2020 SUPER GT Round 4 Report

【SUPER GT 第4戦 / もてぎ】

Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがヨコハマタイヤとともに待望の表彰台、
JLOCランボルギーニGT3がここまでの苦境から抜け出し準優勝を獲得!!

SUPER GT Round 4

開催日 2020年9月12日-13日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(栃木県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 63周
(1周=4,801m)
参加台数 45台
(ヨコハマタイヤ装着車 23台)
SUPER GT 第4戦

7月半ばの開幕とあって連戦、連戦で来ていたSUPER GTは、早くもシーズン前半戦の締め括りを迎えることとなった。シリーズ第4戦の舞台、ツインリンクもてぎは近年、最終戦の舞台として用いられ、ノーハンデの250kmレースとされてきた。だが今回の上位チームはしっかりウエイトを積んでおり、かつ気候的な条件な違いなど、意外に未知の要素は多い戦いとなった。

2組に分けられて行われたGT300のQ1は、スタート時の気温25度、路面温度29度という、この時期としては低めで、なおかつミストのような小雨に見舞われた。A組からは5台が、そしてB組からは4台が上位8台の中に残り、合わせて9台のヨコハマタイヤユーザーがQ2進出を果たしていた。

中でもQ1を柴田優作選手がA組5番手でクリアしていた「RUNUP RIVAUX GT-R」は、その勢いをパートナーの青木孝行選手も引き継いでQ2でトップとなり、自身10回目11年ぶり、チームにとって初めてのポールポジションを獲得した。2番手も佐藤公哉選手が力走を見せた、松井孝允選手とともにドライブする「HOPPY Porsche」が獲得して、ヨコハマタイヤユーザーがフロントローを独占。そして5番手には小暮卓史選手と元嶋佑弥選手の「JLOCランボルギーニGT3」もつけていた。

GT500では「WedsSport ADVAN GR Supra」が公式練習でトップ、Q1でも宮田莉朋選手がトップで、その勢いをQ2でも保ってくれることが期待されたが、急に勢いを増した雨に足を取られてしまう。Q2に挑んだ車両すべて途中でウェットタイヤへの交換を余儀なくされる中、ラストアタックにピークを合わせたはずの国本雄資選手だったが、90度コーナーで接触があってタイムアップならず。無念の8番手に甘んじた。

逆にQ1でヒヤリとする光景があったのが「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」。笹原右京選手が終盤にコースアウトを喫したが、なんとかQ2進出に成功。武藤英紀選手が7番手につけることとなった。そして「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は、Q1でヤン・マーデンボロー選手があえてウェットタイヤを選ぶ積極的姿勢が裏目に出て15番手に。高星誠明選手とともに、決勝での追い上げが期待された。

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今回も決勝当日は降雨が伝えられ、早朝の青空からスタート直前には暗雲も立ち込めていたが、幸いレース中は最後まで雨は降らず。しかし、気温は27度、路面温度は34度と予選同様、予想外に低めのコンディションとなっていた。

「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手、「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」の武藤選手ともオープニングラップのうちに順位を上げて、まずはそれぞれ5番手、6番手からレースを開始。まさに編隊を組むような格好で、そのまま周回を重ねていった。特に公式練習、予選Q1でも好調だった「WedsSport ADVAN GR Supra」には、Q2の失敗を取り返してくれることが期待されたものの、10周目のV字コーナーで、接触されてコントロールを失ったGT300が、インカットしてコースに戻ってきたのを避けきれず激突。ダメージは大きく、無念のリタイアを喫してしまう。

これにより、セーフティカー(SC)が導入されるとともに、「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」がふたつポジションアップ。リスタート後にもペースの落ちた先行車両を、武藤選手が19周目の1コーナーでとらえて3番手に浮上する。そして25周目に笹原選手に交代。46周目にコース上のデブリを回収するため、2度目のSCランが実施し、3番手で折り返した笹原選手が、前を行く2台との差を詰めたが、逆転するにはあと一歩の決め手を欠き……。それでも粘り強くポジションをキープし、TEAM MUGENとヨコハマタイヤがタッグを組んで4年目にして初めて、表彰台に立つこととなった。

「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」も高星選手は、ウエイトに苦しみ、燃料リストリクターまで絞られているとはいえ、ランキング1位〜2位のGR Supra相手に一歩も引かぬ戦いを繰り広げ、1台をかわしさえしていたが、マーデンボロー選手への交代から間もなく接触があり、フロントにダメージを負ってしまう。しかし、ピットでの長い修復を余儀なくされながらも、しっかり完走は果たすこととなった。

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GT300ではポールスタートの「RUNUP RIVAUX GT-R」が、決勝でも好調。青木選手がレースをリードしていく。最初のSCランで5秒ほどに達したマージンを失うも、リスタート後は再び何事もなかったかのようにマージンを重ねていく。そして32周目に柴田選手と交代。タイヤ無交換に討って出た車両に、「RUNUP RIVAUX GT-R」は4本交換であったことから、トップを明け渡すも、柴田選手は少しも遅れを取らずに続いていく。

終盤になってトップの車両の方がタイムの落ち幅が大きかったことから、最後の最後にワンチャンスあれば逆転も不可能ではないかも……と思われたのも束の間、ラスト4周のV字で「RUNUP RIVAUX GT-R」がまさかのストップ。

