2021 SUPER GT Round 2 Report

【SUPER GT 第2戦 / 富士】

WedsSport ADVAN GR Supraがポールポジションを獲得、
決勝は7位にドロップするも今後につながる材料を得る結果に!!

SUPER GT Round 2

開催日 2021年5月3日-4日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 110周
(1周=4,563m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 21台)
SUPER GT 第2戦

岡山国際サーキットでの開幕から、わずか1か月足らずでSUPER GTは、シリーズ第2戦を富士スピードウェイで迎えることとなった。500kmレースで競われるゴールデンウィークの一戦は、例年ならば大観衆が押し寄せ、熱気で満ち溢れるのだが、現在の社会情勢では、そうならなかったのはやむを得ないところ。とはいえ、オンラインなどで応援するファンの期待にも応え、バトルは熱く、ドラマティックな展開が繰り広げられた。

GT300クラスの予選Q1でA組からは4台、B組からは2台のヨコハマタイヤユーザーがQ2進出に成功。しかし、全体的に長丁場で、しかも気温/路面温度が高くなることを見越して、硬めのタイヤを選ぶ傾向にあったことから、続くQ2では平木湧也選手と平木玲次選手の「マッハ車検MC86 GTNETマッハ号」の8番手が最上位に。しかしながらブレーキにトラブルを抱えていたというから、万全であればもっと上の順位を得られていたかもしれない。また、トップ10にはあと一歩のところで届かなかったが、谷口信輝選手と片岡龍也選手の「グッドスマイル初音ミクAMG」が11番手につけた。

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そしてGT500クラスでは、公式練習でもトップタイムを刻んだ「WedsSport ADVAN GR Supra」が、遺憾なく本領を発揮した。Q1に挑んだ国本雄資選手は6番手というポジションになったが、トップとの差はわずか0.2秒。そのデータをもとにQ2を走行した宮田莉朋選手が激走を見せて、2番手を1000分の3秒かわしてトップに立ち、ヨコハマタイヤユーザーとしては3年ぶり、レーシングプロジェクトBANDOHにとっては5年ぶり、そして宮田選手にとっては自身初となるポールポジションを獲得することになった。

一方、高星明誠選手がQ1に挑んだ「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は14番手で、佐々木大樹選手につなぐことはできなかった。

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決勝レースも予選同様、天気に恵まれて絶好のコンディションの中での戦いとなった。ポールポジションから決勝に臨んだ「WedsSport ADVAN GR Supra」のスタートドライバーは宮田選手。だが、1コーナーまでに2台の先行を許し、オープニングラップで5番手に後退してしまった。

その後1台に抜かれるも、やがて後続は突き放す展開になり、また上位陣の脱落で5番手に返り咲く。36周目に国本選手と交代すると、一旦は10番手にまで後退するも、安定したタイムを刻むようになり、そして74周目に再び宮田選手が乗り込んでからは、上位にも遜色ないタイムを出すまでに。さらに上位陣に続いたアクシデントのたび順位を上げていく格好となり、最終的にはトップと同一周回の7位でゴールすることとなった。

一方、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は最後まで抗う術もなく、淡々と周回を重ねていくだけのレースになってしまった。最終的にはトップから1周遅れの12位という結果に終わっている。

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GT300クラスでは、小暮卓史選手と元嶋佑弥選手の「JLOCランボルギーニGT3」が予選20番手から、そして藤波清斗選手とJ.P.デ・オリベイラ選手の「リアライズ日産自動車大学校GT-R」が26番手からの、激しい追い上げが光った。ともに硬めのタイヤを選んでいたことから下位に沈んでいたものの、路面温度の上昇もあって次第に順位を上げていく。

「JLOCランボルギーニGT3」が、29周目に元嶋選手から小暮選手への最初のドライバー交代を行った時には、なんと7番手にまで浮上していた。しかも、その直後にFCY(フルコースイエロー)が出るラッキーもあってロスを最小限に。その後、ピットタイミングがチームごと違っていたとはいえ、64周目にはトップに浮上。その次の周に、再び元嶋選手がマシンに乗り込んだ。

全車2回目のドライバー交代を済ませると「JLOCランボルギーニGT3」は7番手を走行することとなり、一旦1台の先行を許すも、終盤に相次いだ上位の脱落にも乗じて6位でゴールすることとなった。

そして「リアライズ日産自動車大学校GT-R」は前回の優勝により、サクセスウエイトを60kgも積んでの出走。予選で手も足も出ない状況だったが、スタートを担当したJP選手が13番手まで浮上。そして、このチームも29周目に藤波選手に交代し、ロスを最小限としていたことが、さらなる上昇の要因となっていた。最後は7位でゴールし、実に19台抜きを果たしていた。

