2021 SUPER GT Round 4 Report

【SUPER GT 第4戦 / もてぎ】

0.051秒の僅差で予選2番手のWedsSport ADVAN GR Supra、
灼熱の決勝もトップ争いを繰り広げて準優勝を獲得!!

SUPER GT Round 4

開催日 2021年7月17日-18日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(栃木県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 63周
(1周=4,801m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 21台)
SUPER GT 第4戦

第3戦の延期によって、実に2か月半のブランクを置いたSUPER GT。それだけに待ちに待った第4戦が、栃木県のツインリンクもてぎで開催された。梅雨明け宣言が出されたばかりとあって、レースウィークは厳しい暑さとなり、ドライコンディションが絶えず保たれた。何事にも水を差されぬ、激しいバトルが随所で繰り広げられることとなった。

GT300クラスの予選Q1はA組、B組からともに6台ずつ、合わせて12台ものヨコハマタイヤユーザーが突破に成功。特にB組では「Studie PLUS BMW」の荒聖治選手が、ひとり1分47秒台に乗せてトップで、A組では72kgもサクセスウエイトを積んでいる「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のJ.P.デ・オリベイラ選手が2番手につけ、優れたパフォーマンスを発揮した。

続くQ2ではポールポジションこそ逸したものの、三宅淳詞選手からバトンを託された堤優威選手が駆る「たかのこの湯GR Supra GT」が2番手となり、3番手は「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の藤波清斗選手が獲得。5番手を谷口信輝選手と片岡龍也選手の「グッドスマイル初音ミクAMG」が、そして6番手は小暮卓史選手と元嶋佑弥選手の「JLOCランボルギーニGT3」が奪い、決勝に向けてヨコハマタイヤユーザーによる上位独占の期待が高まった。

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GT500クラスでは、「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本雄資選手が3番手でQ1を突破。続くQ2では宮田莉朋選手が入念なウォームアップの後に2番手へ躍進、しかもラストアタックのセクター1とセクター2は最速をマーク。最後の最後に大逆転かと思われたが、セクター3でわずかながらも姿勢を乱したことでチェッカーを受けることなくピットイン。それでもフロントローはしっかり確保することとなった。

その一方で、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」はQ1で高星明誠選手が11番手に終わり、佐々木大樹選手に襷を渡すことなく、予選を終えることとなった。

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決勝レースも予選同様、酷暑の中で行われた。気温こそ34度と予選と変わらなかったものの、路面温度は51度で8度も上昇。しかし、そんな状況においても「WedsSport ADVAN GR Supra」は最後まで弱音を吐かなかった。スタート直後の1コーナーで国本選手はトップに並びかけるも、ここでの逆転は許されず。しかしファステストラップを記録して、ペースが上回った6周目の後、早くも勝負をかけて5コーナーで逆転に成功。トップに立ってからの国本選手は徐々に差を広げていき、最大4秒もの差をつけていた。

28周目に宮田選手へ交代した「WedsSport ADVAN GR Supra」だったが、タイヤ交換に手間取りトップを奪い返されてしまう。33周目にはファステストラップも更新して、必死に追いかけた宮田選手ではあったが、2度のFCY(フルコースイエロー)に阻まれ、最後まで逆転ならず。それでもヨコハマタイヤユーザーとして今季初の表彰台に上がることとなった。

「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は24周目に、佐々木選手から高星選手への交代を早めに行うも、苦境からの打開はならず。12位でのゴールに留まった。

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GT300クラスでは、予選同様2番手から「たかのこの湯GR Supra GT」の堤選手がレースを開始。これに「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の藤波選手、一台置いて「グッドスマイル初音ミクAMG」の片岡選手、そして「JLOCランボルギーニGT3」の元嶋選手が続いて、序盤は2番手を競い合う。この中で抜け出す形となったのも、堤選手だった。

第1スティントで順位変動はなかったものの、ドライバー交代後にレースは動く。25周目に「たかのこの湯GR Supra GT」が三宅選手に変わるも、ピット作業にやや手間取ってしまった。そして26周目にオリベイラ選手へと代わったばかりの「リアライズ日産自動車大学校GT-R」が、先に小暮選手への交代を済ませていた「JLOCランボルギーニGT3」と接触、ともに大きく順位を落としてしまう。

全車ドライバー交代を終えると、ヨコハマタイヤユーザーの最上位、3番手につけていたのは「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口選手。20周目には早くも交代、タイヤ交換を左側2本に留めて停車時間を最小限としていたのが奏功するも、終盤のペースが上がらず、41周目に一台の先行を許したばかりか、やがて三宅選手も急接近。堪えきれず、56周目のV字コーナーで谷口選手はポジションを明け渡した。

その結果、「たかのこの湯GR Supra GT」が4位で、「グッドスマイル初音ミクAMG」が5位、そして予選8番手から順位を上げて松井孝允選手と佐藤公哉選手の「HOPPY Porsche」が6位でゴール。表彰台にはあと一歩のところで届かなかったものの、ヨコハマタイヤユーザーは6台が入賞を果たしていた。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 2位】
2番手スタートからトップに上がることができて、自分のスティントは満足のいくものでした。タイヤもすごく良くて自信を持ってオーバーテイクに挑むことができたので、ヨコハマのタイヤがすごくレベルアップしているのを感じたレースでした。抜いた後のペースも自分の方が後ろのクルマよりも速くて、本当に満足のいくレースができたと感じています。最終的に優勝はできなかったのですが、本当にチームとトヨタとヨコハマタイヤがともに頑張ってくれたおかげで、僕たちもすごく自信を持って予選から挑むことができたし、すごくいい開発ができていると感じます。まだまだレースが続くので、優勝は後半戦にとっておいて、引き続きみんなで頑張って、もっともっと強くなってレースができるようにしていきたいと思っています。今回も応援、ありがとうございます。

