トップメッセージ
厳しい市場環境の中でも成長基盤を強化
2025年は、OHT事業にとって非常に厳しい市場環境の1年でした。米国関税の影響、高金利、農産物価格の低迷など、多くの逆風が重なりました。しかし、そのような環境下においても、OHT事業の各事業はすべて前年を上回る利益を計上し、投資家向け業績予想公表値を14億円上回る成果を達成しました。
私は、「ピンチをチャンスに変える」という考えを大切にしています。2025年は厳しい市場環境を逆に活用し、主要顧客におけるシェア拡大やバックオフィスの業務プロセス改革、生産体制再編によるコスト構造改革を推進しました。その結果、Y-ATGでは創業以来初めて最大の競合他社を市場シェアで上回り、Y-TWSでは欧州の農機メーカー向け新車装着用タイヤで55%という高いシェアを獲得しました。また、Y-ATGでは年間600以上という過去最多の新製品・新サイズの投入を実現しています。
さらに、収益改善に向けた構造改革も進め、不採算工場3拠点を閉鎖し、生産を他拠点へ円滑に移管しました。こうした取り組みにより、市場回復局面において大きな利益成長を実現できる体制を整えることができたと考えています。
OHT事業は各カンパニーの強みを活かし成長を加速
OHT市場への参入自体は決して不可能ではありません。しかし、この市場で継続的に成長し、高い収益性を維持することは容易ではありません。当社は、長年培ってきた製品力と開発スピード、Interfit等のサービスネットワーク、顧客基盤を活かしながら、競争優位性を強化しています。
2024年には、OHT事業をY-ATG、Y-TWS、Y-OTRの3つの独立したカンパニーに再編しました。Y-TWSとY-OTRはプレミアムセグメントに特化し、Y-ATGはバリューセグメントに注力しています。これらの各市場に合わせた戦略を展開するため、各カンパニーはそれぞれ独立した営業機能を維持しながら、調達や生産などのバックエンド機能を統合することでシナジーを最大化していきます。
Y-ATGでは、全世界でバリューセグメントにおける市場シェア拡大に注力しています。また、UTV※1/ ATV※2用のタイヤなど新たな製品領域への展開を進めるとともに、「Galaxy」ブランドの農業機械用タイヤのラインアップ拡充を図っています。
Y-TWSは欧州市場において非常に強固な地位を築いており、その成功モデルをグローバルに展開しています。加えて、独自技術を活かした農業機械用ラバートラック※3や、PneuTrac技術※4を活用した製品開発を進めています。「Mitas」ブランドの二輪車用タイヤ事業も高成長を続けており、生産能力増強を進めています。
グッドイヤー社のOTR事業が新たに加わったY-OTRについては、引き続き多くの製品についてグッドイヤー社の工場から供給を受けているため、生産コスト改善が重要なテーマです。一部製品については、生産コストが市場価格を上回る状況もあるため、当社グループ内の低コスト生産拠点への移管を進め、収益性向上に取り組んでいます。
- 1 Utility Task Vehicle(多目的作業車)の略称
- 2 All-Terrain Vehicle(全地形対応車)の略称
- 3 車輪の代わりに装着するゴム製の履帯(クローラー)
- 4 ラジアルタイヤの燃費性能や操縦安定性と、ラバートラックの高浮力や牽引力といったメリットを融合させたタイヤ技術
インド事業が成長と収益性を牽引
インドの乗用車用タイヤ生産販売会社Yokohama India Pvt. Ltd.(YIN)は、市場全体の成長率が4~5%程度にとどまる中、前年比15%を超える成長を継続しています。現在では、グループ内でも最も成長性と収益性の高い事業の一つとなっています。
また、YINの工場はグループ内でも極めて高いコスト競争力を有しており、低コスト操業を実現しています。その一方で、製品はプレミアムセグメントで確固たる地位を築いており、成長性と収益性を両立できている点が大きな強みです。
今後も、成長市場であるインドにおいて、ブランド力・商品力・コスト競争力をさらに強化し、グループ全体の成長を牽引していきます。
ステークホルダーへのメッセージ
9年前に横浜ゴムグループへ加わって以来、当社の成長と変革に深く携わってきました。当社は、OHT分野における無名の存在から、現在では世界第3位のOHT企業へと成長しています。
この成長は、単なる事業規模の拡大ではなく、構造改革、商品力強化、グローバルネットワーク構築を着実に積み重ねてきた成果です。そして今後も、さらなる収益性向上と競争力強化を進めることで、世界第2位のOHT企業を目指し、持続的な企業価値向上を実現してまいります。

