2021 SUPER GT Round 1 Report

【SUPER GT 第1戦 / 岡山国際】

昨年覇者の貫祿を見せたリアライズ日産自動車大学校GT-R、
晴れの国・岡山での開幕戦でGT300クラスを制した!!

SUPER GT Round 1

開催日 2021年4月10日-11日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 82周
(1周=3,703m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 21台)
SUPER GT 第1戦

2年ぶりに岡山国際サーキットで幕を開けたSUPER GT。今年も舞台は国内のサーキットに限られるものの、全8戦での開催が予定されている。その開幕戦のレースウィークは終日、好天に恵まれて絶好のコンディションの中、激しいバトルが繰り広げられた。

GT300クラスの予選Q1でA組のトップは、「たかのこの湯GR Supra GT」の堤優威選手。岡山の公式テストには間に合わず、参加できなかった車両で、なおかつフル参戦は初めてのドライバーが、いきなり成果を残すこととなった。そして、A組ではディフェンディングチャンピオンで「リアライズ日産自動車大学校GT-R」を駆る、藤波清斗選手が4番手につけた。B組では初の兄弟参戦となった「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」の平木湧也選手が、ヨコハマタイヤユーザーのトップとなる4番手を獲得。

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Q2には7台のヨコハマタイヤユーザーが挑み、最上位となったのは「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のJ.P.デ・オリベイラ選手で4番手。そこは王者の貫禄といったところだ。そして5番手は「たかのこの湯GR Supra GT」の三宅淳詞選手が獲得。一方、「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」は、ルーキーの平木玲次選手がいきなりQ2に挑んだこともあって、14番手に留まった。

GT500クラスでは、高星明誠選手と佐々木大樹選手の新体制で臨んだ「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」だったが、高星選手の力走及ばず、15番手でQ1突破ならず。「WedsSport ADVAN GR Supra」は国本雄資選手が7番手につけて、Q2進出を果たすも、宮田莉朋選手は1周もせずピットに戻ってきて走行を終了。「トラブルではなく、前向きな作戦だと、僕は思っています」と宮田選手は意味深なコメントを残している。それでも決勝には8番手から臨めるだけに、十分入賞の期待がかかる。

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決勝レースも好天に恵まれ、青空が広がる中で激しいバトルが繰り広げられた。いきなり魅せたのがGT300クラスの「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の藤波選手。スタート直後のヘアピンで、前を行くメルセデスAMG65号車をかわして3番手に浮上。トップを争う2台には迫れなかったものの、しっかりポジションをキープし続けたことが、後に福音をもたらす要素となる。

レース前半、アクシデントの発生により、2度のセーフティカー(SC)ランが実施され、1回目はレース展開に影響は及ぼさなかったものの、2回目はすでにドライバー交代可能な周回を超えていたことから、大きな影響を及ぼすこととなった。29周目のアクシデント発生に対し、ピットの判断で1周ステイしたことで「リアライズ日産自動車大学校GT-R」にとってはベストタイミングとなり、ロスは最小限に。その結果、JP選手がコースに戻った時には、トップにも躍り出ていたからだ。

しかし、背後には同一周回の車両が3台も僅差で続いており、流石にJP選手も終始プレッシャーを浴びながらの走行となったが、まったくミスのない走りを見せて猛攻をかわして77周を走破。チャンピオンコンビが開幕戦を制することとなった。

そして、その4台によるトップ争いからは、やや離されてはしまったものの、5位を「たかのこの湯GR Supra GT」が獲得。与えられていた条件の不足を思えば、大いに今後に期待の結果となっていた。

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そしてGT500クラスでは、予選8番手から上位進出の期待がかかっていた「WedsSport ADVAN GR Supra」は、国本選手がオープニングラップでふたつ順位を落とすも、その中では後続を従えて有利にレースを進めていたかに思われていた。だが、途中2回のSCランで状況を好転させることができず、予選Q2のタイヤ温存で狙っていた奇襲作戦も失敗。終わってみれば12位という結果に甘んじることとなった。

一方、予選15番手からのスタートとなった「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」にしてみれば、もう後がない展開ではあったことから、2度目のSCランにおいては、あえてのステイで一時はトップも走行したが、作戦としてはうまく機能せず。SCがコースを離れた後、順位を落としたばかりか、佐々木選手から高星選手の交代後は14番手を走行するのが精いっぱいだった。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 12位】
予選8番手からレースを開始して、前半スティントを走りました。ペース的に厳しくて、自分のスティントでは守りのレースになり、非常に厳しいペースも上げられない、絶えず後ろを気にしながらのレースになってしまいました。後半スティントに賭けて、早めにピットに入ったんですが、宮田選手もあまりいいペースで走れずに、予選から順位を落としてポイントを獲ることができずに、厳しいレースとなりました。でも次戦までにまたテストがあるので、いい準備をして次は力強いレースをして、ヨコハマとともにテストを進めていきたいです。

