2020 SUPER FORMULA Round 2 Report

【SUPER FORMULA 第2戦 / 岡山国際】

若手の活躍とベテランの実力が光った第2戦・岡山ラウンド、
坪井翔選手が嬉しいSUPER FORMULAでの初優勝を飾った!!

SUPER FORMULA Round 2

開催日 2020年9月26日-27日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 50周
(1周=3,703m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第2戦

8月に開幕したSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)。第2戦は岡山国際サーキットで開催され、坪井翔選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が初優勝を飾った。2位には僚友の石浦宏明選手が入り、JMS P.MU/CERUMO・INGINGが1-2フィニッシュ。予選で下位に沈んでしまったニック・キャシディ選手(VANTELIN TEAM TOM’S)がディフェンディングチャンピオンらしい走りで3位表彰台を獲得した。

今大会はレースフォーマットを変更。予選・決勝を日曜日に行う1Day開催は変わらず、ガソリン補給はないもののタイヤ交換が義務付けられた。レースウィークに入ると、各チームはマシンのセットアップだけでなくタイヤ交換の練習も念入りに行っていた。

今大会も新型コロナウイルス感染予防対策を受け、外国人ドライバーたちの入国が許可されず、また前週に行われたル・マン24時間レースに参戦したドライバーも不参加となってしまった。そのため、開幕戦に出場した笹原右京選手(TEAM MUGEN)に加え、高星明誠選手(Buzz Racing with B-Max)、塚越広大選手(ThreeBond Drago CORSE)、中山雄一選手(carrozzeria Team KCMG)、宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM’S)、阪口晴南選手(KONDO RACING)がスポット参戦。宮田選手と阪口選手は全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権にレギュラー参戦しており、この週末はダブルエントリーとなった。

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公式予選は、Q1を2組に分けて実施。Q1のA組ではキャシディ選手がトップタイムで通過する一方、前日のフリー走行で速さを見せていた関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がノックアウトされた。B組では宮田選手がトップタイム通過し、阪口選手も3番手でQ2に進出。前戦ポールトゥウィンを飾った平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は一時Q2進出圏外にとどまっていたが、最後のアタックで7番手に浮上し、ギリギリでQ2進出を決めた。

Q2でも速さを見せたのは宮田選手で、1分12秒646をマークしてトップでQ3進出を決めた。しかしポールポジション争いとなるQ3を制したのは平川選手。車両セットアップの調整を重ね、重要な場面でまとめ切り2戦連続のポールポジションを獲得した。

宮田選手は平川選手には届かなかったもののフロントローポジションを確保。3位はサッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)、4位は牧野任祐選手(TCS NAKAJIMA RACING)、5位は大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)だった。JMS P.MU/CERUMO・INGING勢は石浦選手が6位、坪井選手は8位。坪井選手はアタックラップにコースアウトしてしまい、マシンにも大きなダメージを負ってしまっていた。

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迎えた決勝は、フォーメーションラップ中に阪口選手がコースアウトしてしまい、スタートディレイ。周回数も1周減算され、50周のレースとして改めてスタートが切られた。絶好のスタートを切ったのは平川選手で、宮田選手は後方の牧野選手、フェネストラズ選手に挟まれる形でポジションダウンしてしまう。しかしその後方にいた大湯選手がブレーキをロックさせてしまい牧野選手、フェネストラズ選手と接触。2台はマシンにダメージを負い、ここで戦線離脱となってしまった。

レースはセーフティカーが導入され、8周目にリ・スタート。この時点で、アクシデントをうまく切り抜けていた坪井選手が2番手に浮上していた。3番手に石浦選手、4番手にキャシディ選手が並ぶ。また、予選で低迷してしまった関口選手も6番手までポジションを回復していた。

