2016 SUPER FORMULA Round 3 Report

【SUPER FORMULA 第3戦/富士】

日本屈伸の高速コース・富士スピードウェイで展開された緊迫のマッチレース、
中嶋一貴選手との一騎打ちを制してJ.P・デ・オリベイラ選手が今季初優勝!!

SUPER FORMULA Round 3

開催日 2016年7月16日-17日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 55周
(1周=4,563m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第3戦

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

激しい雨によって予想外の幕切れとなった5月の岡山大会から、1カ月半もの長いインターバルを挟んだ7月16~17日、富士スピードウェイにて「全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦」が開催され、緊迫した攻防の末、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が今季初優勝を飾った。

夏休みを目前とした週末ながら、今大会はすっきりとしない天候が続いた。金曜夕方のフリー走行は終始レインタイヤでの走行となっただけでなく、土曜午前のフリー走行も霧雨が断続的に降りレインタイヤでの走行に。さらに土曜午後2時45分からスタートした公式予選Q1セッションも、直前に降雨がありレインタイヤでのアタックとなったが、ここではストフェル・バンドーン選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、1分43秒343でまずはトップ通過。オリベイラ選手、そしてチームメイトの関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が2~3番手で続いた。

20分間のQ1に続いて行われた7分間のQ2では、やや路面コンディションが回復する中、ディフェンディングチャンピオンの石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING)が、1分42秒833で中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)を抑えてトップタイムをマーク。しかし、ここでは小林可夢偉選手(SUNOCO Team LeMans)ら実力者も多く脱落することに。

そして最後のQ3セッションでは、さらに路面が好転して行く中、バンドーン選手が1分40秒778にまでタイムを伸ばし、トップに立った状況で2番手につけた石浦選手のラストアタックに注目が集まったが、惜しくも逆転はならず。バンドーン選手が初のポールシッターの座を射止め、石浦選手が2番手。3番手にはオリベイラ選手、4番手にベルトラン・バゲット選手(NAKAJIMA RACING)という上位陣となった。

一夜明けて日曜の富士スピードウェイは、ほとんど雨は降っていなかったものの、相変わらずのウエット路面でのフリー走行で幕を開けたが、30分間のこのセッションでは途中からドライタイヤを履くマシンがほとんどという状況に。終盤、スピンを喫した車両がコース上にストップしたためセッションは赤旗となるが、このまま終了かと思われた再開直後、中嶋大祐選手が300Rで大クラッシュをしてしまい、決勝欠場を余儀なくされてしまう。

そして迎えた日曜午後2時。ようやく雨の気配も去り、全車ドライタイヤで55周の決勝に臨んだ。フロントローのバンドーン選手、石浦選手がTGRコーナーで先陣を争うものの、互いにコースをはみ出してしまい、その間にトップを奪ったのはオリベイラ選手。ところが、オリベイラ選手も4周目にコースオフを喫してしまい、中嶋一貴選手にトップを譲り渡すことに。

14周目には1コーナー立ち上がり付近で国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING)がスピンし立ち往生。このためセーフティーカーが導入され、この間に各陣営がピットインで給油作業を行うものの、上位陣には順位変動はなく、トップ中嶋一貴選手、2位オリベイラ選手が接戦のまま首位争いを続ける。その後方では、バゲット選手、バンドーン選手、関口選手、アンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が集団での接近戦を演じるが、ここから抜け出した関口選手が3番手に浮上を果たす。

一方、コンマ数秒差の攻防となっていた優勝争いは、51周目のTGRコーナー進入でオリベイラ選手がついに中嶋一貴選手を逆転することに成功。そこからギャップを拡大したオリベイラ選手が、見事な逆転でマッチレースを制し今季初優勝を飾ることとなった。

2位には中嶋一貴選手、3位にはこれがSUPER FORMULA初表彰台となる関口選手。以下、4位ロッテラー選手、5位ロシター選手、6位に石浦選手が続く結果となった。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 開発本部 プランニング ジェネラルマネージャー]

今大会を振り返ったとき、ウェットコンディションに関しては想定していたよりも遅いタイムしか出なかったな、というのが正直な感想です。チームの中には「なにかレインタイヤが変わってしまったのでは?」と思われたところもあったようですが、そんなことはありませんし、昨年から今年にかけて、これまで富士では2度ウェットを走る機会があり、そこでは今回よりも5~6秒速いタイムが出ていました。そのあたりを踏まえると、今大会ウェットでタイムが伸びなかったのは、路面からのなんらかの影響があったのではないかと推測しています。

一方、決勝ではドライでの走行となったわけですが、タイム的には悪くなかったですね。通常は予選で使用したタイヤを履きますが、今回は予選でレインタイヤを履いたために、ほぼニュータイヤに近い状態で決勝をスタートしていたので、ピークグリップが高いために相対的な落ち幅は大きいのでは、と思っていましたが、トップ2台も終盤でもベストタイムから1秒落ち程度で走っていましたし、終盤にベストラップを刻んだドライバーもいました。ドライタイヤに関しては非常に安定していましたし摩耗も問題なく、フィニッシュ後のタイヤは“いい肌”のものが多かったですね。

次戦はもてぎですが、涼しかった今大会とは違い真夏の暑いコンディションになるでしょうけれど、6月に行ったもてぎでのタイヤテストでは現状のコンパウンドはもちろん安定していましたし、次のもてぎで投入するソフトコンパウンドも試していいデータが得られています。各チームがソフトコンパウンドをどのように使うのか、今から楽しみですね。