これにより、2番手に繰り上がることとなったのは「JLOCランボルギーニGT3」だった。元嶋選手がスタートを担当、ポジションキープではあったが、前を行く集団と離れず周回を重ね、22周目の小暮選手への交代と併せ、後ろ2本だけのタイヤ交換でまずひとつポジションをアップし、36周目にはコース上でもポジションアップに成功。そのまま2位でチェッカーを受け、今シーズンここまでの苦労が報われることとなった。

5位には川端伸太朗選手と近藤翼選手の「Hitotsuyama Audi R8 LMS」が食い込んでフィニッシュ。なんと予選26番手からの追い上げを、見事に実らせていた。

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DRIVER VOICE

武藤英紀 選手 [Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス 3位】
ヨコハマタイヤと組んで4年目になりますが、ポールポジション獲ったり、表彰台まであと一歩のところは何回か経験したりしているんですが、本当にようやく!! 優勝ではないですが、ひとつの形を残せたのは非常に嬉しいし、大きい意味があると感じています。自分たちのペースを崩さないことを心がけ、でも今年に入ってトラブルが何度か出たので、そういうのが頭をよぎったりしましたけど、ヨコハマタイヤさんを信じて、チームもいいクルマを用意してくれたし、とにかくそれに応えたいという一心で走っていました。ここからもっともっと確実に上がっていきたいです。

笹原右京 選手 [Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス 3位】
この週末、始まる前からもてぎはチャンスあるところだと。予選は僕らにとって予想外のコンディションになりましたが、その中でもベストを尽くしたポジションでした。決勝でも武藤さんが素晴らしい走りで、タイヤを労わりつつポジションを上げてくださって、3位でバトンを受け継いだからには、絶対に譲れないという思いで走っていました。チームがちゃんとタイヤを理解してクルマを作ってくれたので、全力プッシュするというより、マシンとタイヤと会話しながら走るという作業でした。ベストを尽くして、みんながミスなく週末を過ごせたので、感謝しています。

高星明誠 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 13位】
今週は予選のミスから始まり、その予選の順位が悪かったことから、スタート直後の混乱にはまっていっちゃった、という悪い流れの連鎖でした。そこはやっぱり自分たちのポテンシャルが足りない、チームとしてのポテンシャルが足りなかったので、ヨコハマタイヤやニスモの人たちにはすごい迷惑をかけてしまいました。そこは改善できるように、もっと話し合わなきゃいけないな、と思っているので、以後こういうことがないよう、レースをちゃんと戦えるようにしていきたいと思います。

元嶋佑弥 選手 [JLOCランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
スタートしてみたら、『あれ、すごくペースに余裕あるぞ』と思って。ブレーキにきついサーキットなので作戦を改めて、『ちょっと後ろで我慢して守るレースやりますよ』って言って、後ろ着いていったら思ったよりもペース良くて、逆に僕はびっくりしたレースでした。小暮さんの時は2本交換だったので、バランス的には厳しい状態だったと思うんですけど、小暮さんのアベレージラップもすごく良くて、後ろから迫られることはないなって、安心して見ていられるレースでした。

小暮卓史 選手 [JLOCランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
交換したのは後ろの2本です。最初のスティント、元嶋選手のタイム見ていても、トップと遜色ないというか、ほぼほぼウチも早い感じで走っていたから、これは調子いいのかなって。もう期待はすごく持てていたんですよ、それで2本だけ交換して。作業もすごくうまくいって、さらに上位に来ることができたので、作戦も良かったんでしょう。タイヤも変な感じはなかったです。今回からBoPで少し軽くなって、その効果もあったかと思います。一回でも表彰台に乗ると、雰囲気もムードも違ってくるので、チームも報われたんじゃないでしょうか。

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」が3位表彰台、なかなか厳しい中でタイヤをいたわっていただいて、雨にならずに済んだこともあり、表彰台に上ってもらえて本当に良かったです。今回は富士の2戦、前回の鈴鹿の反省から対策したものを持ち込んだのですが、クルマの方でも仕上げていただいて、その両方でうまく重なったのかなと思います。

「WedsSport ADVAN GR Supra」はいいところを走っていましたし、公式練習でもトップだったので、本当に不運としか言いようがないですね。決勝でも期待できそうだったのですが、とりあえずドライバーさんに怪我はなく、それは良かったです。「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は残念でしたが、今日のウォームアップではポテンシャルを出せていましたし、予選でタイヤチョイスを失敗してしまいましたけど、それがなければもう少し面白いことになったのかな、という気もします。

ここまでの3戦でいいところは見せつつも、苦戦してしまったところもあるので、そこを加味した対策を、もうすでに考えていますので、次回の富士で結果が出るのが楽しみというか、さらに今回の結果もフィードバックしつつ、今後につなげたいと思っています。

GT300の「RUNUP RIVAUX GT-R」は、我々にはどうしようもないところだったんですが、残念でした、頑張っていてくれたので。GT-R自体が今年どのクルマもポテンシャルが高いので、それに合わせたものになったのかなと思っています。一方、「JLOCランボルギーニGT3」が表彰台に立ったことは、ここまで車体とタイヤをマッチさせられなかったので、チームともミーティングさせていただいて方向性をかなり話し合わせてもらって、持ち込んだ新しい構造がしっかり当たったので、そこは嬉しく思っています。

今回はタイヤのトラブルがなかったので、いい方向に来ているのかなと思っていますし、今回の結果をフィードバックしつつ、この調子を維持、底上げしていきたいと思います。