2021 SUPER GT Round 3 Report

【SUPER GT 第3戦 / 鈴鹿】

「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」が3位表彰台を獲得、
GT300クラスはトップ6をヨコハマタイヤ勢が独占!!

SUPER GT Round 3

開催日 2021年8月21日-22日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 52周
(1周=5,807m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 21台)
SUPER GT 第3戦

5月末の開催を予定していた鈴鹿サーキットでのSUPER GT第3戦は、約3か月の延期を経て開催されることとなった。先週から全国的に降り続いた雨は、レースウィークに差し掛かってようやく落ち着いたとはいえ、土曜日の走り初めはセミウェット。日曜日になって強い日差しが注がれたかと思われたが、決勝レース中には雨雲が近づくなど、終始天候は不安定なままだった。

延期によって厳しい暑さが予想されたが、いざ蓋を開けてみると温度は予想よりも低く推移することに。土曜日の予選開始時は気温27度/路面温度31度と、この時期らしくないとも言えるコンディションになっていた。

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そんな中でヨコハマタイヤ勢は、思っていたよりも低い気温と路面温度に対しても、レンジを外すことは無かった。まずGT300クラスのQ1においてA組からは7台、B組からは6台と多くのユーザーが突破に成功。Q2においても、トップこそ譲ったものの、2番手には「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」の平木湧也選手が、そして3番手にも「たかのこの湯GR Supra GT」の三宅淳詞選手がつけたばかりか、トップ10に7台のヨコハマタイヤユーザーが並ぶこととなった。

GT500クラスでも、ヨコハマタイヤユーザーの快進撃が見られた。今季ここまでの3戦、苦戦を強いられて唯一サクセスウエイトが0kgだった「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は、佐々木大樹選手のアタックで、見事3番手を獲得。続くQ2においても高星明誠選手が4番手につけることとなった。

ただ、その一方で前回準優勝の「WedsSport ADVAN GR Supra」は、国本雄資選手がQ1で9番手に留まり、宮田莉朋選手にバトンを託すことができず。40kgに達したサクセスウエイトが少なからず影響を及ぼしたかたちになったが、スープラ勢の中では最上位につけた。

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それまでどんよりとした天気であったが、日曜日になると一転。決勝レースのスタート進行が始まると、強い日差しが注ぐまでとなった。気温は31度、路面温度に至っては43度まで上昇し、予選より10度以上も高まっていた。ようやく「灼熱」と言うべきコンディションとなった中、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の佐々木選手はポジションキープからレースを開始。そして5周目には総合トップの車両がマシントラブルでリタイアしたこともあり、3番手に浮上することに。なお、その後20分間ほどセーフティカー(SC)が導入された。

再スタート後も佐々木選手はポジションを保ち、ライバルチームの多くが早めにドライバー交代を済ませる中、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は暫定トップも走行。25周目にようやくピットインするも、このタイミングは決して正解とは言い切れず。交代した高星選手は6番手にまでいったんは順位を落とすも、28周目に1台、30周目にまた1台、そして36周目にも1台をかわして、3番手に返り咲くことに成功。一時、小雨がぱらつくなどして、下がった路面温度にもタイヤはしっかり対応して、そのままポジションをキープ。KONDO RACINGとしては優勝を飾った2016年のもてぎ以来となる、表彰台に立つこととなった。

しかし、その一方でW入賞の期待がかかった「WedsSport ADVAN GR Supra」は、中盤以降のペースが思うように上がらず。13位でチェッカーを受けたが、苦しい戦いながらも力走は次につながるものとなった。

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GT300クラスでは3番手からスタートを切った「たかのこの湯GR Supra GT」の三宅選手が、オープニングラップのうちに2番手に浮上。そしてSCラン明け2周後となる、12周目には待望のトップに躍り出る。24周目に堤優威選手に交代するが、コースインした直後の1コーナーで脇をかすめていったのは、「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」の平木玲次選手だった。「たかのこの湯GR Supra GT」よりも3周早く、平木湧也選手から平木玲次選手への交代を行い、タイヤは無交換としたことで前に出たのである。