義務付けされたタイヤ交換が可能となる10周目を過ぎると、数台は早々にピットイン。上位陣でも坪井選手と関口選手が11周目にタイヤ交換のためにピットへ向かった。トップを走る平川選手は翌周にピットイン。坪井選手の前でコース復帰に成功するが、まだタイヤが温まっておらず一気に坪井選手が接近する。2台はオーバーテイクシステムを使いながら激しいバトルを繰り広げるが、バックストレートを過ぎたヘアピンコーナーで坪井選手がアウト側から鮮やかにオーバーテイクを決め、平川選手を逆転。タイヤ交換を済ませたドライバーたちの中でトップに浮上した。

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レースはまだ序盤で、まだタイヤ交換義務を終えていないドライバーも半分以上いる中で、見た目上のトップを走行していたのは石浦選手。ピットロードの通過時間とタイヤ交換の作業時間分のマージンを稼ぐため、視界の開けた状態でプッシュを重ねていく。30周を終えて石浦選手がピットイン。この時点で坪井選手との差は36秒程度で、石浦選手が前でコースに復帰するが、平川選手とのバトル同様に坪井選手が急接近する。そして再びヘアピンコーナーで石浦選手のオーバーテイクに成功した。

残る相手はキャシディ選手のみとなったが、ギャップを考えればキャシディ選手が坪井選手の前に立てるとは考えられず、これで坪井選手が実質のトップに立つことに。そしてキャシディ選手がピットへと向かった48周目に、名実ともに坪井選手が首位へと躍り出た。キャシディ選手は3番手を走っていた平川選手の前でコース復帰。冷えたタイヤを巧みにコントロールして平川選手の追随を許さずに、最終的に表彰台の一角を手に入れた。

坪井選手と石浦選手のトップ争いは1秒を切る僅差にもなったが、最後まで集中力を切らさずに走り切った坪井選手がトップチェッカー。SUPER FORMULA参戦2年目にして初優勝を成し遂げた。石浦選手は得意の岡山で後輩に勝利を譲ることとなったが、チームのワン・ツー・フィニッシュに喜びの表情を見せた。3位となったキャシディ選手の後方は、平川選手、関口選手の順でフィニッシュ。ITOCHU ENEX TEAM IMPULはダブル入賞でチームランキングトップを維持した。予選結果から決勝の活躍も期待された宮田選手は最終的に9位。順位を下げてしまったものの終盤は接近戦をしのぎ切ってポイント獲得を果たした。

DRIVER VOICE

坪井 翔 選手 [JMS P.MU/CERUMO・INGING]

【今回の成績 : 優勝】
予選のQ3で自分のミスからクラッシュしてしまい、チームに迷惑をかけてしまったし自分自身の心も折れかけていました。8番手からのスタートでしたが、自分のいた位置が良く、アクシデントに巻き込まれることなく2番手に上がれたことが今日のハイライトです。ピット作業もうまくいき、平川選手、石浦選手をかわすことができました。石浦選手とのバトルは向こうのタイヤがフレッシュだったので厳しかったですが、なんとか守り抜いて、優勝できて本当に良かったです。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

今回もスポット参戦のドライバーが数名いましたが、その中では若手ドライバーたちが速さを見せましたね。特に宮田選手は、一足先にスーパーフォーミュラにステップアップしたフェネストラズ選手と全日本F3時代にしのぎを削って激しい戦いをしていましたから、2人の争いには注目していたのでそれが実現しなかったのは残念です。一方で、決勝で着実に上位に上がってきたベテラン勢は流石ですし、その中で初優勝を飾った坪井選手も素晴らしかったです。

次戦はスポーツランドSUGOが舞台です。今シーズン使っているタイヤは昨年のソフトタイヤと基本的には同じものですし、昨年もコースレコードを更新して速さを見せてくれましたが、まだ速くなるポテンシャルは秘めていると考えているので、またさらにタイムを削るかもしれません。もてぎ、岡山と素晴らしい戦いを見せてくれたドライバーたちが、引き続き魅力的なレースを展開してくれることを期待しています。