2020 SUPER FORMULA Round 5 Report

【SUPER FORMULA 第5戦 / 鈴鹿】

1.5秒と大幅なコースレコード更新が実現した第5戦、
山本尚貴選手がポール・トゥ・ウィンで今シーズン初優勝!!

SUPER FORMULA Round 5

開催日 2020年12月5日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 28周
(1周=5,807m)
※30周より2周減算。
参加台数 20台
SUPER FORMULA 第5戦

SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)の鈴鹿大会は、第5戦、第6戦の2レースを1ウィークで行う1大会2レース制での開催となった。それに合わせて、12月4日(金)に専有走行とフリー走行が、5日(土)に第5戦の予選と決勝が行われた。

新型コロナウイルスの影響で、例年よりも年末に開催がずれこんでいる今シーズン。気温も下がり、冷えた状態のタイヤで走り始める危険性を考慮した結果、今大会と最終戦の富士大会においてはタイヤウォーマーの使用が許可された。また決勝レースのフォーメーションラップは前戦オートポリス大会同様に2周となった。

各車は金曜日の専有走行やフリー走行で予選シミュレーションを実施。タイヤウォーマーが使えるようになったことで、コースインしてすぐにアタックに入るマシンも見られ、最終結果では非公式ながら平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がコースレコードを上回るタイムを記録し、翌日の公式予選ではどんなタイムがたたき出されるのか期待された。

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迎えた第5戦当日は雲一つない晴天。日差しはまぶしいほどで、期待は一層高まっていき、そして実際にQ1からレコードタイムが破られる。Q1のA組に出走した山本尚貴選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分35秒153のトップタイムで予選を突破。6位の石浦宏明選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)までがレコードブレイクに成功する。Q1のB組では、出走直前にマシントラブルが見つかった平川選手が予選不通過で最後尾グリッドになるという波乱がある中、トップの福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)から4番手の松下信治選手(Buzz Racing with B-Max)までがレコードブレイクした。

Q2では、山本選手が1分35秒055までタイムを削り、34秒台も視野に入るように。そしてQ3で一気に加速。1分34秒533をマークして、今季初ポールポジションを獲得した。山本選手はQ3でタイヤを2セット使用しタイムアタックを2度敢行。

1度目のアタックで1分34秒749をマークし、2度目のアタックでさらに自己ベストタイムを削ってみせた。2番手につけたのは野尻智紀選手(TEAM MUGEN)。最後のアタックではセクター1で一旦山本選手よりも速いタイムを記録し、一時は山本選手を上回って暫定トップにつけたが、前述のとおり山本選手がさらに速いタイムをたたき出し、悔しい2番手となった。3番手には福住選手が入り、HONDAエンジンユーザーがトップ3を独占。オートポリス大会をスキップしていた中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が4番手という結果になった。

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約2時間のインターバルで決勝レースのスタート進行が始まったが、ここで一つ目のアクシデントが発生する。スターティンググリッドに向かう途中の野尻選手が、スプーンカーブでコースオフ。オフィシャルの手を借りてピットロードに戻ると、トラブルの原因もつかめたことからそのままグリッドへ着いたが、フォーメーションラップで最後尾に付くよう競技団から指示が出され、2戦連続の山本選手とのトップ争いはお預けとなってしまった。

さらに、フォーメーションラップで関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がコースオフし、マシン回収のためにさらに2周のフォーメーションラップ追加。決勝レース周回数は28周に減算され、ようやくスタートとなった。

様々なアクシデントが多発する中のスタートだったが、山本選手と福住選手は順当に1コーナーを通過。その後ろでは好スタートを切った小林可夢偉選手(carrozzeria Team KCMG)が3位ポジションアップに成功していた。その直後、ダンロップコーナーで牧野任祐選手(TCS NAKAJIMA RACING)がコースオフ。車両回収のため、レースはセーフティカー(SC)が導入されることになった。

SCが隊列を離れ、6周目にレース再開。再開後の山本選手は後続を突き放すかのようにファステストラップを連発し福住選手との差を広げていく。山本選手を追いかけたい福住選手だが、10周目に突如スローダウン。マシントラブルが発生し、ここで戦線離脱となってしまった。これで小林選手が2番手、大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)が3番手に浮上するが、両者ともピット作業で手間取ってしまい後退。代わって順位を上げてきたのが中嶋選手と国本雄資選手(carrozzeria Team KCMG)だった。2人は見た目上は8番手、9番手を走行していたが、ピット作業を終えたグループの中では1-2に並んでいた。

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18周を終えたところでトップの山本選手がピットイン。タイヤ交換を済ませピットロードへと戻ろうとしたちょうどその時、松下信治選手(Buzz Racing with B-Max)が130Rでクラッシュ。これにより2度目のSC導入となった。このタイミングで残る6台がピット作業を行い、順位が整理される。山本選手はトップに返り咲き、中嶋選手、国本選手と続く。その後ろには笹原右京選手(TEAM MUGEN)、坪井翔選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、ピット作業で後退してしまった小林選手、平川選手と並んだ。

残り周回数も少なくなった23周目にリスタート。ヒートアップしてきたのは笹原選手と坪井選手による4位争いで、お互いにオーバーテイクシステムを駆使してのバトルが繰り広げられた。その間に後方の小林選手、平川選手も近づき、24周目のホームストレートでは4台が横並び状態に。

そのまま1コーナーへ突入していったが、ここで多重クラッシュが発生し、笹原選手と平川選手がコースサイドにストップ。坪井選手もマシンに大きなダメージを負ってしまい、3台が戦線離脱となってしまった。小林選手もフロントノーズにダメージを受けたが奇跡的にクラッシュを回避。4番手へのポジションアップに成功した。

レースはこれで3度目のSC導入。残り2周でリスタートが切られると、山本選手がファステストラップを更新する勢いで一気に逃げにかかり、中嶋選手に背後を脅かされることなくトップフィニッシュを飾った。2位は中嶋選手、3位は国本選手でそれぞれ今シーズン初の表彰台獲得となった。シリーズランキングでは、ポイントリーダーで鈴鹿大会に挑んだ平川選手がノーポイントとなり、山本選手が逆転首位に躍り出た。

DRIVER VOICE

山本尚貴 選手 [DOCOMO TEAM DANDELION RACING]

【今回の成績 : 優勝】
波乱が起きる予想はしていましたが、周りの混乱に惑わされることなく走ろうと思っていました。福住選手との1-2フィニッシュを飾れなかったのは残念ですが、チームメイトとして、 彼に起きたトラブルが自分にも起きる可能性はあったので、最後まで心配は続きましたし気は抜けなかったです。2日連続で予選と決勝を行うというフォーマットは初めてなので明日も集中して頑張りたいと思います。