全車がドライバー交代を済ませると、案の定この2台でトップが争われることに。しかし、車両特性の違いによって、なかなか順位が入れ替わらぬ中、徐々に2台との差を詰めていたのが、「JLOCランボルギーニGT3」の小暮卓史選手、そして「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口信輝選手だった。それぞれ序盤は、元嶋佑弥選手と片岡龍也選手が5~6番手を走行。我慢の走りをパートナーが実らせた格好だ。

しかし平木玲次選手は暑さの影響でドライビングの集中力を欠いてしまい、「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」は38周目のデグナーで、「たかのこの湯GR Supra GT」にトップを明け渡したばかりか、その後は5位にまで順位を落としてしまう。逆にトップに立ってからの堤選手は、まったく危なげない走りを見せたばかりか、後続をも引き離し、三宅選手とともに嬉しい初優勝を飾ることとなった。

準優勝は「JLOCランボルギーニGT3」が、そして3位は「グッドスマイル初音ミクAMG」が獲得し、ヨコハマタイヤ勢が表彰台を独占。さらに4位に「PACIFIC NAC CARGUY Ferrari」のケイ・コッツォリーノ選手と横溝直輝選手、5位に「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」、6位には「TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」の永井宏明選手と織戸学選手がつけて、ヨコハマタイヤ勢がトップ6を独占して強さを見せた。

DRIVER VOICE

高星明誠 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 3位】
4位からレースを開始して、3位で終えることができました。僕たちのペースも良くて、ピットのタイミングはちょっとミスってしまったのですが、タイヤのパフォーマンス、クルマのパフォーマンスがすごく高かったので、3位表彰台を自力で獲れたのはすごくポジティブにとらえていて、嬉しいことです。この速さを鈴鹿以外でも出せるように、これからチームと打ち合わせして、しっかりやっていきたいと思います。応援ありがとうございました。

佐々木大樹 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 3位】
皆さん、応援ありがとうございました。おかげさまで3位表彰台を獲得できて、本当にヨコハマさんに助けてもらいました。僕が担当したファーストスティントは、ちょっと温度が高くなったことで苦しい部分もありましたが、セカンドスティントは温度が下がったり、雨がぱらついたりしたところで、本当にいいパフォーマンスを高星選手が発揮してくれたおかげで3位を獲れました。KONDO RACINGとヨコハマさんとみんなの力で、運ではなく、実力でこの結果を得られたので本当に嬉しいです。この成績をさらに今後につなげて、また優勝できるように頑張っていきたいと思います。

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
9番手からスタートしましたが、厳しいレースになってしまいました。タイヤのグリップをしっかり引き出すことができず、順位を落としてレースを終えることとなり、残念な結果で終わってしまったことを申し訳なく思います。後半戦に向けて、いいタイヤを選んで、またワンステップ速くなれるように頑張っていきたいです。

宮田莉朋 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
決勝は追い上げることもできず、守りきることもできず、コース上にいるのが精いっぱいでした。といっても、トラブルなく終われましたし、同じヨコハマタイヤの24号車が表彰台に立つことができて、去年からの課題は改善できたのではないかと思っています。今回のことを次につなげて、またいいレースができるように、チームとヨコハマタイヤさんと一緒に頑張りたいと思います。

三宅淳詞 選手 [たかのこの湯GR Supra GT]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
今回は走り出しから調子が良くて、クルマもタイヤも不安が何もなかったので、ついに優勝することできました。予選では僕がミスしていたせいで、フロントローからスタートするチャンスを失ってしまって。でも、スタートを担当させていただけたので、絶対に挽回しようと昨日のうちに計画していたことがしっかりできて、トップで帰ってこられました。僕は去年からSUPER GTに参戦しているのですが、その中では一番満足のいくスティントができたんじゃないかと思っています。ランキングのトップに立ちましたが、次からウエイトも厳しくなると思います。でも、今はチームプレイとしても最高の状態なので、もっと進化させて、しっかり今後も上位を狙いたいと思います。

