2021 JRC Round 10 Report

【全日本ラリー選手権 第10戦 / 岐阜県高山市】

天候によりコンディション変化の大きかった伝統の一戦、
JN-4の奥村大地選手は全日本初参戦で準優勝を獲得!!

JRC Round 10

開催日 2021年10月15日-17日
開催場所 岐阜県高山市 近郊
天候 Leg1) 晴れ
Leg2) 雨 のち 曇り
路面 Leg1) ドライ
Leg2) ウェット~ドライ
ターマック(舗装路面)
総走行距離 374.26km
SS合計距離 59.82km (11SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 66台(オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 19台)
2020 全日本ラリー選手権 第10戦

2021年の全日本ラリー選手権はグラベル(未舗装路)での2戦を終えて、4ヶ月ぶりとなるターマック(舗装路)ラリーへと戦いの舞台を移した。第10戦の「M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」は今回で48回目を数えるシリーズで最も歴史ある一戦、昨年は開催が見送られたので2年ぶりに岐阜県は飛驒高山の地にラリーマシンのエギゾーストノートが帰って来た。

当初はシリーズの最終戦とされていた本大会だが、5月に予定されていた「久万高原ラリー」が10月最終週に延期されたことから、最終ひとつ前の大会となる。アイテナリーは土日の二日間で12本のSS(スペシャルステージ)を設定、おなじみの無数河とアルコピアを結ぶステージを各日で走行方向を変えて走るほか、土曜のLEG1で牛牧を2018年以来の下り方向で走り、新たに設けられた千光寺、日曜のLEG2では青屋と大山線を設定した。

10月15日(金)にレッキや参加受付、公式車両検査が行われて日程がスタート。清々しい秋晴れに恵まれ、日中の最高気温は25℃の夏日に。しかしこの時点で週末の天気予報は土曜の夕方遅くから日曜の午前中にかけて傘マークが並んでおり、コンディションの変化は避けられないと思われた。規則により使用できるタイヤ本数の上限は6本、LEG2が終日ウェットへ転じると見るか、雨量の少なさや早めに雨があがって再び路面が乾くと見るか戦略に各選手は頭を悩ませる。

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16日(土)のLEG1は、前日より雲が多いものの青空が広がる中でスタート。オープニングの「無数河-アルコピア 1 (5.82km)」でJN-1クラスのヨコハマタイヤ勢は柳澤宏至選手/保井隆宏選手組(ファビアR5)のサードベストが最上位、そこから1秒以内に新井大輝選手/小坂典嵩選手組(WRX STI)、奴田原文雄選手/東駿吾選手組(GRヤリス)、新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)がひしめくリザルトとなった。続くSS2「牛牧下り 1 (6.12km)」は奴田原選手組がセカンドベスト、先頭スタートのライバルがスピンで遅れたこともあって2番手に浮上、柳澤選手組は3番手に。そしてSS3「千光寺 1 (3.23km)」は上りのタイトコーナーが続くステージ、ここはポテンシャルを活かしたR5勢が速さを見せてセカンドベストの柳澤選手組が奴田原選手組と順位を入れ替えた。サービスを挟んだセクション2、リピートでも両者はステージを終える毎に順位を入れ替え、LEG1は柳澤選手組が3番手、奴田原選手組が0.5秒差の4番手という結果になった。

夜になって雨が降り始めた高山地方、一夜明けた17日(日)のLEG2はウェット路面が各選手を待ち構えた。ウェット宣言が出されてタイヤの使用上限数は8本へと増やされたことから、早朝のタイヤサービスも迅速・確実な組み換え作業で選手の戦いを支えていく。そして迎えたSS7「青屋上り 1 (8.64km)」は大会最長のステージだが、選手に先立ってコース状況を確認するマーシャルカーからは、多数の濡れ落ち葉や数百メートルに渡って路面を泥が覆っていることが報告された。レッキ時点から大きくコンディションが変化しており、これを受けて安全性を優先した競技運営団はこのステージをキャンセルする判断を下した。

雨足は既に弱まっており、リピートのSS10「青屋上り 2」を走る頃には後半がドライへと回復。SS11とSS12も路面状況は好転、SS11「大山線 2 (4.55km)」では新井(大)選手組がR5車両に割って入るセカンドベストをマーク。最終ステージの「アルコピア-無数河 2 (5.87km)」では奴田原選手組もサードベストを刻んだが、ウェットコンディションで我慢の走りを強いられたことから奴田原選手組の4位が最上位という結果になった。

