が切れてしまったんでしょうね(笑)。ダートトライアルでの9年間、本当に多くの方々に支えられてここまで来られたことに、あらためて深く感謝しています。

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古沢和夫 選手 – 全日本ダートトライアル選手権 N-1クラス

2019年シーズン開幕後に2020年の新規定が正式発表され、N-1クラスにとっては2019年が全日本選手権最後のシーズンとなった。

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ここでチャンピオン争いを激しく繰り広げたのは三菱・ミラージュを駆る古沢和夫選手と、日産・パルサーの北原栄一選手。ともに関東地区戦でも好敵手、切磋琢磨し合うライバル同士が接戦を展開。両者にとってホームーコースの丸和における開幕戦は古沢選手が優勝、北原選手が準優勝のワン・ツーでシーズンインとなった。

第2戦以降は古沢選手が着実に表彰台を獲得、しかし北原選手が第7戦の丸和、第8戦の切谷内を連勝して一気にチャンピオン争いは白熱。古沢選手は第9戦の今庄を制して立場を有利にすると、最終戦もしっかり完走して北原選手を振り切りチャンピオンの栄冠を手中におさめた。

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古沢和夫 選手 [2019年 N-1クラス シリーズチャンピオン]

地区戦からずっとN-1クラスを戦ってきているので、全日本選手権でN-1クラスが2019年で最後というのはチャンピオン獲得を強く意識する一年になりました。ゼッケンも最終出走ということで周りからも「こいつは速いんだろう」と見られるわけですから、何としても勝っていきたかったですね。

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2019年はマシンを新たにして出来上がったのも開幕直前だったのですが、仕様を新しくしたこともあってマシンの状態がとても良く、開幕の丸和を勝つことが出来ました。しかし、あまりに開幕が上手く行き過ぎたところもあって、その後はアンラッキーなパンクや伏兵的なライバルの出現などもあり勝てなかったのですが、堅実にポイントは積み重ねていけました。

そして後半、第7戦の丸和で北原選手が勝って「やばい、勝ち方を覚えたか!?」と思ったら、次の切谷内も連勝されてしまって、これは相当なプレッシャーになりました。だから第9戦の今庄は自分の中で「転がってもいい」くらいの意気込みで臨んだのですが、足回りも今まで以上に詰めて優勝を掴めたのは本当に大きなターニングポイントになりました。

最終戦でチャンピオンを決めた瞬間、夢が実現したという思いもありましたが、それ以上にホッとして力が抜けたというのが正直な思いです。ミラージュとパルサーの対決も注目を集めたN-1クラスでしたが、お互いに切磋琢磨して楽しく戦えたシーズンでした。2020年はSA-1クラスへの参戦を考えています。基本的にはダートトライアルを楽しむというかたちで初心に返って、若手育成もしながら戦いたいと思います。もっとも前半で良い成績を残せたら、そこから欲が出るかもしれませんけれどね(笑)。

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UPDATE : 27.Dec.2019