2020 SUPER GT Round 6 Report

【SUPER GT 第6戦 / 鈴鹿】

Hitotsuyama Audi R8 LMSが悲願の初優勝を飾り、
グッドスマイル初音ミクAMGも久しぶりの表彰台を獲得!!

SUPER GT Round 6

開催日 2020年10月24日-25日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 52周
(1周=5,807m)
参加台数 45台
(ヨコハマタイヤ装着車 23台)
SUPER GT 第6戦

有観客試合となって2戦目、とはいえ依然として人数制限があるため、平時と一緒ではないが、スタンドに賑わいを取り戻したSUPER GT。鈴鹿サーキットを舞台にシリーズ第6戦が、ハンデ半減、そしてノーハンデとなるラストの2戦を控え、ウエイトハンデが最も厳しいレースとして覇が競われた。

2組に分けられたGT300の公式予選Q1ではA組の2番手が「TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」の織戸学選手で、B組の2番手は「RUNUP RIVAUX GT-R」で今回がSUPER GTデビューの大滝拓也選手。キャリアはまったく異なるドライバーが上位につけたのを筆頭に、ヨコハマタイヤユーザーは7台がQ1突破に成功する。

続くQ2では小林崇志選手が、松浦孝亮選手とともに走らせる「UPGARAGE NSX GT3」をヨコハマタイヤユーザートップとなる4番手に導き、また「Hitotsuyama Audi R8 LMS」の川端伸太朗選手と近藤翼選手が6番手。「RUNUP RIVAUX GT-R」は青木孝行選手が9番手としていた。なお、「TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は永井宏明選手が15番手に留まったものの、こちらは久々の入賞の期待が込められていた。

GT500ではQ1で「WedsSport ADVAN GR Supra」の宮田莉朋選手がトップにつけ、Q2で国本雄資選手が惜しくも3番手に甘んじたものの、今度こその期待がかかる前回同様のポジションを獲得。「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」は笹原右京選手の8番手から、Q2で武藤英紀選手が6番手へとポジションアップ。しかしながら、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」はヤン・マーデンボロー選手がQ1で13番手に留まり、高星明誠選手にバトンを託することはかなわなかった。

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この週末は久々に雨の心配をせずに済み、やや雲は浮かんでいたものの、爽やかな秋晴れの空の下で決勝レースが競われた。「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手はポジションキープから、そして「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」の武藤選手は、スタートでひとつポジションを上げたところからレースを開始。

だが、2台とも序盤のペースが今ひとつ上がらぬまま、後方から激しく攻め立てられる展開となってしまう。そればかりか「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」は16周目に、「WedsSport ADVAN GR Supra」は20周目に。同じ右フロントのタイヤにトラブルを抱え、緊急ピットインを余儀なくされてしまう。

笹原選手に交代した「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」は2回のピットインを余儀なくされたこともあって、順位を上げられず13位という結果に終わったものの、「WedsSport ADVAN GR Supra」は後半スティントを担当した宮田選手のプッシュによって、やがて「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の高星選手に背後につけるまでに。だが、結果として「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」が8位、「WedsSport ADVAN GR Supra」が9位でゴールすることとなった。

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GT300では期待の一台、「TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」がオープニングラップのシケインで追突され、足回りにダメージを負う不運が。まっすぐ走ることもままならぬ状態ながら、永井選手と織戸選手は意地でマシンをゴールまで導いていた、また、4番手からレースを開始し、そのまま順位を上げてくれることが期待されていた「UPGARAGE NSX GT3」は、マシントラブルでわずか3周にしてリタイア。

これにより、ヨコハマタイヤユーザーのトップに躍り出たのが「Hitotsuyama Audi R8 LMS」の近藤選手。5番手から10周目には、さらにひとつ順位を上げて4番手を走行する。そして19周目には早めのピットストップを行い、川端選手にスイッチするが、それから2周後に発生したS字でのアクシデントにより、セーフティカー(SC)が導入されることに。結果的にベストタイミングでの交代となって、全車ドライバー交代を済ませた30周目には、悲願のトップにも浮上。逆に言えば、SC後にドライバー交代を行なったチームからは、勝負圏は完全に奪われてしまっていた。

川端選手が徐々に逃げていく中、猛烈な存在感をアピールする車両があった。それが「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口信輝選手だった。予選は14番手だったが、片岡龍也選手がじわりじわりと順位を上げ、9番手走行中の18周目にピットイン。そして件のSC効果で5番手に躍り出たばかりか、その後も順位は上がっていく一方。

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タイヤ無交換でロスを最小限にしていた「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」の坂口夏月選手をも36周目に捕らえて、3番手に浮上。さらに2番手争いも繰り広げたが、逆転には0.6秒及ばず。それでも久々の表彰台に谷口選手と片岡選手が上がることとなった。

その間にも難なく逃げ切った「Hitotsuya Audi R8 LMS」が優勝を飾り、川端選手と近藤選手にとっては、嬉しいSUPER GTでの初勝利ともなっていた。「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」の坂口選手と平木湧也選手が4位、そして「T-DASHランボルギーニGT3」の高橋翼選手と山田真之亮選手が予選18番手から6位にまで上り詰め、久々のヨコハマタイヤユーザーが上位で存在感を見せつけた。

