世界各地で開催されているモータースポーツカテゴリーがラリー。北米や欧州といった自動車生産も盛んな先進諸国はもちろん、アジアやアフリカ諸国を舞台としても多く開催されている。既存の道を戦いの舞台とするのがラリー、ゆえにそのフィールドは世界中にあると言える。
日本の頂点に位置する全日本ラリー選手権、その発足は1979年なので40年以上の歴史を刻んできている。現在はSS(スペシャルステージ)という封鎖した一般公道などの決められた区間で速さを競い、その合計タイムで勝敗を決している。SSとSSの間、リエゾンと呼ばれる移動区間は公道を交通法規に従って一般車両とともに走行する。そして各所に設けられたTC(タイムコントロール)には、指定された到着時間を守ることが求められており、早くても遅くてもペナルティの対象となる。
ラリーは大会によって主となる路面の違いから、ターマック(舗装路)ラリーとグラベル(未舗装路)ラリーにわけられる。1台の車でシリーズ参戦する場合は大会毎に足回りを変更するが、それぞれの路面仕様とした2台を用意して使い分けて参戦する選手も少ないながら見受けられる。
ラリーの大きな特徴と言えば、同じ車に2人が乗って戦うこと。運転を司るのがドライバー、これに対してコ・ドライバーは時間管理や走行指示を出す。各大会では競技本番前にレッキと呼ばれる下見走行が行われ、各選手はこの際に戦いの舞台となるSSを確認し、道の状況や走らせ方などの記したペースノートを作成。これを本番でコ・ドライバーが読み上げ、ドライバーはその情報を基に先の状態を判断して車を走らせる。なお、JAF(日本自動車連盟)では2020年まで「ナビゲーター」と表記していたが、2021年からは「コ・ドライバー」に改められた。
競技結果はクラス毎に順位がつけられ、呼応したシリーズポイントが付与される。ポイントは大会の路面やSS合計距離によって係数がかけられ、ターマックよりはグラベルのほうが係数を高く設定。SS合計距離も100kmを超えると、係数が高くされている。近年は開催地域の町おこしにも貢献しており、市街地などでセレモニアルスタートを行ったり、公園などに距離の短い特設コースを設けて観戦しやすい環境を整えるといった主催者も増えている。
全日本ラリー選手権は、JN-1からJN-6という6つのクラスを設定。最高峰のJN-1クラスでは2019年と2020年にシリーズランキングのトップ3をヨコハマタイヤ勢が独占する強さを見せている。
車両はいくつかの規定によって定められるが、2021年からは欧州などで主流となっているR車両について、ラリー出場を目的として認可を受けた臨時運行許可で出走することが認められた。また、トヨタ・GRヤリスの参戦が増える一方で三菱・ランサーエボリューションは開幕戦のエントリーに名を連ねておらず、新しい時代の到来を感じさせる。
4WDターボのスポーツモデルから、街中で見かける機会の多いコンパクトカー、さらには2ドアスポーツまで幅広い車種が競い合っている全日本ラリー選手権。各メーカーや車種の根強いファンも多く、まずはお気に入りの応援する一台を決めることが観戦の第一歩と言えるだろう。
クラス | 車両 | エンジン気筒容積 | 駆動方式等 | 主な車種 |
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JN-1 | RJ、R | 2,500cc超 | 4WD | スバル・WRX、トヨタ・GRヤリス、シュコダ・ファビアR5 |
JN-2 | RJ、R | 2,500cc超 | 2WD | フォルクスワーゲン・ポロ、 レクサス・RC F、トヨタ・86 CS-R3、ホンダ・シビック |
JN-3 | RJ、RPN | 1,500cc超~2,500cc以下 | 後輪駆動 | トヨタ・86、スバル・BRZ |
JN-4 | RJ、RPN | 1,500cc超~2,500cc以下 | 前輪駆動、4WD | スズキ・スイフト |
JN-5 | RJ、RPN | 1,500cc以下 | 区分無し | トヨタ・ヤリス、トヨタ・ヴィッツ、トヨタ・アクア、マツダ・デミオ |
JN-6 | RPN | 1,500cc以下 | AT/CVTのみ | トヨタ・ヤリス、トヨタ・ヴィッツ、マツダ・デミオ |
AE | 区分無し | 区分無し |
1979年に全日本ラリー選手権が発足すると、ADVAN Rally Teamが結成されて現在までヨコハマタイヤは絶え間なく参戦を続けている。各クラスで多くのユーザーが活躍してきているが、中でもRed in BlackのADVANカラーをまとう存在は、日本のラリーシーンを象徴する欠かせない一台として世界的にも広く知られる存在だ。
舗装路面で戦うターマック・ラリーでは、「ADVAN A08B」と「ADVAN A052」がユーザーの走りを支えている。舗装されていない路面で戦うグラベル・ラリーでは、幅広い路面状態への対応が強さを見せる「ADVAN A053」が主戦力。これに大雨などでは、軟質路面用の「ADVAN A031」を適宜使用する。
競技で使用できるタイヤは本数の上限が、大会毎に規則で定められている。競技中にはタイヤを含めた車両のトラブルについて、メカニックなどによる修復作業は原則的にチームの拠点となるサービスパークでのみ行える。スタートした後はドライバーとコ・ドライバーが車両に搭載してある道具を使ってのみ作業をすることが許されており、他者の手や道具を借りることは出来ない。例えばSS走行中にタイヤを壊した場合は乗車している2人でタイヤ交換を行うが、タイムロスを最小限に留める為に予め手順を決めて練習していることがほとんどだ。
UPDATE : 15.Mar.2021