Gymkhana Champipn Brother’s Interview (3)

2019年はPN-3とSA-2、それぞれのクラスで存在感を見せている兄弟、若林隼人選手と拳人選手。全日本ジムカーナ選手権でともにチャンピオンの栄冠を掴んできた二人、2019年のシーズンに懸ける思いをインタビューの最終回ではお聞きしていこう。


ドライビングもキャラクターも似ていない二人

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前回掲載した第2回では、兄弟がお互いを一人の選手としてどう見ているのかをお聞きした。そして兄弟でドライビングスタイルは似ていないという認識を互いに持っていることが分かったが、お互いから得たものか何かあるのか、という質問をしたところまでを紹介した。では、この問いに対する答え、隼人選手から聞いてみると……。

「無いです(笑)」

単刀直入に、こう答えたのである。兄弟ならでは、の答えとも言えるかもしれない。では、一方の拳人選手に同じ問いを投げかけてみると……。

「兄がいたから、自分もどんどんステップアップ出来たのだと思います。自分一人でジムカーナをやっていたら、こんなに早く全日本選手権には来ていなかったでしょう。この点は、兄や親のお蔭だと思っています」

こう答えた拳人選手に、隼人選手も本音で次のように答える。もっとも、そこにはちょっとした“ウラ話”も交えて、となるが(笑)。

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「弟が自分のあとをついてきてくれるのは、とても嬉しいですね。ただ、参戦に必要なホテルを自分で予約するようになったのは最近のことなのです。しかも、僕は弟に必ず『宿は予約した?』と事前に聞くのですが、弟は自分で予約した時は僕に何も言わなくてシレッと自分の分だけ予約しているんです(笑)」

“兄弟漫才”のようなやりとりだが、果たして兄弟それぞれのキャラクターとは……?

「僕たちを浅くしか知らない人は、兄がしっかりしていて僕が軽いキャラクターだと見ているようです。でも、深く知るようになると実は逆で、僕が意外としっかりしていて兄が軽いということに気づくようです」

拳人選手がこう説明すると、隼人選手も続ける。

「間違いないのは、『兄弟で似ているね』と言われることは無いですね(笑)」



更なる飛躍を二人揃って目指す

さて、3回にわたってお届けしてきたインタビューもいよいよ締めくくり。SA-1クラスでチャンピオンを獲得し2017年からスバル・BRZにマシンをスイッチしてPN-3クラスを戦う隼人選手と、同じくSA-1クラスで2年連続チャンピオンを獲得し今シーズンからホンダ・インテグラに乗り換えてSA-2クラスを戦う拳人選手に、クラスと車両を変更しての現状を隼人選手から聞いてみよう。

「ずっとFF(前輪駆動)しか経験が無かったので、FR(後輪駆動)に乗ってみたいと思っていました。BRZになって最初は電子制御やアクセルのフィーリングが全然分かりませんでした。そこに慣れてきたら、今度はFRでのターンが難しくて。そんな中、昨年はセッティングも良くなって表彰台にも立てました。こうなるとあとは優勝あるのみ、まずは一勝してそこから加速していきたいですね」

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一方、今シーズン開幕からマシンとクラスを変更した拳人選手は、

「周りからはPNに行かないのかという声も多かったのですが、そんなお金も無いですし(笑)。そんな中で良いお話しをいただいて、インテグラでSA-2に挑戦することになりました。徐々にSA-2クラスの雰囲気にも慣れてきていますが、なにしろここは激戦区ですから大変です」

それぞれの挑戦が加速する2019年、最後に目標をお聞きしてみよう。まずはSA-2クラスを戦う拳人選手から。

「正直なところ自信は無いのですが、最低でもシリーズ3位以内には入りたいですね」

一方の隼人選手は、先のコメントにもあるようにまずは一勝したいと語っている。ただ、やはり目標はもう少し上を見ているようで、「僕の目標はシリーズ3位以内!! あ、でもそれでは拳人と同じになっちゃうな」と宣言。これに対して拳人選手も「だったら僕の目標は、シリーズチャンピオンで!! あ、言っちゃった……(汗)」と高らかに宣言してくれた。


それぞれが目標に向けて時に二人三脚で、そして時にライバルとして、これからも挑戦を続けていく若林隼人選手と若林拳人選手。1/1000秒の戦いに魅了された兄弟、それぞれのこれからの飛躍にますますの期待が高まるところだ。