REVIVE ADVAN IN GT =後編=

前編では1994年から2003年までの、全日本GT選手権におけるヨコハマタイヤのGTレース史を振り返った「REVIVE ADVAN IN GT」。後編では2005年から現在に至るSUPER GTについてお届けしよう。


SUPER GTの幕開けを制したヨコハマタイヤ

2005年、それまで全日本選手権タイトルがかけられていたGTレースは、現在に通じるSUPER GTへと装いを新たにして発足した。背景には海外での開催拡大などがあり、日本の枠に留まらない更なる発展を期待させるものであった。

[Photo]

そして迎えた開幕戦の舞台は岡山国際サーキット、こちらも同年1月1日にそれまでのTIサーキット・英田から名称を改めていた。週末の二日間で足を運んだ観客は8万4千人あまり(主催者発表)となり、スタンド席はもちろんコースサイドを大勢のファンが埋めつくした中で注目のシーズン初戦は戦いの火蓋が切られた。

まだカレンダーは3月、曇り空で肌寒さも感じられるコンディション。路面温度は19℃と低めに推移していた中、3番手グリッドからスタートしたのは名門・土屋エンジニアリングが手がける「ECLIPSE ADVAN スープラ」。スタートを担当した織戸学選手はダッシュを決めて、オープニングラップの1コーナーでひとつポジションアップ。さらに9周目にトップ車両をロックオン、早期から発熱して高いグリップ力を発揮するタイヤパフォーマンスも活かして快走を見せた。後半を受け継いだドミニク・シュワガー選手も独走、記念すべきシリーズ発足初戦でヨコハマタイヤが優勝を飾った。



KONDO RACINGの参戦、歓喜の勝利へ

2006年、GT500クラスに日産・フェアレディZでKONDO RACINGが参戦を開始。2007年は前年後半から加入した荒聖治選手と、J-P・デ・オリベイラ選手のコンビで臨み、6月に参戦13戦目となる第4戦のセパン(マレーシア)ラウンドを迎えた。

[Photo]

24日(日)の現地時間16時にスタートした決勝は、気温35℃、路面温度は51℃というタフなコンディション。14番手からスタートした「WOODONE ADVAN Clarion Z」は、オリベイラ選手が怒濤の走りで19周目にはトップを奪った。さらに圧巻はハイペースな走りながら33周まで引っ張りピットイン、ワンストップ作戦を敢行したのである。摩耗という性能面でも優れたパフォーマンスを見せたヨコハマタイヤ、後半を担当した荒選手は独走のままでファイナルイン、近藤真彦監督の待つホームストレートを通過してウィニングチェッカーを受けることに成功した。

マシンが日産・GT-Rへとスイッチされた2008年も、セパンで強さを見せたのはKONDO RACING。決勝はオリベイラ選手が3番手で、後半を担当する荒選手へとバトンを繋いだ。そして50周目、先行するトップ車両が見せた一瞬の隙を逃さずパス、そのまま優勝を飾って二年連続でセパンを制した。

2年連続のセパン優勝、こうなると国内初優勝への期待もますます高まったが、2009年の開幕戦でそれは現実のものとなる。3月22日(日)に岡山国際サーキットで迎えた決勝は、雨模様でウェットコンディション。この年から車両規定が改められ、ダウンフォースの減少などに対してはタイヤも最適化が求められた。新しいトレッドパターンを採用したウェットタイヤを装着してスタート、3番手スタートからオープニングラップのうちにオリベイラ選手がトップを奪う快走を見せた。そして52周というロングラップを走って、後半を担当する荒選手にステアリングをリレー。荒選手も危なげ無い走りで主導権を手放すことなく、日本のファンが待ち望んでいた国内初優勝を飾ることに成功した。

さらに、2010年の開幕戦(鈴鹿)を制したのもKONDO RACING。この一戦では予選でマシンをクラッシュさせてしまい、メカニックが徹夜で修復して決勝に臨んだ。スタート前に若干の雨が降ったものの、レースは序盤を除いてドライコンディションで競われた。そんな中でタイヤ無交換作戦を敢行、見事にウィニングチェッカーを受けてチーム創立10年目のシーズンでも勝利を飾った。2015年には8月に富士スピードウェイで行われた第4戦で、残り6周での逆転劇でドラマティックな優勝を勝ち取っている。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]



R.P.BANDOHのステップアップとTEAM MUGENの復帰

2011年、それまではGT300クラスを戦い2009年にはチャンピオンも獲得したRACING PROJECT BANDOHがGT500にステップアップ。チームを率いるのは、GT500で史上最年少の監督となった坂東正敬氏だ。同年は第1戦の岡山が震災の影響で日程変更となり、第2戦の富士が実質的な開幕戦に。GT500のデビュー戦となった大会で、いきなり3位表彰台を獲得する強さを見せた。

[Photo]

レクサス・SC430で3シーズンを戦った後、2014年にマシンをレクサス・RC Fにスイッチ。そして2016年の第7戦で、それまでの積み重ねが大きく花開く結果となる。10月9日の決勝、舞台はタイのチャーン・インターナショナルサーキット。予選で堂々のポールポジションを獲得した関口雄飛選手/国本雄資選手組は、決勝を前にしてのウォームアップ走行でセットアップをアジャスト、万全の体制でスタートに臨んだ。じわじわと後続を引き離すが思わぬアクシデントに見舞われてしまい万事休すかと思われる場面もあったが、しっかりピットへマシンを戻して後半も走りきってウィニングチェッカー。ファン待望の、GT500初優勝を飾ることに成功した。

また、この優勝を含めて2014年の第7戦から2017年の第3戦まで、21戦連続でのポイント獲得という実績も忘れられないところ。足かけ4シーズン、トラブルやアクシデントに襲われることなく確実にポイント圏内を手中におさめてきたことは、ドライバーの技量はもちろん、マシンの高い信頼性や優れたレースマネジメントといった総合力の高さを実証した結果といえるだろう。

2017年、ヨコハマタイヤ勢に新たに加わったのがホンダ・NSXで参戦するTEAM MUGEN。無限、そしてM-TECと長くGTレースを戦ってきた老舗の復帰は大いに話題となり、ヨコハマタイヤとのタッグには期待も高まった。

2018年の第6戦・スポーツランドSUGOでは、予選から好調な走りを見せた武藤英紀選手/中嶋大祐選手組。序盤でポジションをひとつあげると、武藤選手は4番手のポジションを守りきって中嶋選手へとマシンを繋ぐ。そして中嶋選手も先行車を猛追、0.3秒差まで追い詰めたが惜しくも表彰台には一歩届かず。しかし底力のあるチームであることは誰もが知るところ、表彰台獲得、そして優勝が待ち望まれている。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

各地のサーキットで繰り広げられる熱戦、ヨコハマタイヤのSUPER GTにおけるこれからの活躍にも、どうぞご期待ください!!