2021 JRC Round 2 Report

【全日本ラリー選手権 第2戦 / 愛知県新城市】

LEG1とLEG2で天候が大きく変化した2021年の初戦、
最高峰のJN-1で新井親子がワン・ツー・フィニッシュ!!

JRC Round 2

開催日 2021年3月19日-21日
開催場所 愛知県新城市 近郊
天候 Leg1) 晴れ のち 曇り
Leg2) 雨
路面 Leg1) ドライ
Leg2) ウェット
ターマック(舗装路面)
総走行距離
SS合計距離 51.17km (6SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 67台(オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 19台)
2020 全日本ラリー選手権 第2戦

2021年の全日本ラリー選手権は2月に予定されていた第1戦が中止されたため、第2戦の「新城ラリー 2021」を事実上の開幕戦としてシーズンイン。新型コロナウイルス感染拡大防止のため昨年に続いて無観客試合となったが、地元テレビ局が中継車を配備して全てのSS(スペシャルステージ)からインターネットでライブ配信を行うという国内ラリーでは画期的な取り組みも行われた。

SSは全8本、昨年から設けられたテクニカルな「舟着 (5.97km)」を土曜日のLEG1で2回、大会最長となる名物SSの「雁峰北 (12.65km)」を日曜日のLEG2で2回、道幅の広い「鬼久保 (8.86km)」を両日各2回の計4回走行する。テクニカルなワインディングステージとアベレージスピードの高いステージが織りまぜられた一戦だ。

ラリーウィークの3月17日(水)には名古屋市で桜の開花が宣言され、春の訪れを感じされる中で開幕を迎えた「新城ラリー 2021」。レッキや公式車両検査が行われた19日(金)は最高気温が20℃を超える陽気となったが、日曜日には激しい雨の天気予報が伝えられている中で選手は戦略を組み立てて戦いに臨んでいく。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

エントリーはオープンクラスを含めて67台、ゼッケン1をつける前年チャンピオンの新井大輝選手/小坂典嵩選手組、これに続くゼッケン2の新井敏弘選手/田中直哉選手組はスバル・WRX STIでの参戦。前年シリーズ3位の奴田原文雄選手は今年からマシンをトヨタ・GRヤリスにスイッチするが、次戦からの出場となるため今回は欠場。一方で2019年のJN-3クラスチャンピオンである山本悠太選手はコ・ドライバーに立久井和子選手を起用して、GRヤリスでJN-1へ移籍して戦う。さらに柳澤宏至選手/保井隆宏選手組はシュコダ・ファビアR5での参戦、こちらも大いに注目を集める存在だ。

LEG1は朝から青空が広がり、朝の最低気温は13.7℃、日中の最高気温は19.8℃という春らしさの中で熱戦を展開。オープニングのSS1「舟着 1」ではR5車両のライバルから僅か0.3秒差の3番手に新井(敏)選手組、その後ろに新井(大)選手組、柳澤選手組と続いたヨコハマタイヤ勢、トップ5台が3.7秒差の中にひしめきあう形となった。

SS2「鬼久保 1」では柳澤選手組がセカンドベスト、一方の新井親子はタイムが伸び悩んでSS2を終えたサービスで足回りのセッティングをアジャスト。これが功を奏して、午後に入ってSS3「舟着 2」では新井(大)選手組が3番手タイムをマークして反撃の狼煙をあげた。そしてLEG1を締めくくるSS4「鬼久保 2」では柳澤選手組が待望のステージベストを奪い、タイヤを壊してライバルの1台が後退したこともあってクラス2番手へと浮上。新井(敏)選手組が3番手、新井(大)選手組は4番手でLEG2でのポジションアップを狙う。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

気になるのは空模様だったが、予報の通り夜中のうちに雨が降り始め、その勢いは日の出以降に強まっていった。この日のオープニングとなるSS5「雁峰北 1」のスタートは8時31分、このころの降水量は11.5mmという激しい雨の中で戦いがスタートした。

SS5「雁峰北 1」のテクニカルでスリッパリーな路面に対して、「ADVAN A052」のポテンシャルを活かした走りで新井(敏)選手組はセカンドベストを奪取。そして本大会では3回目の走行となる「鬼久保」でのSS6を迎えたが、路面には一面の深い水たまりが出来ている箇所もあり、さらに標高が高いことから霧と雲が混じったものに包まれ視界も厳しいという非常にタフなコンディション。

ここでライバルがクラッシュを喫して戦線を離脱、クルーの生命に別状は無かったが深刻なアクシデントが発生してしまった。路面コンディションの悪化、そして天候の回復が見込めないことから競技はSS7と8をキャンセル、SS6までで終了という展開に。これにより新井(敏)選手組が2019年の「MONTRE 2019」以来となる優勝、新井(大)選手組が準優勝で、親子ワン・ツー・フィニッシュという結果になった。

[Photo]

[Photo]

[Photo]

[Photo]

JN-4クラスでは、昨年に続いてスズキ・スイフトを駆る須藤浩志選手が、今回は仕事で欠場となった新井正和選手に代わって廣田幸子選手とのコンビで参戦。LEG1のSS2とSS3でステージベストを刻んで初日をトップで折り返したが、LEG2のSS5で惜しくもポジションをドロップ。しかし、タフなコンディションの中でベテランらしい“いぶし銀”の走りを見せてフィニッシュまでマシンを運び、準優勝を獲得した。