宮田莉朋 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 2位】
ピットでアンダーカットされてしまって、5秒差ぐらいつけられました。その後のファステストラップも含めたロングランのペースは、今回持ってきたタイヤはある意味で初めて使うタイヤだったのでデータを残さないといけないと思って臨んでいました。ここからまだまだ前進するために努力は必要でしょうが、今までレースした中でも、こういった悔しいと思えるレースって、なかなかなかったというか、勝てるかもしれないというレースを勝てなかった、そして悔しいという思い。でも、その中でも表彰台獲得できているというのは、本当に皆さんの努力のおかげだと思いますし、こうやって悔しいと思える時は、僕はある意味、幸せだと思っているので、またここからさらにみなさんとともに努力して、優勝できるようにまた頑張りたいと思います。

堤 優威 選手 [たかのこの湯GR Supra GT]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
予選からヨコハマタイヤ勢のトップで、それは決勝でも最低限守りたいと思っていました。僕らのペースも悪くなくて、タイヤもペースは落ちるけれど、まわりと同等だったというか、僕のスティントではトップと同じぐらいで、むしろ徐々に追いついていくこともできました。後半の三宅選手もいいタイムを連発して走っていたので、良かったかなと。ただ、ピットで時間かかっちゃって、なんで遅れたのかすごい疑問なので、この後ミーティングで話して改善できるようにしたいです。コース上の1秒より絶対ピット中の1秒の方が取り戻せると思うので。そうじゃないと勝てないと思いましたね。僕自身は今日ミスがなかったので、良かったです。

三宅淳詞 選手 [たかのこの湯GR Supra GT]

【今回の成績 : GT300クラス 4位】
堤選手が素晴らしい走りで渡してくれたのに、順位を落とす形になってしまったのが悔やまれます。前の接触とかがあって、運よく上がって行けたんですけれど、ヨコハマタイヤ勢のトップとは言っても4位なので。次の鈴鹿に向けては、今回ポイント獲れたことで重くなりますが、しっかりもっとパフォーマンスを上げられるように、ドライビングの面で考えたいと思いました。タイヤはけっこう良かったです。4本交換が正解でしたね。

谷口信輝 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
昨日の走り出しから運気は良かったので、ついついちょっとあわよくば的な、淡い期待を抱いてしまいましたが、やはり現在のパワーバランス的にはGT-Rとかスープラが明らかに有利ですよね。でも、久しぶりにQ1を通るとか通らないか、じゃなくてQ1はちゃんと通って、ポール狙いましょうとか、レースもちゃんとこう、順位が、テレビにも映ってレースができたっていうのは、良かったですね。やっぱりこうでないと、レースじゃないし。ここまでパフォーマンスを見せられたのは、今回持ち込んだタイヤのおかげ。2本交換で保たせるのは厳しかったけど、GT-Rとスープラが速すぎるから、どうしても背伸びした作戦をとるから後半苦しくなったけど、でも、今回持ち込んだタイヤがバッチリ機能したと思います。

片岡龍也 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
今回、準備してきたタイヤのパフォーマンスはけっこう高かったです。ただ、想定より暑くなってしまった気温の中で心配しながらレースを戦い、自分のスティントに関しては、まわりのライバル勢に対しても非常にコンペティションは保てました。よそのチームがタイヤ無交換をもっとやってくると思ったので、2本交換という選択をしてアンダーカットには成功したんですが、谷口さんのスティントでは、やはり4本交換しておいた方がトータルのパフォーマンスは高かったかも。それでも悪条件の中でやれるだけのことはやって、差はだいぶ縮まったと思うので、早く逆転したいと思います。次の鈴鹿も苦しいでしょうが、今回のもてぎでポイントみたいなものは見えたんで、今日の課題をうまく克服できるよう、ヨコハマのエンジニアさんとともに頑張っていこうと思います。

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

GT500クラスに関しては6月に、ここもてぎでテストしていまして、その時、今回にかなり近い気候条件でした。その中でひとつの手がかりになるような構造とゴムが見つかったので、それをベースにして今回持ち込みました。見事にうまい感じでハマってくれて、ドライバーさんがかなり頑張ってくれて、「WedsSport ADVAN GR Supra」が予選も2位、決勝も2位というところが取れて、かなり良かったと思います。もともとうちは高温側が比較的得意なのですが、今回はその中でも新しいトライをしていました。

「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」も基本的には大きく変えているわけではないですが、タイヤをうまく活かせるセットアップがまだ19号車ほど詰められていない、というところがあるので、今後チームとも今まで以上にデータの共有をしていって、そういう部分を活かせるようにしたいと思います。

GT300クラスでは、決勝の中盤で「リアライズ日産自動車大学校GT-R」と「JLOCランボルギーニGT3」が接触してしまって、あれは本当に残念としか言いようがないですが、レースなので仕方ないかなと思っています。ただ、GT300クラスもGT500クラス同様に、もてぎでテストした中でかなり、特にミッドシップのクルマに対して、いいマッチングの構造が見つかっているので、うち的にはそれほど心配はしていませんが、次戦以降、頑張ってくれるんじゃないかと思っています。

次の鈴鹿は負荷的にかなり大きいので、去年鈴鹿で悔しい思いもしていますし、そういうところでいうと、まずは確実に進めていくというか、あまりチャレンジングなことというより、しっかりとペースを取れるという取り組みにしていこうかと思っています。