2020 SUPER FORMULA Overview

SUPER FORMULAとは

日本のモータースポーツを統括しているJAF(日本自動車連盟)が定めた規則によると、レースとは「同一コースを2台以上が同時にスタートして速さを競う競技」とされている。コースは一般公道を封鎖して設けることも可能だが今のところ日本国内では前例が無く、常設されたサーキットコースでの開催ということになる。

レースを戦う車両については「ツーリングカー」と「フォーミュラカー」に大別され、JAFの規則では後者を「サーキットあるいはクローズドコース上で行われるスピードレースのためにのみ設計された4輪自動車」と定義されており、一般的には一人乗りでタイヤがむき出しのオープンホイールのものがフォーミュラとして認識されている。

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フォーミュラ・レースの頂点としてFIA(国際自動車連盟)の世界選手権であるF1(フォーミュラ1)が広く知られているが、その直下に位置して日本やアジア地域のトップ・フォーミュラとなっているのが「SUPER FORMULA (全日本スーパーフォーミュラ選手権)」だ。国内主要サーキットを転戦し、JAFの全日本選手権タイトルがかけられている。

日本におけるフォーミュラは、古くは全日本F2選手権、その後に1987年からは全日本F3000選手権と、国際規格の車両を用いたシリーズが行われてきた。しかし1996年に、さらなる発展を目指して独自規格の車両による「Formula Nippon」が発足。2013年には「SUPER FORMULA」へと装いを改めて、今日まで開催されてきている。

近年は年間7戦が開催され、一部のサーキットで2大会が行われてきている。レースフォーマットは予選に勝ち残りとなるノックダウン方式を採用、全車が出走するQ1でタイム順に上位14台が勝ち残ってQ2へと進出する。Q2では上位8台が勝ち残り、最終のQ3を走行して最終的な予選結果が決定する。

決勝レースは予選結果を基にしたスターティンググリッドに配され、フォーメーションラップを経て停車状態からレースがスタートするスタンディングスタート方式を採用。決勝レースは規則により1ヒート制の場合、最短110km/最長300kmという距離で行われる。その中で2019年を振り返ってみると、全戦が250km(コース延長により多少の前後あり)で統一されている。

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MACHINE =車両概要=

現在のSUPER FORMULAを戦うマシンは、2019年の開幕戦でデビューした「SF19」だ。イタリアのダラーラ社が製造するシャシーを用い、トヨタまたはホンダ製のエンジンを組み合わせている点は、2018年以前の「SF14」と同じである。

SF19 ※ADVANカラーのマシンの参戦はありません

エンジンは両社製ともに、水冷直列4気筒DOHCターボの直噴ガソリンである。排気量は2,000ccで最高出力は405kW(550ps)以上、これに6速のパドルシフト式ミッションが組み合わされる。車体は全長5,233mm×全幅1,910mmなので、街中を走る車と比べると最上級セダン並の大きさだ。一方で全高は960mmと低いので、一層のワイド&ローを感じさせる。

最低重量はドライバーを含めて670kgと定められており、パワーウェイトレシオはおよそ1.65kg/kW。この値が小さいほど運動性能が高いとされるが、一般市販のトップクラススポーツカーで3~4程度となっているので、レースの為に生み出されたトップ・フォーミュラの圧倒的な高いパフォーマンスが数字にも現れている。

ところで「SF19」を「SF14」と外観で見分けるポイントとなっているのが、ドライバーの周囲に追加されたHaloと呼ばれる安全装備である。屋根が無くドライバーの頭部が露出しているフォーミュラカーにおいて、この装置はSUPER FORMULAには軽く堅牢なチタニウム製を採用。ハイスピードでエキサイティングなバトルの安全性を、従来よりもさらに高めている。



SUPER FORMULAとヨコハマタイヤ

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かつて日本国内のトップ・フォーミュラはタイヤコンペティションの世界であったが、Formula Nipponの2シーズン目となる1997年からワンメイク制が導入された。

これによりヨコハマタイヤはトップ・フォーミュラから姿を消すことになったが、2016年からワンメイクサプライヤーとなり再び足元から走りを支えている。

タイヤはドライ路面で使われる溝の無いスリックタイヤが「ADVAN A005」、トレッド面に溝を有するウェット路面用タイヤが「ADVAN A006」。サイズはフロントが270/620R13、リアが360/620R13で、前後ともホイール径は13インチで同じだが、圧倒的にリアがワイドなサイズとなる。