TOYOTA 86 / SUBARU BRZ with YOKOHAMA (4)

2013年の夏に富士スピードウェイで産声をあげた、GAZOO Racing 86/BRZ Race。トヨタ86とスバルBRZのナンバー付きレース車両によるレースであり、発足初戦から82台もの大量エントリーを集めて大いに話題を呼んだことも記憶に新しいところだ。
タイヤコンペティションとして開催される86/BRZ Raceも2年目のシーズンに入り、戦いはますますハイレベルなものに。そんな中でヨコハマタイヤは開幕3連勝を飾って、ライバルを圧倒する強さを見せている。


ますます盛り上がりを見せる、いま話題のナンバー付きレース

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ナンバー付き車両によるレースの歴史を紐解くと、その始まりは2000年にさかのぼる。
トヨタ・ヴィッツのワンメイクレースが日本車として初めてナンバー付き車両によって競われるシリーズとして発足し、サーキットへの往復が自走でできることや、ナンバー付きゆえに日常の通勤や買い物の足としても使え、週末はサーキットでレースを楽しむという、新しいモータースポーツライフを確立させた。

その後も多くのメーカーやインポーターが主導してナンバー付き車両によるレースは広まってきた。
しかし、コンパクトハッチバックボディの車種が多かったこともあり、日常の実用性やスポーツドライビングを楽しめる運動性能、手軽な参戦コストといったナンバー付きレースならではのメリットに加えて、さらなる見た目の格好よさをバランスしたカテゴリーの発足を望む声は決して小さくなかった。

そんな期待にも応えるかたちで、2013年夏に発足したのがGAZOO Racing 86/BRZ Race。

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スポーツドライビングに適したFR(後輪駆動)で扱いやすいサイズ、手の届きやすい参戦コスト、全国の主要サーキットを転戦するカレンダー、そしてプロフェッショナルからアマチュアまでが楽しめる敷居の低さなどが歓迎され、初戦から82台という大量エントリーを集めた。

2014年は北海道から九州まで7つのサーキットを転戦する、全10戦のカレンダー。
各地のディーラーやショップが続々と参戦、SUPER GTなどを戦う国内トップドライバーから、各地の地方選で速さを見せるマイスターまで、実に幅広い顔ぶれが同じ土俵でしのぎを削りあっている。
また、車両は安全面はしっかりした規定が設けられている一方、改造範囲はナンバー付きということもあってレース車両としては限られたもの。その中で各チームは切磋琢磨してマシンを造り上げ、セッティングなども上位カテゴリー顔負けのシビアな仕上げが施されている。



2014 Calendar

ラウンド 開催日 コース 開催地
Round 1 [03/29-03/30] ツインリンクもてぎ 栃木県茂木町
Round 2 [04/27] スポーツランドSUGO 宮城県村田町
Round 3 [05/17-05/18] 富士スピードウェイ 静岡県小山町
Round 4 [06/07-06/08] 富士スピードウェイ 静岡県小山町
Round 5 [06/29] 十勝スピードウェイ 北海道更別村
Round 6 [07/26] 富士スピードウェイ 静岡県小山町
Round 7 [09/06-09/07] 岡山国際サーキット 岡山県美作市
Round 8 [09/20-09/21] 富士スピードウェイ 静岡県小山町
Round 9 [10/12] オートポリス 大分県日田市
Round 10 [11/08-11/09] 鈴鹿サーキット 三重県鈴鹿市


86/BRZ Raceを支える、若きタイヤエンジニア

近年のレースはタイヤのワンメイク化が進んでいるが、そんな中でGAZOO Racing 86/BRZ Raceはいわゆるストリートラジアルタイヤに限定する規則こそあるものの、メーカーやブランドについては自由となっている。つまり、SUPER GTと同じく、このレースもタイヤコンペティションの舞台となっている。

そんな中、ヨコハマタイヤを選ぶチーム/ドライバーは多い。2014年は開幕戦から3連勝を飾り、その強さがパドックでも大いに関心を集めているところだ。

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ヨコハマタイヤでこのレースを担当しているのが、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナルの開発部開発2グループに在籍する市村彰宏。この春に着任した新人モータースポーツタイヤエンジニアだ。
入社から欧州メーカーの新車装着タイヤ開発を担ってきた若きエンジニアは、新たにモータースポーツでレースやラリーに携わることになった。

市村はGAZOO Racing 86/BRZ Raceについて、エンジニアとして二つの面があるととらえている。

「開発者個人としては、車種が限られているというのはやりやすいと思います。ひたすらに86/BRZに装着したときのことだけを考えればいいのですから。
ただ、ユーザーさんが自由にタイヤを選べるというのは、エンジニアにとって難しく厳しいところです。レースなのですから勝てるかどうかにはじまり、走らせてのフィーリングやポテンシャルに満足していただけるかどうかの評価はシビアですよね。
もしも装着したタイヤが納得いただけないものだったとしたら、ユーザーさんは別の商品にすぐ買い替えてしまうと思うんです」

そんな中で、市村は“ヨコハマタイヤらしさ”がユーザーの支持を集めているのではないか、という思いも持っている。

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「このレースは幅広い層のドライバーさんが参戦されていますが、ヨコハマタイヤの伝統的なタイヤ造りとして「扱いやすさ」があると思います。ですから、プロフェッショナルからジェントルマンまで、多くのドライバーの方が走らせやすくレースを楽しめるという部分で、ヨコハマタイヤを選ばれる方も多いのではないでしょうか」

WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)やSUPER GTなど国内外のトップカテゴリーを筆頭に、GAZOO Racing 86/BRZ Raceのようなナンバー付きツーリングカーやSuper-FJなどの参加型フォーミュラレースまで、幅広くモータースポーツを支えるヨコハマタイヤ。
若きエンジニアも、モータースポーツの最前線で戦い、成長を続けている。

「GAZOO Racing 86/BRZ Raceは、とても刺激的ですよね。タイヤ開発の立場としても、技術開発のフィードバックがとても早いですし、ユーザーさんからも直接声を聞けますので、得るものはとても多いです。
私はほかのレースやラリーなども担当していますが、エンジニアとしてモータースポーツの現場では、いつも貴重な経験をさせてもらっています」