Franz Engstler Interview (2)

2014年まで7シーズンにわたり、WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)を舞台に活躍を見せた大ベテラン、フランツ・エングストラー選手。Liqui MolyカラーをまとうBMWの勇姿は、多くのWTCCファンの記憶に残っているところだ。
2014年にはYOKOHAMA Trophyを制したエングストラー選手へのスペシャルインタビュー、その後編をお届けしよう。


記憶に残る、地元でのバースディ・ウィン

7シーズンにわたってWTCCで活躍したエングストラー選手。自らのチームを率いつつドライバーとしての挑戦を続けるドイツのベテランは、やはりドイツのBMWをこよなく愛し、WTCCでも一貫してそのステアリングを握ってきた。そんなエングストラー選手に、7年間のWTCCにおいてもっとも記憶に残っている一戦についてお聞きした。

「それは、2011年のドイツ・オッシャーズレーベンですね。私の50回目の誕生日に行われた決勝レースにおける、プライベータードライバーとしてWTCC史上初の総合優勝を飾れたことです」

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2011年のオッシャーズレーベン、第2レース(第16戦)は予選で10番手を獲得したエングストラー選手が、リバースグリッドによりポールポジションからスタートに臨んだ。ところが第1レース(第15戦)がウェットコンディションとなったこともあり、エングストラー選手はアクシデントに見舞われてしまい、10番手スタートながら16位と下位に沈んでしまった。しかし第2レースのグリッドについたエングストラー選手はスタートでノルベルト・ミケリス選手の先行を許すも食らいつき、2台でトップグループを形成。そして8周目にミケリス選手が単独スピン、トップを奪還すると追撃してくるシボレーのアラン・メニュ選手を振り切ってウィニングチェッカーを受けた。

「第1レースでアクシデントに見舞われたのですが、これに対処できたのはチームの大きな成果でした。僅か15分のインターバルでマシンを完璧な状態に戻し、ピット出口閉鎖の1分前にはグリッドに向かうことが出来て、ポールポジションに陣取りました。あとは可能な限り、自分の最高のレースをすることが私の義務でした。そして幸いに、私は勝利することが出来たのです」



大ベテランも認めるヨコハマタイヤの性能と働き

WTCC史上初の、プライベータードライバーとしての総合優勝という金字塔を打ち立てたエングストラー選手。豊富なレースキャリアを誇る大ベテランは、WTCCをともに戦ったヨコハマタイヤについて、次のように評した。

「ヨコハマタイヤを使ってみて、タイヤに技術的な問題は全くありませんでした。また、我々を支えてくれるヨコハマタイヤのスタッフは常にプロフェッショナルであり、親しみやすくて有能な人材が揃っていますね。これはヨコハマタイヤが、仕事を如何にするべきかを知っていることの証であり、尊敬に値します!!」

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残念ながらこの大ベテランは、2014年を最後にWTCCへの挑戦にはひとつの区切りをつけた。そして2015年からは新しいフィールド、TC3へと戦いの舞台を移す。そんなエングストラー選手に、モータースポーツに興味を持つ若者たちへのアドバイスをひとついただこう。

「あなたがレースをやってみたいと思うのであれば、夢を追い続けてください。いくつかの障壁や困難に直面することもあるでしょうが、失敗から立ち上がることが重要になるでしょう。決して目標は失わないでください。正直に頑張って、日々前進することを心がけてください。

私自身も出来るだけ長くレーシグカーをドライブし続けられるように、情熱を持ち続けていきます。そして多くのみなさんに、我々の成功を祈っていただきたいですね。そしてみなさん、いつでもサーキットでは我々のピットに遊びに来てください」

>> インタビュー前編


53歳という年齢を全く感じさせない、モータースポーツへの情熱に満ちたフランツ・エングストラー選手。WTCCでの活躍を今シーズン見られないのは残念なところだが、新天地でのさらなる飛躍に期待が高まるところだ。