Women in Motorsport with YOKOHAMA TIRE (3)

さまざまな立場でモータースポーツに携わり、輝かしい活躍をみせている女性たちをご紹介してきたシリーズも今回で最終回。連載の締めくくりとして、モータースポーツを足元から支えるヨコハマタイヤサービスの一員として東奔西走している女性スタッフの横顔をご紹介しよう。


初めて間近にしたSUPER GTに魅了された – 松浦 華 さん

サーキットのパドック、その一角にベースを構えて競技を足元から支えているのがヨコハマタイヤサービス。Red in BlackのADVANカラーにペイントされたトランスポーターは、サーキットでお馴染みの風景となっている。そこでは多くのスタッフが活躍しているが、その中の紅一点が松浦華さんだ。まずはモータースポーツに携わるようになったきっかけから、お聞きしていこう。

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「元々はモデルをしていましたが、仕事でモーターショーやオートサロンに出演したのが自動車業界に携わるようになったきっかけです。そして富士スピードウェイでレースクィーンの仕事をしたときに、休憩時間にSUPER GTを間近に観て感激して魅了されたんです」

生で観たSUPER GTの迫力、その虜になったという松浦さん。その後はレースクィーンとしてモータースポーツの世界に関わっていくが、さらにその先には別の目標があったという。

「本当のところは、チームマネージャーなどの裏方としてモータースポーツ業界で働きたいという思いを抱くようになりました。そのためにどうすれば良いかと自分なりに考えて、まずはチームに携わってみなければ内情や本当のところがわからないだろうと思って、レースクィーンとして仕事をさせてもらうようになったんです。そしてレースクィーンをしていたスーパー耐久のチームでオーナーさんに『ゆくゆくはマネージャーをやりたい』と相談したら、ちょうどその年に来年はマネージャーが空席になるので、レースクィーンとマネージャーのどちらをやりたいか、という選択肢が与えられて。そこで迷わず、マネージャーを選びました」

レースクィーンからチームマネージャーへ転身し、チームを支える一人として活動を始めた松浦さん。そして、モータースポーツ業界で人の輪が広がって行った中で、タイヤサービススタッフの仕事をしてみないか、という話が舞い込んで来たという。



KONDO RACINGの優勝は、いつまでも忘れられない

「ヨコハマのタイヤサービスをやってみないか、という話をいただいて、最初は『一体、何をすれば良いのでしょう?』という感じだったのですが、これはまたとないチャンスだと思いました。もっとも、チームマネージャーとしての経験が活きている部分も多いですが、最初は苦労の連続でもありましたね」

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果たして、タイヤサービススタッフの苦労とはどんなことなのだろうか。そして、そもそもタイヤサービスにおいては、どのような仕事をこなしているのだろうか。

「タイヤサービスでは、例えばSUPER GTのフリー走行や予選ではサインガードで各車のタイム計測をしています。開幕戦はとにかく大変で、前年とはゼッケンや車種、カラーリングが変わるチームも多いので、これを覚えなければなりません。計測はストレートを立ち上がってくるマシンが見えたら、それがどの車なのかを一瞬で判断しなければ出来ません。そこでゼッケンではなくフロントのシルエットやカラーリングを主に覚える必要があります。そして計測したタイムをパソコンに打ち込んでいきますが、そのほかにも無線で入ってくる色々な情報をメモしてまとめたりします。決勝でタイム計測はしませんが、ピットインしてくるマシンがいたら無線で知らせたりしています」

ヨコハマタイヤサービスは、SUPER GTでは総勢20人を超える大所帯だ。その中で女性は松浦さんただ一人。タイム計測やいろいろな情報の整理、さらに組まれたタイヤのバランスウェイト貼り付けをを手伝ったり、さまざまな雑務をこなしたりと、その仕事内容は多岐に渡っている。

「完全に男所帯のタイヤサービスですが、自分は性格がサバサバしていて男っぽいので、どちらかというと女性ばかりの中よりも男性の中で働く方が好きなのです。だから女性だから苦労した、というようなことはほとんどありませんね。2012年からなので丸4年になりましたが、最初は『本当にタイヤサービスの仕事が出来るのか?』と思われていたところもあったでしょうが、周りの先輩たちから色々と教えていただいたおかげもあって、タイヤサービスチームの一員として頑張ることが出来ています」

SUPER GTひとつとっても、2015年で言えばシリーズ戦はタイを含めて全8戦。このほかにテストもあり、チームマネージャーとして関わるスーパー耐久もあるため、一年を通じて全国のサーキットを飛び回っている松浦さん。最後に、この仕事をしていてもっとも嬉しかったことは何かを聞いてみた。

「それは何といっても、ことし(2015年)のSUPER GT・第4戦でKONDO RACINGが優勝を飾ったことですね。最後の最後で佐々木大樹選手がオーバーテイクしてトップに立った瞬間、あれはいつまでも忘れることが出来ないですね」

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