2020 SUPER FORMULA Round 1 Report

【SUPER FORMULA 第1戦 / もてぎ】

コロナ対策のもとで2020年のSUPER FORMULAが開幕、
ポール・トゥ・ウィンで平川亮選手が初戦を制した!!

SUPER FORMULA Round 1

開催日 2020年8月29日-30日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(栃木県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 35周
(1周=4,801km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第1戦

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、延期されていた今シーズンの「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」が、ようやく開幕の日を迎えた。参加する各関係者の体調確認や、消毒、ソーシャルディスタンス確保の徹底といった様々な策を講じ、昨年までとは異なる雰囲気の中で行われた今シーズンの開幕戦は、平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が圧倒的な速さを見せつけてポールポジションを獲得すると、一度もトップを譲らずに完ぺきなポール・トゥ・ウィンを飾った。

今シーズンもSUPER FORMULAは4月に鈴鹿サーキットで開幕を迎える予定だったが、8月まで延期となっていた。開幕するにあたって、年初めに発表されていたレースフォーマットも変更され、予選・決勝を1日で行う1Dayレースのスケジュールに。決勝レース距離は160kmに短縮となり、途中でピットインしガソリン補給する必要がなくなった。トラック上の戦いで勝負が決する、まさにドライバーズ・レースの形だ。

ドライバーラインアップも、ルーキーが5名登場。昨年の全日本F3選手権でチャンピオンとなったサッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)やF1テストドライバーの経験も持つ女性ドライバー、タチアナ・カルデロン選手(ThreeBond Drago CORSE)らに注目が集まる。なお、今シーズンはドライタイヤに関しては1スペックのみで、タイヤ交換の義務付けもなくなっている。

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28日(金)から走行セッションが設けられ、SF19のエンジンサウンドがツインリンクもてぎに響く。今大会はレース関係者との接触は極力避ける形ながらも観客を入れての開催で、グランドスタンドやコースサイドではこの練習日から、国内トップフォーミュラの走りを楽しむファンの姿が見られた。

金曜、土曜の2日間で計4時間の走行が行われたが、その中で好調さを見せていたのは平川選手と関口雄飛選手を擁するITOCHU ENEX TEAM IMPUL勢。また昨年のもてぎ大会でコースレコードとポールポジションを獲得したTCS NAKAJIMA RACINGは、ルーキードライバーの大湯都史樹選手がセッショントップを奪うなど期待を集めていた。

迎えた予選は、気温、路面温度ともにあまり高くない午前中のセッションということも影響して驚くようなタイムが連発した。Q1で早くも福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がわずかにコースレコードを更新すると、Q2でトップに立った平川選手がそれを約0.3秒上回る1分31秒096をたたきだしてさらに更新。

そしてQ3で、自身のそのタイムを100分の1秒削った平川選手が新たなコースレコードタイムを樹立するとともに、2番手に0.2秒近い差をつけてポールポジションを獲得した。フロントロウに着けたのはルーキーのフェネストラズ選手。3番手には山下健太選手(KONDO RACING)が入った。

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予選からわずか3時間のインターバルを挟み、決勝レースがスタート。8月のもてぎには容赦なく真夏の日差しが照り付け、気温、路面温度ともに上昇。灼熱の過酷なコンディションの中、各車が一斉にスタートを切った。

平川選手が抜群のスタートを決めてホールショットを奪う一方、フェネストラズ選手は僅かに出遅れ山下選手の先行を許す。山下選手は勢いそのまま平川選手に襲い掛かるが、冷静にこれを押さえきった平川選手がオープニングラップを制した。

その後方では、4番グリッドからスタートした大湯選手が他車との接触でフロントウィングを破損し緊急ピットイン。また、坪井翔選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)がコースオフを喫するなどスタート直後の混乱はありつつも上位陣は安定。平川選手を先頭に山下選手、フェネストラズ選手、中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM’)の4台が5番手以降を次第に引き離していった。

4台それぞれのギャップは1秒前後で推移。0.1秒削っては0.1秒広げていくという、ドライバー達にとっては神経戦のような展開が続いた。

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のちに記者会見で「逃げようとしても逃げ切れない距離で、タイヤをいたわりながら丁寧に走ることに集中して、気が抜けないレースだった」と語った通り、平川選手は後ろの山下選手とのギャップが広げられない中でも安定したラップタイムを刻んでいき、最後までその集中力を切らさなかった。

最終ラップで山下選手が勝負をかけ、オーバーテイクシステムを使って一気に差を詰めてきたところでも冷静に対応。0.6秒の差を守り切り、トップチェッカーを受けた。これで自身2勝目となる平川選手だが、いずれもこのもてぎでの勝利。ストップ&ゴーレイアウトでマシンに厳しく、また季節的にはドライバーに対しても過酷なラウンドを2年連続で制した。

2位には山下選手、3位にはフェネストラズ選手が入った。山下選手は世界耐久選手権(WEC)へ参戦する関係でこの開幕戦への出場が一時危ぶまれていたが、無事エントリーリストに名を連ねることができた中での表彰台獲得。この結果、KONDO RACINGが開幕戦を終えてチームランキングトップにつけている。

DRIVER VOICE

平川 亮 選手 [ITOCHU ENEX TEAM IMPUL]

【今回の成績 : 優勝】
スタートが重要だと思い集中して臨みました。大きな失敗がなければ抜かれないと思っていて、落ち着いてスタートが切れた結果、山下選手を上手く抑えることができましたね。そこから先は逃げようとしても絶対に逃げられないと分かっていたので、タイヤをいたわりながら、慎重に走っていくという展開でした。集中力を切らさずに走り切れて優勝できたことは良かったです。今シーズンは有効ポイント制になっているので、勝てる時に勝っておくというのは大きいので、次戦の岡山も集中してやっていきたいと思います。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

今シーズンのSUPER FORMULAはドライタイヤに関しては、昨年のソフトタイヤと基本的には同じものを1種類ということになっています。また新型コロナウイルスの影響を受けて、レースフォーマットやスケジュールが大きく変わりました。コロナ禍という状況で、現場でサポートするスタッフもこれまでとは違う体制でタイヤ供給を行わなければいけませんが、密になることを避けながら、問題なく開幕戦を終えることができました。

コースレコードが大幅に更新されましたが、もてぎは素直なコースなのでドライバーの頑張りがきちんと反映されましたし、予選セッションが午前中になったことでクルマに対してはタイムを出すのに有利なコンディションだったと感じています。今シーズンは午前中に予選が行われるのが基本的なレーススケジュールになると思いますが、季節的にはどんどんと気温が下がっていくので次戦以降もコースレコードの更新を期待しています。

今シーズンに向けて準備していたことが4か月も延期になっていたところ、ようやく開幕を迎えることができました。ここからはスケジュールもぐっと詰まった状態で残り6戦が行われます。岡山でも面白いレースが見られることを期待していますし、そのレースを足元からきちんと支えられるようにサポートしていきたいと思います。