Gymkhana Champion Brother’s Interview (1)

本サイトではこれまでにもモータースポーツ界で活躍してきた“親子”や“兄弟”をご紹介してきたが、今回は全日本ジムカーナ選手権でチャンピオンを獲得した兄弟にお話しをお聞きした。2016年にSA1クラスの王座に輝いた若林隼人選手と、2017年と2018年にSA1クラスを連覇した若林拳人選手である。兄弟がジムカーナを戦ってきた道のりや、幼少期の思い出話などをご紹介していこう。


ジムカーナを戦う運命だった兄弟

兄の若林隼人選手は1991年4月生まれ、3歳年下の弟・拳人選手は1994年4月生まれの若林兄弟。実家が自動車販売整備工場を営み、父の良峰さんがジムカーナドライバーとして活躍していたことから、生まれながらにして自動車やモータースポーツが身近な環境で育った。

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隼人選手が「物心がつく以前から、関越スポーツランドに出入りしていましたからね(笑)」と語るように、大人になって兄弟が揃ってジムカーナを戦っているのは運命であるともいえるだろう。

もちろん子供の頃から兄弟揃っての車好き、「子供のころ、家の前にガソリンスタンドがあったのですが、そこに足漕ぎ車で行って『ハイオク、満タン!!』なんてやっていました」という隼人選手のエピソードからも、筋金入りだったことが伺える。

兄弟は成長し、18歳になると隼人選手が運転免許を取得した。免許を取得した隼人選手は、「これでやっと、公にジムカーナを出来るぞって思いました。いつの頃からかはハッキリ言えないのですが、自分はジムカーナをやるんだってずっと思い続けていたんです」と、“免許取得=ジムカーナ参戦”であったと振り返る。

一方の弟・拳人選手は、3歳年下ということで先にジムカーナを始めた兄を羨望の眼差しで見ていたという。「僕は19歳になる少し前に免許を取ったのですが、それまでの間は兄がジムカーナを始めたのを指をくわえて見ていました。当時は高校生、部活が忙しかったのですが早く引退して運転免許を取りたいと思う日々でしたね。部活が無いときには、兄の走りを見に行ったりもしました」


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兄に続いて弟もジムカーナへ、兄弟揃っての参戦に

ジムカーナを始めた兄の隼人選手は、運転免許に続いて競技ライセンスを取得するためにJMRC埼群ジムカーナシリーズのレンタルクラスに参戦。18歳の競技参戦はほぼこれだけで終わったが、年末にひとつの出会いがあったという。

「1,800ccエンジンを積んだEG6型のホンダ・シビックが、家に落ちていたんです(笑)。これに乗り始めて、ジムカーナ場を走るようになりました」

19歳以降も埼群ジムカーナシリーズに参戦した隼人選手だったが、なかなか勝てなかったという。「埼群では初優勝まで時間がかかってしまい、大学3年の時にようやく勝てました。関越スポーツランドのフルパイロンで、『コース、覚えていますか?』という感じでスタートを切ったんです。シーズン開幕戦でしたが、前の年は入賞出来るかどうがくらいで全然勝てるイメージが無かったのです。それがこの時は、『あれ、勝った?』という感じのアッサリした初優勝でした」

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こうして拳人選手が公式戦の初優勝を飾った一方、18歳の終わりに運転免許を取得した弟の拳人選手もジムカーナへのデビューを果たした。

「自分のデビュー戦も、関越スポーツランドでした。ただ、公式戦デビューの想い出は……、1本目でミスコースしたことですかね(笑)」

こう語った拳人選手だが、戦績については「クローズドクラスに参戦したのですが、当時は3本走ることが出来て、1本目が練習でその後に本番2本でした。そのうちの本番1本目がミスコースでしたが、僕ともう一人しかエントリーが無かったこともあって2本目で挽回して勝てました」とのことで、デビューウィンを飾ったのであった。

こうして兄弟揃ってジムカーナを戦うようになった、隼人選手と拳人選手。ここから、時に二人三脚で、そして互いに一人の選手という立場のライバルとして、挑戦は続いていくことになる。


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