2020 宮田莉朋選手インタビュー =前編=

2019年のSUPER GT、GT300クラスにおいて第6戦・オートポリスで悲願の初優勝を果たし、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)との特別交流戦と併せて行われたスプリントカップの2戦では、いずれも勝利をおさめた宮田莉朋選手。まさに有終の美を飾ったかたちとなったが、2020年はGT500にステップアップ。TGR TEAM WedsSport BANDOHから出場、ヨコハマタイヤとともに戦うこととになった。新型コロナウイルスの影響を受けているシーズンだが、待望の開幕戦を前にした今の思いの丈を聞かせてもらうこととしよう。


GT500をドライブする“楽しさ”と“嬉しさ”

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近年、GT300からトヨタ期待の若手ドライバーを受け入れ続けてきた、TGR TEAM WedsSport BANDOH。育成能力には定評のあるチームだけに、宮田選手にとっては格好のステップボードであるのは間違いない。

とはいえ、新型コロナウイルスの影響でスケジュールの大幅な変更を強いられ、ようやく7月18日から19日に静岡県の富士スピードウェイで幕を開けることとなった2020年シーズン。まさに待ち焦がれた開幕の時を控えて、まずはGT500の印象を聞いてみた。

「去年、一回トムスから“代打”でGT500に出場しましたが(第2戦・富士)、その時と一緒でやはり乗っていて楽しいと思えるクルマでした。もちろんGT300のレクサス・RC F GT3が楽しくなかったというわけではなく、GT500では限界が自分の想像を超えたところまで行けるのです。面白さを今年最初のテストから感じましたし、その中で好い走りもできていたので、とても自分に合っている、というか。ドライビングを含めて楽しく走れるクルマという理解が、あらためて出来ましたね。そういう意味では今年レギュラーで走れるというのは、すごく嬉しいです」

PROFILE =プロフィール=

宮田莉朋 選手

宮田莉朋 選手 =Ritomo Miyata=

1999年8月10日生まれ、神奈川県出身。

2004年からカートレースを始め、地方のシリーズで数々のチャンピオンを獲得。’13年には全日本選手権に参戦し、翌シーズンには最高峰のKF1クラスでチャンピオンに輝いた。

2016年にFIA-F4で四輪レースにデビューすると、早々に表彰台を獲得して頭角を現す。2016年からはフル参戦し、2年連続でチャンピオンを獲得。

2017年から全日本F3選手権を戦い、ランキング4位、2位、2位。通算10勝。

2018年からはSUPER GTのGT300クラスにも出場し、’19年の第6戦では初優勝を飾っている。



GT500ならではの“ヒリヒリ”する世界

GT500のレギュラードライバーとなったことに、素直な喜びを見せる宮田選手。ところでGT300からステップアップすることについて、もう少しGT500とGT300の違いを聞いてみよう。

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「GT300は電子制御、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やトラクションコントロールなどを装備しているので、そこそこ誰でも走らせられるんですよ。対してGT500では、スロットルなどのある程度細かいところはあるのですが、基本的にそういうデバイスがついていません。つまり、ドライバーの技量で速く走らせられるわけです。

さらにもうひとつGT300とは異なり、GT500ではBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)という性能調整の仕組みがありません。

こうした違いからメーカーとチームが団結して競うという、BoPなしのヒリヒリするようなメーカーの戦いがGT500ならではの世界ですね」

いよいよ来週(7月18日・19日)には開幕戦を迎えるが、ここまで2回の公式テストで走行を重ねてきた宮田選手。正直な心境としては若干の出遅れ感も感じているというが、開幕に向けて不安はまったく無いとも語ってくれた。

「正直、メーカーテストに全然参加できていないのと、岡山のテストでクラッシュしちゃって、メニューを完全にこなせなかったので、まわりに比べれば一歩出遅れちゃっているかな、と個人的に思っています。でも、その中でも走るたび進化はしているので、あとは開幕戦に反映できたら、いや、きっとできるだろうと思っています!!」

姿勢はいたって前向きな宮田選手。後編ではヨコハマタイヤの印象と目標を聞いてみよう。

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