この2台に続く8位は、谷口信輝選手と片岡龍也選手の「グッドスマイル初音ミクAMG」。スタートからわずか18周で、片岡選手から谷口選手に交代する、超ショートスティント作戦を採ることに。逆に第2スティントは41周を走る、メリハリのついた戦術が功を奏することとなった。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 7位】
僕は第2スティントを走って、決まった周回数を走らなければいけなかったので、タイヤをセーブしつつ、ペースをコントロールして走っていました。今までのペースよりもタイヤ的にすごくコンスタントに走ることができて、最後ガソリンが減って軽くなった時にはタイムアップすることができました。まだ課題がたくさんありますが、今回はポールポジションを獲得したので、いいところでゴールしたかったんですが、僕たちは力をしっかり発揮できたと思います。7位でゴールできて、ポイント獲れたのは良かったと思います。次につながるようなレースになりました。

宮田莉朋 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 7位】
決勝7位で終えました。スタートはけっこう頑張ったのですが、ライバルの方が一枚上手で、対抗しきれなかったです。ただ、ポールポジションからのスタートはなかなか経験できないことなので良い経験をしましたし、これを機会にして、もっとタイヤの温まりだったりを、チームも含めて見直していきたいと思っています。その後のレースペースはトップ集団にはなかなか追いつきませんでしたが、上位を争えるまでのペースで走れて、特に最終スティントは本当に上位よりも速くて、いいラップタイムで走れていました。これはすごくいいデータだと思いますし、今後につながるレースだったと思います。しっかりこの予選と決勝で、良かった部分も分析して、チームもヨコハマタイヤさんとともに次戦以降、また予選でトップ争いできるよう、決勝でも追い上げられるパフォーマンスを作れるようにしたいと思います。

小暮卓史 選手 [JLOCランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 6位】
硬めのタイヤだったので、予選では思った以上に前に行けなくて。決勝はそういう、硬めのタイヤだから初めはペース良かったんですよ、暖かかったから。全体的にペースは、そんなに悪くなかったです。でも結果は悪くないのですが、なんとも言えない悔しい感じではありますね。

元嶋佑弥 選手 [JLOCランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 6位】
まわりのペースと比べると、遅くもないし、速くもないしという感じでしたが、僕の中ではベストを尽くしたので、追い上げて来られたんだと思っています。

藤波清斗 選手 [リアライズ日産自動車大学校GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 7位】
きついレースではありましたが、ピットのタイミングも良くて、それで前に行けたというのがあったので、またチームに助けられました。FCY出るかな、というタイミングで入れてくれたので。僕はそのまま出ていけたので、本当にその判断がすべてですね。JPさんのペース、速かったですし、僕はペースが上がらなかった部分がありましたが、そこはちょっと宿題というか、なんかしないといけないな、というところです。これでまた重くなっちゃうので、怖い(苦笑)。でも、頑張ってまた、やることすべてやっていきます!!

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

「WedsSport ADVAN GR Supra」に関しては、先日のGTAの公式テストでいい結果が得られず苦しんでいるところがありましたが、その後チームやメーカーと走行データやタイヤデータの共有等、レースに向けてのセットアップに対して、良いコミュニケーションが取れました。富士は耐久性の問題があり、タイヤの構造を大きく変えられないところがあるので、去年から進めているタイヤを有効に使うセットアップを上手く検討して頂けた部分があるのかと思っています。

決勝では結果として順位を落としましたが、レース後半ではかなり追い上げていけました。ちょっとスタートで残念なことになりましたが、レース後半のペースでいえばトップレベルのタイムでしたし、ドライバーさんからのフィードバックのコメントもかなり前向きなコメントが得られたので、そういった意味では非常に収穫があったと思っています。

一方、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」はタイムの方は伸び悩みましたが、昨年は耐久性で苦労していた富士で500kmレースを問題なく完遂できるタイヤを見つけられたことについては、非常に前向きに受け留めています。

GT300クラスは、特に「リアライズ日産自動車大学校GT-R」に関しては60kgもウエイトを積んでいて、相当厳しいと思っていましたし、もともと今回は長距離ということもあって、後半追い上げ型になるだろうな、という想定をしていたので、想定の範囲内で。予選で一発の速さを出すよりは後半追い上げていくというところで、想定していたとおりの展開になったかな、と思っています。「JLOCランボルギーニGT3」も、しっかり追い上げてくれました。

次の鈴鹿ですが、GT500クラスは富士で耐久性の確認がうまく取れて、なおかつ一発のタイムというところも取れたので、そこを活かしながら、次につながる手を打っていきたいな、と思っています。GT300クラスも鈴鹿では今年テストはできていないんですけど、ある程度構造も固まってきていますし、鈴鹿向けにチューニングしていく、という方向で言うと、けっこう狙いどころであると思っています。