Gymkhana Champion Brother’s Interview (2)

全日本ジムカーナ選手権でともにチャンピオンを獲得、さらなる飛躍が期待されている兄弟ドライバー、若林隼人・拳人の両選手。前回は幼少期の想い出も含めてジムカーナを始めるに至るまでの経緯をご紹介したが、今回は全日本選手権での道のりについてお聞きしていこう。


全日本初年度でともに勝利を掴み、ホームコースに恩返しも

いまやジムカーナ界で誰もが知る存在となった若林兄弟、その全日本選手権デビューは3歳年上の兄・隼人選手が一足先に果たすこととなった。2015年3月8日に岡山国際サーキットで開催された、同年の選手権開幕戦がその舞台となった。

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「あの岡山参戦は、実は同年にホームコースの関越スポーツランドで全日本戦が行われることになって、それに出場したいという気持ちが背景にあったのです。関越は参戦希望が多くて不受理も出そうだと思われ、そうなると選手権のポイントを持っていなければ出場が厳しいな、と。そこで、まずは開幕戦の岡山に自分が参戦したんです」

こう語る隼人選手はSA-1クラスにホンダ・CR-Xを駆って参戦、シビックを駆る斉藤邦夫選手を僅差でおさえて堂々の全日本デビューウィンを飾ったのである。当時の模様はレポートに詳しいが、隼人選手のコメントには拳人選手についても触れられている。
Report Archive >> 2015年 全日本ジムカーナ選手権 第1戦

拳人選手も前回ご紹介したようにこの時点でジムカーナは始めていたが、全日本デビューは第2戦の鈴鹿サーキット・国際南コースとなった。

「地区戦は同時に始めましたが、その後は兄が先を行って自分が追いかけていく、そんなパターンでやって来ましたね」と拳人選手が語るように、一戦遅れての全日本戦デビューで兄弟揃うかたちとなった。そしてこの2015年、最後の全日本開催となった関越スポーツランドでの第6戦で拳人選手が全日本初優勝。隼人選手が準優勝で続き、兄弟ワン・ツー・フィニッシュでこの年限りで営業を終了したホームコースに恩返しをしたのだった。
Report Archive >> 2015年 全日本ジムカーナ選手権 第6戦


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誕生した兄弟チャンピオン、その相互評価とは

2016年は全8戦のカレンダー、隼人選手はスナガワを除く7戦に参戦した。そしてシーズンが折り返して後半に入ると波に乗り、第5戦・美川から3連勝。中でも第6戦のツインリンクもてぎ・南コースではこの年2回目のスポット参戦となった拳人選手とワン・ツー・フィニッシュ、今回は昨年の関越とは順位を入れ替え隼人選手がウィナーに。そして最終戦のイオックスアローザでも表彰台をしっかり獲得して、前年はあと一歩で届かなかった全日本選手権チャンピオンの称号を手中におさめた。
Interview Archive >> 2016年 全日本ジムカーナ選手権 チャンピオンインタビュー

全日本を制した兄、それに対して拳人選手の感想とは……「特に何も感じなかったかな。兄でも獲れるんだな、って(笑)」という兄弟ならでは(?)のものだった。そして結果としては“兄を自分が追いかけていく”と先に語ったように、拳人選手は翌2017年にやはりCR-Xを駆ってSA-1クラスのチャンピオンを獲得。2018年も連覇、こうして同一カテゴリーの同一クラスで兄弟チャンピオンが誕生したのである。

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ちなみにチャンピオンを獲得したことで何か変わったことがあるかを問うと、隼人選手は「いろいろな企業の方々に、声をかけていただけるようになりました」と答え、これに続けて拳人選手が「かけられるといえば、ライバルから強くプレッシャーをかけられるようになりました」と見事な連携ぶりで答えてくれた。

さて、ここで若林兄弟の横顔にもう少し踏み込んでお話しを聞いてみよう。まず、ともにジムカーナ会場では兄弟である以前にライバルの一人として互いを見ているとのことだが、ではジムカーナドライバーとして互いをどう見ているのだろうか。まずは兄が弟を評価する。

「拳人は“天才型”でしょう。例えば2019年の開幕戦、筑波では公開練習から速さを見せていましたが、これは新たに買ったインテグラで2回目のジムカーナ走行でしたからね」

隼人選手が拳人選手を“天才型”と評したが、ではその逆に拳人選手に“隼人選手評”をお聞きしてみると……「兄の評価は、選手として以前に人としてどうなのかと……(笑)。ドライバーとして自分と比べると、メリハリが強いと思います。同じ車に乗ると周りで見ている人からは『兄弟で車の動きが全然違って、隼人のほうがメリハリがある』と良く言われます」というもの。

兄弟のドライビングスタイルは似ていないというが、「それぞれがお互いから得たものはあるのだろうか?」という質問に即答したのは隼人選手。気になるその答えは……、次回ご紹介していこう。


次のページでは、2019年シーズンに懸ける兄弟の想いをお聞きします。