2015年のモータースポーツカレンダー、スピード行事のジムカーナとダートトライアルについては、ともに10月のうちに全日本選手権はすべてのカレンダーを終了し、チャンピオンも確定した(最終決定は11月のJAFモータースポーツ表彰式)。ことしもヨコハマタイヤとともに栄冠を掴んだ選手のご紹介、まずは第一弾として全日本ダートトライアル選手権からお届けしていこう。
ダートトライアルの歴史においても、大きな存在であった三菱ランサー・エボリューション。市販モデルにひとつの区切りがつけられた2015年だが、ダートトライアル界で“ランエボ使い”として知られているのが荒井信介選手だ。長くドライバーとしてステアリングを握ってきたのみならず、三菱のディーラーマンとして多くのユーザーとランエボに関わってきている。
ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2015年、もちろん相棒はランサー・エボリューションⅩ。しかし開幕戦の丸和は0.133秒という僅差で2位、そして第2戦・恋の浦はまさかの6位に沈んでしまう。
その後も優勝まであと一歩届かない状況が続いたが、第3戦から第5戦まで確実に表彰台を獲得。そして第6戦の野沢で今季初優勝。タイトル争いは最終戦の門前に持ち越しとなったが、第1ヒートでライバルがまさかの転倒。しかしマシンは修復され第2ヒートに出走、荒井選手もこれに応えるかたちで好走、見事に優勝を飾って2年連続8回目の全日本チャンピオンに輝いた。
2015年は連覇が目標、そこに向けてどうすれば良いのか、ということを考えてのシーズンインでした。ところが開幕戦を、いきなり2位で終わってしまって。ここで優勝していれば、かなりシリーズをスンナリと戦えて行けたような気がしています。どうにも難しい出だしになってしまいましたね。
全日本ダートトライアル選手権のパドックで、「ヤタさん」とファンから親しみを込めて呼ばれるベテランが、谷田川敏幸選手だ。モータースポーツに興味を持って大学では自動車部に所属、全日本ダートトライアル選手権には30歳でデビューを果たした。1998年と2002年にC3クラスで王座を獲得、2005年からはSC3クラスで7年連続の王座という圧倒的な強さを見せてきた。2013年には移行2年目のDクラスで王座を獲得すると、’14年、そして’15年と3年連続で栄冠を手中におさめた。
谷田川選手のマシンは、2シーズン目を迎えたGVB型・スバルWRX STI。マシンのポテンシャルはシーズンオフの間に大きく高められ、開幕戦から3連勝で前半戦は勢いに乗った。しかし第4戦・タカタでは0.372秒差の準優勝、そして第5戦・切谷内はまさかの4位で表彰台を逃してしまう。
中盤戦は足踏みの状態となってしまったが、第6戦・野沢では河内渉選手とヨコハマタイヤ勢でワン・ツーを飾り、再びチャージ。第7戦・今庄も制して、最終戦を待たずしてチャンピオンを確定。そして第8戦・門前も優勝で有終の美を飾り、有効得点で満点チャンピオンに輝いた。
ライバルたちも車をしっかり仕上げてきますから、うちもセッティングとあわせて準備をしっかり整えて臨んだ2015年シーズンでした。開幕から三連勝を飾れたので、やって来たことに間違いは無いんだ、という自信にもつながりました。ところが第4戦は2位、第5戦は4位と、取りこぼしてしまって、ちょっと厳しい状況に転じてしまいました。亀山晃選手が調子を上げてきていたので、その存在感は不安な部分でもありましたね。
しかし、こちらも車のセッティングを見直したりして、第6戦の野沢で勝てたのは大きかった。ここで負けると心情的にも厳しいものになるかと思っていたので、何としても勝ちたかっただけに、この一勝は大きかったですね。王座獲得までの戦いを振り返ると、最後は自分を信じて、自分を走りを徹底することに尽きます。その上で、タイヤやメカニックを信じて走らせてもらえる環境、これは大きいですね。こういう環境を整えておけば、それはたまには負けることだってあるかもしれませんが、負ける要素は無いなと自分で思っています。
GVB型のWRX STIは2年目でしたが、エンジンを少しやり変えたり、足回りなどを最適化するなどして、いまのベストはどのような状況なのかを追い続けています。何かをすればメリットもデメリットもあるのですが、そんな中で現状の仕様が最高の状態になっていると思います。結果的に最終戦を待たずして王座を決められ、最終戦も勝ててシーズンを終えた正直な心境は「ホッとしている」に尽きますね。そして応援してくださっているみなさんに、感謝の気持ちでいっぱいです。もちろん来年はさらなるレベルアップを模索して、連覇を目指します!!
UPDATE : 23.Oct.2015