堤 優威 選手 [たかのこの湯GR Supra GT]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
僕は今シーズンからGT300にフルシーズン登録させていただいているのですが、まさかこんなに早く優勝できるとは思っていませんでした。スープラは他のチーム、他のタイヤメーカーが活躍する中、僕らだけまだ表彰台に登れていなかったり、思うところがいろいろあったりした中でも、こうして結果が残せたことでチームやスポンサー、オーナーさんに対して、いい恩返しができたと思います。うちはタイヤを4輪交換をして、温まってきてからはペースも良かったし、何よりチームがいいマシンに仕上げてくれたので、ミスなく走れば勝てるんじゃないかって、自信がつくぐらい、いいチームワークでした。このまま後半戦も突っ走って、ランキングのトップをキープし続けたいと思います。

小暮卓史 選手 [JLOCランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 準優勝】
いろいろ難しいところはありましたけれど、チームにもチームメイトにも恵まれているので、行くだけだという感じだったので、それが形になって嬉しいです。トップは速かったのですが、決してパフォーマンスは悪くなかったと思います。このチームに来て、2位は何度かあるのですが、優勝したいですね、それも、今シーズン中に。タイヤは2本だけ交換でしたが、耐えることができました。

元嶋佑弥 選手 [JLOCランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 準優勝】
良かったです。自分たちがやるべきことを、ちゃんとやれたレースでした。今回スピードはあったのですが、ロングは厳しそうだったので、周りのペースに乱されず、自分たちのペースで淡々と走って、僕が抜かれなければなんとかチャンスが来ると思っていたので。本当にみんなのおかげでなんとか、いいところで終われました。でも、勝ちたいです、まだチャンスあると思うので頑張ります。

谷口信輝 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
今回はヨコハマのタイヤが最高に良かったです。それでも予選が6番手というポジションから、まぁ FIA-GT3の中では一番獲りたいと思ったのですが、いろいろあった中で3位まで来られたのは嬉しいですね。当初はタイヤを4本交換のはずだったのですが、SCが出たアレで、ピットで給油するチームもあったじゃないですか。飲み込まれちゃいけないので、急きょリヤ2本交換に作戦変更しました。久々の表彰台で嬉しいです。

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」に関しては、合うコンパウンドと構造というのをなかなか提供できなくて、我々も苦しい思いをしていたんですが、4月の鈴鹿のテストでまずまず合いそうなものが見つかったので、それを今回の夏の鈴鹿に向けて、高温向きというのをアレンジしたものを持ってきて、それがうまくはまった形かな、と思っています。

逆に「WedsSport ADVAN GR Supra」に関しては、スープラに対してという形になるのかもしれませんが、そこに合う構造とコンパウンドを提供できず、鈴鹿は難易度が高いと思っているのですが、継続的な課題ととらえていて、次回は来年になってしまいますが、なんとかいろいろ取り組みをしていきます。

GT300クラスでは、6位までを独占することができました。予選こそトップを持っていかれましたが、比較的うちは後半追い上げていくことが得意なので、そういう展開に持っていければと思っていたのです。そこは本当に狙いどおりで。どのクルマも非常に頑張ってくれて、狙い通りのところに持っていってくれました。鈴鹿は他のサーキットに比べてシビアリティが違うので、もてぎのテスト結果をベースに、鈴鹿向けというちょっと新しいものをおさめて投入したのが、うまくはまってくれたようです。

両クラスとも次のスポーツランドSUGOのテストはできていませんし、去年はレースもなかったので、ほぼデータのない状態です。路面のシビアリティ等を考慮した上で、今できる最善の取り組みをしていこうと思っています。