【SUPER GT 第7戦 / もてぎ】
SUPER GT Round 7
開催日 | 2021年11月6日-7日 |
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開催場所 | ツインリンクもてぎ (栃木県) |
天候 | 晴れ |
路面 | ドライ |
決勝周回数 | 63周 (1周=(4,801m) |
参加台数 | 43台 (ヨコハマタイヤ装着車 20台) |
シリーズもクライマックスに差し掛かったSUPER GTの第7戦は、ツインリンクもてぎが舞台。今回一番の特徴は、サクセスウェイトがGT500クラスは獲得ポイントと同じ重さ、GT300クラスは1.5倍となって、半減されることだ。
また、前回のオートポリスでは、事前のテストをドライコンディションで行えなかったことで、思いがけぬ苦戦を強いられたヨコハマタイヤユーザーだったが、今季2回目のもてぎで、しかも10月にタイヤメーカーテストはしっかりできている。巻き返しの一戦となることが、大いに期待された。
前回のオートポリス以上に、ツインリンクもてぎは秋の装いを見せるようになったが、ちっとも寒くないというのが正直な印象だ。それはレースウィーク通じて変わらず。11月6日(土)の予選開始時の気温は18度、路面温度は29度と、この時期としてはありえないほど高め。だが、想定内だったことは、GT300クラスのQ1から早くも証明される。
A組では5台、B組では4台、ヨコハマタイヤユーザーは9台も突破に成功していたからだ。中でもB組トップは「arto RC F GT3」のジュリアーノ・アレジ選手が記録して、ひとり気を吐いていた。
続くQ2でもトップ10に5台を送り込むことに。レコードタイムも更新して、ポールポジションを獲得したのは「UPGARAGE NSX GT3」の名取鉄平選手。小林崇志選手がA組7番手でトスし、完璧なスパイクを決めていた。今回はまた、ミッドシップ勢が上位を占めており、「JLOCランボルギーニGT3」の小暮卓史選手が4番手で、「Hitotsuyama Audi R8 LMS」の篠原拓朗選手が5番手。そんな状況において、半減されたとはいえ、サクセスウェイトを57kg積んでなお、「リアライズ日産自動車学校GT-R」のJ.P.デ・オリベイラ選手が7番手につけたのは少なからぬ驚異だった。その一方で、「arto RC F GT3」のショーン・ウォーキンショー選手は、無念の15番手に甘んじていた。
さらに快走を魅せたのが、GT500クラスだった。Q1で「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の高星明誠選手がトップ、「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本雄資選手も6番手で、揃って突破なったからだ。さらに続くQ2において、「WedsSport ADVAN GR Supra」の宮田莉朋選手がポールポジションを奪い、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の佐々木大樹選手も2番手で、ヨコハマタイヤユーザーがフロントローを独占した。
11月7日(日)のツインリンクもてぎは、引き続き好天に恵まれた。上空には青空が広がり、気温は19度、路面温度は29度というのが、スタート直前の温度。ポールポジションから決勝レースをスタートした「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手は、いきなり強烈なプレッシャーをかけられての発進となるも、要所を抑えて逆転を許さず。その一方で「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の佐々木選手は、ややウォームアップに苦しんだ感もあり、オープニングラップのうちに5番手に後退するという、好対照な展開となっていた。
序盤のうちに2回もFCY(フルコースイエロー)が発動される事態の中でも、国本選手はトップをキープし続けていたが、こと2回目のFCYでタイヤが冷えてしまい、ウォームアップに苦しんで差を詰められたばかりか、20周目にはついにトップを明け渡してしまう。その後も早めのドライバー交代を行なった車両にも、24周目の宮田選手への交代後には、かわされてしまう。
それでも、しっかりポジションをキープし続けていた宮田選手の執念が、最終ラップに実る。トップの車両がガス欠でスローダウン、ゴール直前でかわしていたからだ。その結果、「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手と宮田選手は、もてぎとの相性の良さを証明するかのように、今季2度目の準優勝を獲得。対して高星選手への交代後の「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は、特に終盤タイヤのピックアップに悩まされたこともあって、7位でのゴールに甘んじた。