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JN-4クラスでSSを走るごとに存在感を高めていったのが、スイフトを駆る奥村大地選手/大橋正典選手組。8月に完成したばかりという新車を持ち込んだ奥村選手は今回が全日本選手権に初参戦というニューフェイス、SS3でセカンドベストを刻むとSS5とSS6はサードベストでLEG1を2番手と13.8秒差の3番手で終えた。

ウェットに転じたLEG2、SS8で奥村選手組は2番手のライバルを7.2秒、1kmあたり約1.6秒上回るセカンドベストを刻んで猛追。さらにSS9でも1kmあたり1秒以上ライバルを上回り0.3秒差へと詰めて、完全に射程圏内へととらえていった。

最終セクションに入り、1走目はキャンセルされた「青屋上り」はまだスリッパリーな箇所も残る中での走行。ここで奥村選手組は、堂々のセカンドベストをマークした。ライバルを1kmあたり2秒以上引き離す速さを見せて2番手を奪取、そのままフィニッシュまで運んで嬉しい準優勝を獲得することに成功した。

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JN-3クラスで注目を集めたのは、6月に群馬県で開催された「MONTRE 2021」に続いてのターマックラリー参戦となる織戸学選手。今回も山本磨美選手とのコンビでトヨタ・86を駆っての出場、SS3でサードベストを刻んでポジションアップへの期待が高まっていく。

そんな期待に応えてくれた織戸選手組、SS4では2番手を0.4秒おさえる待望のステージベストを獲得。その後のSS5とSS6もサードベストでまとめ、LEG1を3番手で終えた。LEG2のウェット路面でも速さを見せた織戸選手組、SS8もセカンドベストのリザルトを刻んだ。しかしこのSS8でマシンにミッショントラブルが発生、ステージ終盤で4速を失ってしまった。SSフィニッシュ後に無念のリタイアとなってしまったが、今回も随所で速さを見せた参戦となった。

そして織戸選手組と入れ替わるかたちでポジションを上げたのが山口清司選手/船木一祥選手組(86)、LEG1を5番手で終えていた山口選手組はウェットのSS9で3番手へとポジションをアップ。路面状況が好転したSS11とSS12で連続セカンドベストを刻み、8年ぶりのコンビで3位表彰台を獲得した。

DRIVER VOICE

奴田原文雄 選手 [ADVAN KTMS GRヤリス]

【今回の成績 : JN-1クラス 4位】
チームとしてやるべきことは全てやって、もちろんドライバーも頑張って走りましたが、現状はこれが精一杯なのかなという結果でした。上り下りに関わらず車速を落とさずに行けるところは今の状況でも勝負出来ますが、一旦車速度を落としてから加速が必要なところは正直キツイですね。もどかしいところですが、ポテンシャルは伸び代がたくさんありますから次の久万高原では表彰台を確保して来シーズンにつなげていきたいですね。

山口清司 選手 [jms エナペタル ADVAN 久與 86]

【今回の成績 : JN-3クラス 3位】
LEG2はみんな、路面の変化に翻弄された感じでしたね。自分はLEG1を「ADVAN A08B」でスタートして、中間サービスで状態を確認してローテーションせずそのまま走りきりました。LEG2はウェット宣言が出たこともあり、「ADVAN A052」を装着してやはりローテーション無しでフィニッシュまで運びました。LEG1の1ループ目では攻めきれないところがあって、2ループ目でアジャストしていって。LEG2はウェット路面ではじまりましたが、2ループ目が予想より早く乾いていました。そんな乾いた路面でも「ADVAN A052」を活かして速さを出せましたが、難しい一戦でした。次は故郷の愛媛県での戦いになので、一年を気持ちよく締めくくれるように頑張ります。

奥村大地 選手 [千明自動車 スイフト]

【今回の成績 : JN-4クラス 準優勝】
ラリー歴は6年くらいで、それまでは大学の自動車部でジムカーナやダートトライアルをやっていました。僕は北海道の出身で、Rally Japanを観に行って「これだ!!」と思ってラリーを始めました(笑)。いまは群馬在住なので、県戦からはじめて地区戦への参戦も重ねて今回が初めての全日本出場です。2年前にスイフトを作ったものの自分のミスで壊してしまい、新しく作り直して8月に完成して今回の戦いを迎えました。ウェット宣言が出ましたがタイヤは6本で走りきりましたが、強豪のみなさんと渡り合えたので自分としては満足な結果です。2年前に新車を壊して周りからいろいろ言われることもありましたが、腐らずに自分を磨けるところは磨いてやって来たことが結果につながったかと思います。来年はスポット参戦、そして再来年以降は目標としているチャンピオンを獲りたいと思っています!!