DRIVER VOICE

高星明誠 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 8位】
僕たちのウエイトを考えたら、もっと予選をうまくやれたと思うので、そこを反省点としつつ、レースでポイント獲れるように、みんなで力を合わせて頑張りましたが、なかなか思ったようなペースで走ることができなくて、つらいスティントになってしまいました。最終的にポイント獲ることができたので、それは良かったことだなと思っているのですが、まだまだ改善しなければならないポイントがあるので、もっともっと突き詰めて、自分たちを追い込んで、みんなで頑張っていきたいと思います。

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 9位】
僕が担当した、前半スティントはけっこうハイペースなレースで、最初の10周ぐらいは、そのペースに置いていかれてしまって、順位を落としてしまったのですが、自分のスティントの真ん中から後半には同じぐらいのペースで走ることができました。ただ、もう少しでピット入ろう、というところで右のフロントが故障し、勝負権を失ってしまって。後半は違うタイヤで莉朋選手が行って、巻き返して何とかポイント圏内でゴールできました。次戦はもてぎなので、前回のレースは接触してリタイアになってしまったんですが、予選、決勝レースともにパフォーマンスは高かったので、もてぎでいいレースをして、巻き返したいなと思います。

武藤英紀 選手 [Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
スタートを担当して、ウォームアップが良かったので1コーナーで5番手に上げることができましたが、その後はタイヤのライフを考えて、タイヤと対話しながら、相談しながら、徐々にペースを上げていった感じで。ところが、本当に予想していなかった16周目、突然に右フロントタイヤが壊れてしまって、今回は鈴鹿に向けてヨコハマさんも対策を練って、いろいろ開発してくれたし、チームもそれにクルマを合わせてきたんですけど、ちょっと足りなかったのかなという印象です。その後、レース後、今後に向けて濃い話ができたので、ちゃんと方向性を見定めてやっていくための、今日が分岐点になってくれればいいな、と思っています。

川端伸太朗 選手 [Hitotsuyama Audi R8 LMS]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
長かったですね、SUPER GTは3年目ですが、初表彰台が初優勝です。今年、体制がいろいろ変わって、結果がなかなか出そうで出ない、もどかしさもありました。でも今回に関しては運にも恵まれて、結果論かもしれませんが、本当にベストなタイミングでピットインを行うことができましたし、タイヤ交換も早かったし、タイヤも良かったし、最高のクルマに仕上げてくれた、皆さんに本当に感謝です。最後は燃料がギリギリで、ヒヤヒヤしながら走っていたのですが、何とか走りきれてよかったです。

近藤 翼 選手 [Hitotsuyama Audi R8 LMS]

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】
まだ優勝の実感はないのですが、とにかく川端選手がトップでチェッカー受けてくれて嬉しくて、本当にいいクルマを、チームが仕上げてくれて、とても気持ちよく走れましたし、いい週末だったと思います。最初の予定ではもっと前半を引っ張る予定だったので、ずっとタイヤをいたわりながら走っていました。最後の方は少し厳しくなりましたが、何とか川端選手につなぐことができてよかったです。この勢いに乗って、次戦のもてぎでもいいレースをしたいと思います。

谷口信輝 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
ウエイトがあんまり載っていないクルマなので、ここしか狙うところはないって乗り込んできたんですが、やっぱり厳しいなと。予選は僕も片岡もすごくバッチリ決めましたが、14番手というところで、今年は一回も表彰台上がれないなと思ったんですが、レースが始まってみたらSCが珍しく僕らに味方して。だいたい僕ら、SC入ると沈むんですけど、苦労しているから、ちょっとは神様が褒美をくれたのかな。あと数周あったら、もっと面白かったと思います。

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

「Hitotsuyama Audi R8 LMS」は予選でもいい位置につけていて、さらにSCによるラッキーもあって、結果に結びついてよかったと思います。ここまで苦戦が続いていましたが、シーズンの途中から新しい構造を採用して、それが優勝につながったのだと思います。

さらに「グッドスマイル初音ミクAMG」も3位、「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」も4位になって、特に「グッドスマイル初音ミクAMG」は苦戦していましたので、セッティングなどいろいろチームとはコミュニケーションを取らせていただいていまして、今まで苦戦していたところの効果がちょっとでも出たのかな、と思っています。

GT500に関していうと、鈴鹿というのは改めて厳しいコースだな、というのを再認識しました。まず「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」は前回の鈴鹿がトラブルによりフルスティント走れていませんので今回トライした構造との比較が難しいところがあるのですが、その差をよく検証しなければいけないと思っています。「WedsSport ADVAN GR Supra」に関しては、今回かなりペースが良かったことで構造面での課題が新たに出てしまいました。そのあたり、こういった高負荷のサーキットに対して、今後さらに強化していかなくてはならないでしょう。「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」も、全体的にパフォーマンスを発揮できなかったので、今後に向けて耐久性やウォームアップ性という課題への対策をしていきたいと思います。

次戦のもてぎは2週間後ですが、サーキット的にはヨコハマタイヤと相性は悪くないと思いますし、前回の結果を踏まえて対策もして臨んでいきます。