GT300クラスでは、ポールポジションからのスタートとなった「UPGARAGE NSX GT3」の小林崇志選手は、オープニングラップのうちにトップを明け渡しこそしたが、後続は寄せつけずにいて挽回が期待されたものの、6周目でマシントラブルが発生。あえなくリタイアとなってしまう。
これでヨコハマタイヤユーザーの最上位となる3番手につけたのは「JLOCランボルギーニGT3」の元嶋佑弥選手で、背後につけた「Hitotsuyama Audi R8 LMS」の川端伸太朗選手とともに、激しく2番手を争い合う。そして、27周目に元嶋選手は小暮選手と、28周目に川端選手は篠原選手に、早々とバトンタッチ。これが功を奏して、2台ともリヤ2本だけの交換によって、2番手を走行していたスバルBRZの前に出るとともに、川端選手が2番手に、小暮選手が4番手と、順位を入れ替えていた。さらに勢いに乗る篠原選手は、事実上のトップ車両であるNSXをもパス。全車ドライバー交代を済ませると、やはりと言うべきか「Hitotsuyama Audi R8 LMS」がトップに立っていた。
さらに驚くべきは、「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のJ.P選手が、小暮選手をもかわして3番手につけていたことだ。第1スティントを担当していた藤波清斗選手は7番手を走行していたが、自らの判断でタイヤ無交換を提案。それをチームも受け入れ、実行していたのが功を奏すことに。GT-Rとしてタイヤ無交換は前代未聞だった。
それぞれポジションを最後までキープし続けてフィニッシュ。「Hitotsuyama Audi R8 LMS」はチーム、川端選手にとって昨年の第2戦・鈴鹿以来の優勝で、篠原選手にとってはSUPER GT初優勝に。3位の「リアライズ日産自動車大学校GT-R」は、ランキングこそ2位のままだが、トップとの差を6ポイントまで詰め、逆転での2連覇の機運が一気に高まった。そして「JLOCランボルギーニGT3」に続く5位は「HOPPY Porsche」の松井孝允選手と佐藤公哉選手で、これが今季最上位。また、「たかのこの湯GR Supra GT」の三宅淳詞選手と堤優威選手も予選11番手から7位まで順位を上げたことで、ランキングこそひとつ下げたが、逆転の可能性は残す。それは首の皮一枚ながら、小暮選手と元嶋選手にも当てはまっていた。
【今回の成績 : GT500クラス 準優勝】
僕のファーストスティントは、ウォームアップとか1周目のタイヤの温まりが心配だったんですけど、なんとか気持ちで抑えて、トップを守ることができましたし、前半は自分のクリーンエアで走れて、ちょっとずつ離すことができました。けれど、途中2回のFCYで、ちょっと状況が変わって、少しペースダウンして後ろに追いつかれて、守りたかったんですが12号車に行かれてしまいました。そのあと8号車もすぐ後ろに来ていたんですけど、自分のスティントではなんとか2番手でバトンタッチすることができて。後半の長いスティントを宮田選手、頑張ってくれていたから、前のクルマがガス欠ということで、最終ラップに逆転することができて、2位でゴールすることができました。厳しいレースでしたけど、そういう中でチームと僕らは、ベストな仕事ができたので満足しています。
【今回の成績 : GT500クラス 準優勝】
決勝を2位で終えました。ペース的にまだまだ厳しいところもあったんですが、なんとか後ろから来るライバル車両を抑えることができました。最後、2番手のクルマのガス欠もあったんですけど、それもなんとか攻めきって2位になれたので、本当にベストを尽くしたと思いますし、ポールポジション獲れたって実績も残せたので、引き続き最終戦に向けて、準備をし直して優勝目指します。
【今回の成績 : GT500クラス 7位】
予選2番手からスタートしたんですけど、思ったよりレースペースが良くなくて、中段に埋もれてしまったんで、最初から。ちょっと誤算だったので、そこを課題と思って、富士で改善できるように。富士は全車ノーウェイトになるんで厳しい部分もあるかもしれませんが、僕たちの持っているポテンシャルを最大限に活かしてポイント獲れるようにやっていきたいと思っています。
【今回の成績 : GT500クラス 7位】
決勝に関して、ちょっとウォームアップに苦しんだり、ピックアップに苦しんだり、タイヤのポテンシャルは高かったんですけど、そういう弱点が目立ってしまいましたね。ポジティブな部分もあったんですけど、もてぎはなかなかオーバーテイクできないコースということで、そういった部分に関しては、もう少し開発も必要だと思うんですけど、それでも前回のもてぎより自分たちは上がれてガチンコで7位になれているので、そういう意味ではすごくチームとしてポジションアップできたのかな、と思います。今後、弱点を少しでも補っていければ、もっと強くなっていけると思うので、チームとヨコハマさんと、その弱点の部分を少しでも埋めて、逆に自分たちが持っているいい点を活かしていければ、と思っています。
【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
