2017 MOTORSPORTS SCHOLARSHIP AWARD (3)

2017年の「ヨコハマタイヤ・モータースポーツ・スカラシップ」で優秀な成績をおさめた方をご紹介するページ、後半はラリーで活躍された3人の選手をご紹介いたします。


猪股寿洋 選手 – 全日本ラリー選手権

最終戦の最終ステージで決着して全日本のシリーズチャンピオンを獲得しましたが、元々“悪運”が強いほうなんですよ(笑)。実際は最終戦に向けてプレッシャーもありましたが、前戦のハイランドを終えたその夜から「練習したいな」という思いが先に立って、疲れている場合じゃないな、と。

周りに「誰か、練習に行かない?」と声をかけまくっていたのですが、そこは諭されて。その代わり時間が許す限り、前年の新城ラリーの自分や他の速い人の車載映像を見まくっていましたね。

そんな“予習”の成果もあって、動画をじっくり見た箇所は速く走ることが出来ました。しかし逆に言うと、道を覚えられたところは速かったのですが、そうではない道はタイムが伸び悩んでしまったのです。鬼久保や新城総合公園が速くて、雁峰林道のステージがイマイチだった。ただ、鬼久保は元々は好きな道ではなかったのですが、ラインを覚えたことでアクセルを踏んでいけました。

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そこで、得意なところを伸ばしていく作戦に出たのです。結果としては得意なステージとそうでもないステージで、ちょっとタイム差が大きく開くことにはなりました。

最後はデイポイントが勝敗を分けましたが、フィニッシュした直後は「ダメだったね」という会話をコ・ドライバーとしていました。最後まで諦めずに全開で攻め続けてはいましたが、そもそも自分たちがDay2のポイントを獲得したことも気付いていなくて。セレモニアルフィニッシュを待つ間も、まるで大学受験に落ちたかのようにどんよりしていたんです。ところが、ライバルチームのみなさんに取り囲まれて「どっちがチャンピオンですか?」と聞かれて。これで「あれ、ギリギリ勝てたのかな?」と思ったんです。

そしてセレモニアルフィニッシュになって初めて「勝ったんだ」と気付いたのですが、そんな流れだったので実感が沸いてこなくて(笑)。しかもラリーが終わったらすぐに出張に出かけて、勝利の喜びというのが、いまひとつ感じられずに来ています。ただ、改めて一年を振り返って思うことは、最後まで諦めずに続けてきて良かったな、ということですね!!



明治慎太郎 選手 – 全日本ラリー選手権/中部・近畿ラリー選手権

最終的に全日本選手権では猪股選手に届かずシリーズランキングは2位となりましたが、ターマック(舗装路)ラリーにしか参戦していないながらもタイトル争いを出来たのは良かったと思いますので、数年前の流行語ではありませんが「2位じゃダメなんですか!?」というところです(笑)。

2016年はチャンピオンを獲得して、マシンやチーム体制も変わることなく連覇を目標に臨んだ2016年でした。正直な思いとして、グラベル(非舗装路)ラリーをスキップしてもチャンピオンを獲得出来るのではないか、という目算がありました。猪股選手がターマックであそこまで順位を上げてきたことは、失礼な言い方にもなってしまいますが誤算でしたね。それは去年のタイムと比較すれば明らかで、ハイランドや新城など本当に速くなっているのです。

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それでも、ギリギリでチャンピオンに届くだろうと思って。最終戦の新城は自分が優勝で猪股選手が3位ならばチャンピオンを獲得出来ると思っていたので、最終ステージはリスクを避けて万全に万全を期したら……、ダメだったと。

最終ステージをもう少し振り返ると、幅の広い鬼久保のステージでセンターラインにあるキャッツアイをまたぐのもトラブルの要因になりかねないので嫌だったんです。だから一車線だけで走っていて、それでもトータルタイム的には追いつかれることも無い状況でしたから。有効得点が同点になっても勝ち星の多い自分がチャンピオンだと思い込んでいました。

終わってみれば自分がバカだったというか……、同点の場合のチャンピオン決定について規則をしっかり確認しておかなかったのが敗因ですね。ただ、2016年の裏返しにもなったわけで、やはりシリーズを狙うのであればポイントの大きいRALLY HOKKAIDOは外せないということですね。グラベルで成立しないクラスではつまらないですし、昨年自分がRALLY HOKKAIDOに参戦したことで今年のJN2はグラベルが成立するようになりましたから、自分としては一石を投じられたのではないかと思っています。



高桑真人 選手 – TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ

自分はラリー歴が今年で2年目、2016年にTGRラリーチャレンジでデビューしました。昨シーズンは1,000ccのヴィッツでチャレンジクラスに参戦して、シリーズで3位を獲ることが出来ました。規則により今年はチャレンジクラスに出られないことと、1,000ccヴィッツのクラスが無くなってしまうということから、1,500ccのヴィッツで参戦されていた方から車を買ってエキスパートのE-1クラスに出場しました。

西シリーズで戦ってきましたが、成績は4位、3位、3位、2位、2位。第2戦から表彰台に立ち続けて来ましたが、優勝には一歩届きませんでした(苦笑)。開幕戦では車も替わってセッティングも何もわからないので、まずは前年走っていたそのままの状態で持ち込みました。すると最終ステージでベストから0.3秒という僅差のタイムが出て「おやっ!?」というところから始まった一年なんです。

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車の素性がよいことは分かったので、それからやった事といえばTRDのダンパーに対してダウンスプリングを入れたことくらい。それでシリーズを最終戦まで戦ってシリーズランキングで2位を獲得しました。

一年を終えて、このままでは終われないという気持ちですね。現状、車についてはアンダーステアの傾向が強くて曲げにくいところがあるので、足回りを見直してリアを動かせるセッティングをしていけばもっと速くなると思います。一方で自分自身については、林道が得意じゃないんです。なので狭くて細いコースに対して、1本目から攻める走りが出来ればライバルとの差は埋まっていくと思っています。

コ・ドライバーは父親なのですが、それ故にペースノートにはあまり細かいことは書いていません。ただ、本当に注意すべき箇所では積極的に言ってもらうようにしています。親子クルーですが、車という趣味は共通しているのでとてもやりやすいですね。気をつかうこともないですし、新城ではリエゾンでミスコースをしてしまっても焦ることなく和やかな感じでリカバリーしてみたり。戦いですから緊張しつつも、互いに励まし合いながら参戦しています。



2017年も多くの選手を足元から支えたヨコハマタイヤ。スカラシップにご登録いただいたみなさん、ありがとうございました。