宮田莉朋 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 12位】
開幕戦、12位でした。国本選手と同じタイヤで第2スティントを担当して、つらいことは想像していたので、その中でどうベストを尽くすかというところでした。ポイント獲れれば上出来でしたが、しっかりこの結果を受けとめます。やっぱり今、結果については焦らずに、優勝できるように状況を作るのが大切なので、今回得たフィードバックをしっかり伝えて、タイヤ開発を進められればいいな、と思っています。

藤波清斗 選手 [リアライズ日産自動車大学校GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
スタート直後にメルセデス65号車を抜いたのは、バックストレート後のヘアピンです。アウトから行きました、ブレーキングで。あそこで前に出られたのが、いちばん大きかったと思います。その後、ピットでメカニックの皆さんがすごいいい仕事をしてくれて、JP選手がコースインした時にはトップに立てたので。僕は第1スティントでタイヤの摩耗だとかフィーリングを無線で伝えて、それを分かった上でコントロールしてくれたので、こういう結果で終われたのかと思います。タイヤはちょっと厳しかったですね、まだまだ余地はあります。きつかったけど、いい方だったので、それはありがたかったです!

J.P.デ・オリベイラ 選手 [リアライズ日産自動車大学校GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
今回は期待以上だと思っています。ここ岡山の公式テストでは思ったほどのペースがなくて、開幕戦ではポイントを獲得するのが目標でしたから。でも、この週末、必ずセーフティカーが入るだろうと予想していて、そのピットインのタイミングは最高でした。藤波選手からクルマを受けて、僕がコースに出た時にトップに立てましたが、その瞬間からタイヤをコントロールしなければならないと感じていましたし、後ろから強力なライバルのプレッシャーを受け続けていたので、こういう結果で終われてチームにはすごく感謝しています。もちろん、日産、ニスモ、そしてヨコハマの皆さんにも、すごく感謝しています。ありがとうございます!

三宅淳詞 選手 [たかのこの湯GR Supra GT]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
正直、岡山ではテストできていなくて、持ち込みタイヤもどうか分からなかったんですけど、しっかりマッチしてくれました。公式練習では発動してくれないかと思ったんですけど、昨日も今日も路面温度が上がっていて、しっかり発動してくれたイメージです。ペース的にも悪くなかったんですが、同じタイヤメーカーのリアライズ自動車大学校GT-Rのペースはもっと良くて、僕らは公式テストを走っていないことを思えば良かったんですけど、そういう部分はしっかり見直していかないと。でも、チームとして2年目で初ポイントにもなったので、そういうところは喜んでいいんじゃないかと思っています。

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

GT300クラスでは「リアライズ日産自動車大学校GT-R」が、勝ってくれました! 基本的に路線は去年からの踏襲で、ちょっと温度がどうなるかというところもあったのですが、そこは比較的低温でも行けるかなと思っていたんですが、予想より温度が上がって、こちらとしてはいい状況になったこともあって、基本路線の踏襲でいい結果になったと思います。そこは狙いどおりでしたね。

また、「たかのこの湯GR Supra GT」は今年からのクルマだったので、ポテンシャルが高いのは分かっていたんですけど、なかなか走れずにいたこともあって不安なところもあったんですが、走れればポテンシャルの高さもありまして。あれも「リアライズ日産自動車大学校GT-R」のタイヤとコンセプトは応用できているので、こちらも楽しみだと思っています。

対してGT500クラスに関しては、かなり残念な結果になってしまいました。岡山では去年もテストできなくて、今年は何回かできたんですけど、やっぱり3月ぐらいまでは低温で、そこで苦戦していたところがあったので、特に低温の摩耗で苦戦していたので、どっちからというそちらのケアをしてきているんですけど、そういったケアをしてきたゴムが、この高温下でも比較的耐久性として、ロングレンジであのペースで走れたことは収穫ではあったんですが、やっぱり絶対グリップというところが、ゴムとしての耐久性を狙った部分では、やっぱりグリップが厳しかったというのがあります。それは今後の課題です。

次の富士は、コースのレイアウトとか全然違ってきますので、また作戦を練ってやっていくつもりです。温度も高まってきますので、またご期待ください。