JLOCをターゲットにしていたので、その次の周に僕は入って。インラップで自己ベストで帰ってこられたのとピットワークの速さ、そして拓朗のアウトラップの速さが2位に躍り出たきっかけで。僕の時はオーバーステアがきつかったんですが、リヤだけ交換してバランスが良い状態にして長く走れるように、っていうのもあり、リヤだけ交換にして拓朗が良いペースで走ってくれたのが勝因です。ARTAもJLOCもリヤだけ交換だったんですけど、たぶんうちのクルマがいちばんバランスよく走れていた感じもありましたんで、とっても嬉しいです。オーバー気味といっても、今まではミッドシップの癖というか、オーバーがもっとひどかったんですけど、セットアップも今回すごくうまくいって、全然乗れる程度のオーバーで仕上げることができた感じですね。今年は苦労していたし、前の勝利は少し運もあったので、今回は実力でもぎ取った勝利だと思います。
【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
初優勝です。序盤に4番手を走ってくれたのと、ピットでの作業の早さが、すごく大きいです。最初、NSXが前にいたのを、なんとか僕がオーバーテイクできて、そこから先は順調にリードを築けたんですけど、後半は逆に僕の方がきつくなってきて……。向こうに余力があるなって感じながら、やっぱりミスを本当に減らすことと、しっかりタイヤを使い切って戦えたのが、良かったと思います。
【今回の成績 : GT300クラス 3位】
無交換は本当に最後の手段だったというか、基本的には換えるって作戦だったんですが、10ラップしたぐらいでオーバーテイクは無理だっていうのが発覚したのと、途中スバルとのギャップを聞いて10秒弱と言われたので、無交換でいけば前に出られるし、アウトラップで稼げるし、と。タイヤがどんだけきつくなるかノーシミュレーションだから分からなかったけど、普通にタイヤ交換してもペース良いわけでもないし、抜けるわけでもないならギャンブルして一か八かで、自分が無交換で行きたいっていうのを、チームもエンジニアもJPさんも信じてくれて。こういうふうに結果につなげられたっていうのは、本当に自信になりました。まずチームに感謝。本当に感謝です、信じてくれて。僕にとっても、でっかい一戦になったと思っていて、前進できたと思います。6点差にもなったし、2連覇できるチケット持っているのは僕らしかいないので、何がなんでも取りに行きます!!
【今回の成績 : GT300クラス 4位】
正直、スタートしてすぐ、このレース行けるぞって手応えがあって、大事に行こうと言っていたんですけど、ピットで僕たちの弱さが出ちゃったのは、残念でした。タイヤはリヤ2本だけ換えて、ペースは全然良かったので。タイヤはめちゃくちゃ良かったです。正直、いちばん良かったです、今日走っているGT300の中で、いちばんいいタイヤを使っていたと思っています!! はい、そこ大事です(笑)。
まずGT500クラスの予選ですが、あそこまで行けるとは正直予想はしていなかったんですが、10月の事前のタイヤメーカーテストの結果から、ある程度、期待は持てるんじゃないかと思っていたんですが、予想外に頑張ってくれて本当に感謝しています。そのテストの結果で今回の持ち込みを決めました。
まぁ、ベストは優勝だったのですが、なかなかレースペース厳しい中で、最後に「WedsSport ADVAN GR Supra」が2位まで追い上げてくれて、本当にありがたいなと思っています。「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の7位は、そこは2台ともピックアップに苦しんだ部分があって、ある程度対応できるかと思ったんですが、他社より苦しかったというのと、ドライバーのコメントによれば、ウォームアップのところでも他社さんの方がだいぶ有利だったというところがあったので、そういったところは今回の課題として、今後取り組んでいきたいと思っています。
GT300クラスでは「UPGARAGE NSX GT3」のリタイアが残念でしたが、「Hitotusyama Audi R8 LMS」を始めとして、今回持ってきた比較的高めの温度レンジのタイヤが当たってくれて、全体的に上位に食い込んでいけて、本当に良かったと思います。
「リアライズ日産自動車大学校GT-R」に関しては、交換していると厳しいだろうと無交換で行っていただいて、なおかつ無交換にも関わらず最後までポテンシャルを失わずに戦ってくれたのは、本当に感謝しています。たぶんGT-Rでは初めてだと思っています。コンパウンドとしても、GT-Rはうちの持っている中でも特別なところではあるんですが、それであそこまで無交換まで行けたのは、我々にとっても新しい材料というか、今後に活かせる結果にもなるので、そこは良かったと思っています。GT300に関してもテストが効いたのは一緒です。
次の富士に関してはかなり温度が低くなる可能性もありますし、温度レンジの振り幅がかなり大きいかと思っています。寒くなるとピックアップだったり、グレーニングだったりという懸念項目も大きくなりますし、そこで去年もかなり苦しんでいたところもありますが、どこまで行けるか、今年少しでも進化した結果を見せられるように取り組んでいきます。