全日本ラリー選手権はクラス再編により、2019年からはトヨタ・86とスバル・BRZがJN-3クラスに分類された。エンジン排気量2,500cc以下の後輪駆動車と定められたため、実質的に86とBRZのツーメイクスでクラスは構成された。さらにRPN車両も統合されたため、参加台数から見ても大いに賑わいを見せるクラスとなった。それだけに戦いも白熱するクラスだが、全日本ラリー選手権3年目の山本悠太選手が悲願のチャンピオン獲得となった。
全日本ダートトライアル選手権でチャンピオンを2回獲得している山本悠太選手が、新たに全日本ラリー選手権へと戦いの場を移したのは2017年。トヨタ・86を駆ってシーズン3勝を挙げて、大いに強さを見せた。’18年は一勝に留まるも最終戦までチャンピオン争いを展開、しかし最後に僅か0.7点差で涙を呑む結果に。
2年続けて悔しい思いをした山本選手は、新たに同じ中部地区の山本磨美選手をコ・ドライバー(ナビゲーター)に招聘してシーズンイン。スノーラリーの開幕戦はスキップして第2戦・新城からのエントリーとなったが、接戦の末に優勝を飾ることに成功。さらに第3戦・唐津、第5戦・MONTREと3勝を挙げて前半戦を終了。
後半に入っても勢いが留まることは無く、第6戦・カムイ、初開催の第7戦・横手と3連勝でシリーズ争いをリード。第8戦のRALLY HOKKAIDOは優勝こそ逃したものの2位でポイントを蓄積、台風の影響もあってタフな展開となった第9戦・ハイランドも制して6勝目を飾ることに成功。第10戦が災害の影響で中止となったが、ここまでの結果で悲願のチャンピオン獲得に成功した。
2018年はチャンピオンを本当にあと一歩のところで逃して、とても悔しい思いをしました。ですが、2019年も継続参戦することになって、その悔しさをバネにするというのではなく、全てを一旦リセットして新たな気持ちで臨んだシーズンでした。その上で基本的な体制はそのままに、コ・ドライバーこそ磨美選手に替わりましたが旧知の仲ですから、スムーズにシーズンインを迎えられたのです。
2018年までは同じクラスを戦う山口清司選手と組んでいましたが、2019年は山本悠太選手とコンビを組むことになりました。とは言っても同じ中部地区だったので知っている仲でしたから、スムーズにシーズンを迎えることが出来ましたね。
悠太選手の印象は、とにかく練習熱心だということ。練習量そのものも多いし、ペースノートのさらなるブラッシュアップにも常に取り組んでいて、コ・ドライバーという立場にとっては「この人のために頑張ろう」と思わせるタイプなんですよね。
コ・ドライバーとして全日本選手権に参戦するようになって、いつかは自分もチャンピオンを獲得したいと思い続けていました。そして2019年は第6戦の横手を終えてチャンピオンが悠太選手より先に決まりましたが、自分のことの嬉しさよりも悠太選手にチャンピオンを決めてほしいという思いのほうが強かったですね。だから第8戦のRALLY HOKKAIDOで悠太選手のチャンピオンが確定した時に、「これで自分の役目を果たせたかな」と安心しましたね。
悠太選手はペースノートのブラッシュアップに熱心だと先にも言いましたが、自分にもこれは良い刺激になっています。リーディングのタイミングも常に状況を見ながら考えて、より適切に出来るようになっているのではないかと思います。自分もこのまま国内に留まることなく、機会があれば海外のラリーにも出場してみたいですね。その日のために、コ・ドライバーとしてより上を目指して勉強していくつもりです。
UPDATE : 27.Dec.2019