JN-6クラスは昨年のチャンピオンである明治慎太郎選手/里中謙太選手組が、ヴィッツからヤリスにマシンをスイッチ。昨年11月の唐津にオープンクラスで投入したマシンだが、ミッションはCVTの2ペダルだ。こちらはLEG1の4SSすべてでベストタイムを刻む貫祿の走りを見せて、初日をトップで折り返した。しかし豪雨となったLEG2オープニングの「雁峰北」を慎重に走った結果、若いライバルクルーの逆転を許してしまう結果に。準優勝という成績になったが、ノートラブル・ノーアクシデントでしっかり次戦につながる結果を残した。

そしてJN-3クラスでは昨年シリーズ2位の竹内源樹選手/木村悟士選手組が、引き続きスバル・BRZで参戦。タイヤの摩耗にも配慮した走りで戦いを組み立てて臨んだが、LEG1では4本中3本のSSでステージベストを刻んで勢いを見せた。しかしフルウェットとなったLEG2でタイムを落としてしまい、残念ながらポジションをダウン。それでも3位でフィニッシュ、こちらも無事にマシンをフィニッシュまで運んで次戦からの巻き返しを誓う結果となった。

DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル AMS WRX STI]

【今回の成績 : JN-1クラス 優勝】
1日目は思ったよりも車が曲がらなくてセッティングを変えながら戦いましたが、ライバルにちょっと離されていくのであまり良い感じの展開ではありませんでした。1kmあたり0.1秒とか0.2秒という、本当にちょっとずつの差で離されていくので、やられて一番イライラするパターンでしたね。2日目は考え方を切り替えて、ぶつからないように無理に攻めなくても良いかも、というレベルで走りました。とにかくフィニッシュしなければいけない、そんな走りでも一度ぶつかりそうになったので、そこからは更に抑えるという展開でした。結果として初戦を勝ったことは大きいですが、次戦に向けての“宿題”も出来たので、次もしっかり勝てるように頑張っていきます。

新井大輝 選手 [ADVAN KYB AMS WRX]

【今回の成績 : JN-1クラス 準優勝】
初日にエンジントラブルを抱えてしまい、厳しい戦いになりました。LEG2は豪雨になってパワーやトルクの差があまり出ないので、ある意味で助けられた部分がありました。ただ、「雁峰北」でぶつけてしまったのが悔やまれます。ホイールを壊してしまったので必然的にタイヤも替えざるを得ず、足回りの影響もある中での「鬼久保」は厳しい走りを強いられました。今年は海外への参戦も予定していますが、新型コロナウイルスの影響で国内も含めて次の参戦がどこになるのかハッキリしない状況です。国内でも海外でも、出場するラリーには今年もしっかり全力で臨んでいきます。

竹内源樹 選手 [YH CUSCO 大阪冷研 BRZ]

【今回の成績 : JN-3クラス 3位】
LEG2についてどうのこうのは特に無いですが、LEG1はしっかり戦いの組み立ても出来て良いタイムを残せた一戦でした。マシンもセットアップを煮詰めてきて、去年あまり触らなかったリアサスペンションを全面的に見直して限界が上がるなどしたことが結果につながりました。タイヤに負荷をかけないで走るという作戦の中でタイムを出せたので、十分戦えることを確認できたことは収穫です。次の唐津は欠場しますが、久万高原に向けて意味のある3位だったと思います。

須藤浩志 選手 [スマッシュ BRIG コマツ YH スイフト]

【今回の成績 : JN-4クラス 準優勝】
雨にやられてしまってLEG2でポジションを下げてしまいました……。しかしLEG1ではトップで折り返しましたし、ハイスピードな「鬼久保」では大型のリアウイングによるダウンフォースの効果も感じられたので、収穫はありました。今シーズンはグラベル(未舗装路)ラリーを中心にして参戦する予定ですが、次からは新井正和選手と一緒に頑張っていきます。

明治慎太郎 選手 [G-EYES YH cvt LSD ヤリス]

【今回の成績 : JN-6クラス 準優勝】
LEG2のオープニングステージで様子を見すぎてしまった部分もあり、リスクを抑えつつそんなに負けない走りをしたつもりでしたが、安全マージンをとりすぎてしまったかもしれません。ですが、マシンを無事にフィニッシュさせるという第一の目標は達成出来たのは良かったですね。準優勝で、LEG2のレグポイントも獲れませんでしたが……(苦笑)。悔しい結果でしたが、LEG1では全てのステージベストをマークしてマシンの良さも再確認出来たので、次戦は借りを返したいと思います。

TECHNICAL INFORMATION

初日と二日目で大きくコンディションが変化した「新城ラリー 2021」だが、規則により使用出来るタイヤ本数は6本と定められていた。その後、LEG2が雨となったことからLEG1の走行を終えた後に公式通知でウェット宣言が出されて2本を追加した8本までとされた。

LEG1では各チームは翌日のコンディションを見越したタイヤの使い方を実践。ヨコハマタイヤ勢はドライでは「ADVAN A08B」、ウェットでは「ADVAN A052」が主な武器となるが、LEG1スタート時点で「ADVAN A08B」を4本装着した上で、スペアには「ADVAN A052」を搭載して大半のクルーがスタート。

こうすることで万が一LEG1の競技中にタイヤを壊して交換することになっても、翌日のウェット路面で「ADVAN A052」を使うことが出来る。こうした基本的な戦略をしっかり実践することがクルーやチームには求められ、ひいては安全性にもつながることとなる。