2020 SUPER GT Round 1 Report

【SUPER GT 第1戦 / 富士】

待望の2020年シーズンがいよいよ開幕、
GT300でマッハ車検GTNET MC86マッハ号が表彰台獲得!!

SUPER GT Round 1

開催日 2020年7月18日-19日
開催場所 富士スピードウェイ
(静岡県)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 66周
(1周=4,563m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 22台)
SUPER GT 第1戦

新型コロナウイルスの影響で大幅にスケジュールが改められた2020年のSUPER GTも、ようやくシーズンの幕が開けることとなった。全8戦での開催は従来どおりながら、うち4戦は富士スピードウェイを舞台とするだけに、今回は普段のレース以上にシリーズの流れを占う一戦となった。また、公式練習を土曜日に行い、予選と決勝は日曜日に行う事実上の1デイレースとされた。

GT300の予選Q1は2組に分けられ、それぞれ上位8台がQ2への進出を許される。前日までの雨が残ったままのA組では、5台のヨコハマタイヤユーザーがQ1突破に成功。しかし、ウェットタイヤで臨んだ「初音ミクグッドスマイルAMG」の片岡龍也選手は、すぐドライタイヤに交換するも機能する前に無情にもチェッカーが振られてしまう。9番手に甘んじ、谷口信輝選手にバトンを託すことは許されなかった。なおB組では路面はほぼ乾いて、ヨコハマタイヤユーザーは3台がQ1を突破した。

続くQ2では「シンティアム・アップル・ロータス」の加藤寛規選手が3番手につけ、ヨコハマタイヤユーザーの最上位に。土曜日の公式練習ではチームに新加入の柳田真孝選手がトップタイムをマークしており、強力コンビの決勝での大暴れに期待がかかった。一方、坂口夏月選手と2年目のタッグを組む平木湧也選手の「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」が5番手につけ、ここまでマザーシャシー勢が好調だ。

そしてGT500では「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」の笹原右京選手がQ1で5番手につけ、武藤英紀選手にバトンタッチ。その結果、8番手から決勝に挑むことに。国本雄資選手と宮田莉朋選手の「WedsSport ADVAN GR Supra」は12番手、高星明誠選手とヤン・マーデンボロー選手は15番手からスタートを切ることとなった。

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決勝は完全なドライコンディションに転じたばかりか、7月らしい強い日差しを受けるまでにコンディションが回復。気温、路面温度ともにレースウィーク一番の高さとなった。無観客での開催とあって、人気のないスタンドには寂しさは隠し得ないが、その思いを跳ね除けるような戦いが展開されていく。

66周で争われる決勝レースで、好スタートを決めたのは「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」の笹原選手。1コーナーへの鋭い飛び込みで6番手に浮上する。だが、100Rでアクシデントが発生して、まもなくセーフティカー(SC)が導入されることに。その一方で、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の高星選手と「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本選手がポジションを入れ替え、12番手、13番手につけることとなる。

SCランは4周にわたり、再開後の笹原選手は7周目に1台の先行を許すも、大きな遅れを取らず。ルーキーらしからぬ冴えた走りで、いずれ順位を上げてくれることを期待させてくれたが、21周目に予定外のピットストップを余儀なくされたばかりか、さらに31周走行したところで再度ピットインを強いられる厳しい展開となり、入賞の権利を失ってしまう。32周走行したところで武藤選手に交代し、次回以降に向けたデータ収集も兼ねて周回を重ねて行った。

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一方、高星選手と国本選手は順位を入れ替えるも、それまでのようにランデブー走行を重ねていく。21周目の「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」の後退で、それぞれ11番手、12番手に浮上。

そして24周目に「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」はマーデンボロー選手に、「WedsSport ADVAN GR Supra」は宮田選手にスイッチ。そのタイミングの妙で宮田選手はやがて10番手に浮上し、マーデンボロー選手も11番手に。さらに、それぞれ48周目、50周目にペースの上がらぬ車両を捕らえたことで、9位、10位でフィニッシュ。貴重なポイントを獲得することとなった。なお、「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」は3周遅れながらも12位で完走を果たしている。

GT300では決勝でも「シンティアム・アップル・ロータス」の加藤選手が、まずはヨコハマタイヤユーザーの最上位となる3番手からレースを開始する。スタート直後のSCラン明けに1台の先行を許すも、大きな遅れを取らずにいたが、10周目にホイールナットの緩みを感じて緊急ピットイン。これで大きく順位を落としてしまった。

代わって最上位となる5番手につけたのは、「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」の平木選手。ミニマムの周回数、21周目に坂口選手に交代するとともにタイヤは無交換。また、25周目から再びSCが導入され、前を行く車両との差を詰めたこともあり、全車がドライバー交代を終えると、坂口選手は3番手に浮上していた。

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2番手の車両にプレッシャーをかける光景も見られたものの、逆に終盤には後続から激しく迫られ、最後は4台でのバトルとなった「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」ながら、坂口選手は鉄壁のガードで逆転を許さず3位でフィニッシュ。これに続く4位となったのは、「リアライズ日産自動車大学校GT-R」だった。それまで繰り広げていた、J.P.デ・オリベイラ選手とポールポジションを奪っていたAMGとのバトルは、まさに死闘というべき凄まじさだった。パートナーの藤波清斗選手も予選9番手から、早々に6番手につけていたことが功を奏す。

そして5位でのゴールは、星野一樹選手と石川京侍選手の「TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R」が獲得。こちらも予選13番手から大きく順位を上げている。また、道上龍選手とジェイク・パーソンズ選手の「Modulo KENWOOD NSX GT3」が8位で、片岡選手と谷口選手の「グッドスマイル初音ミクAMG」も9位でフィニッシュ。それぞれ予選17番手、18番手からのスタートから挽回して貴重なポイントを獲得する結果となった。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN GR Supra]

【今回の成績 : GT500クラス 9位】
予選でタイヤのパフォーマンスを100%出しきれなかったのが惜しまれます。スタートを僕が担当して、タイヤのグリップと相談しながら走っていて。去年は中盤ぐらいからタイヤのドロップが大きかったのですが、今年に関しては中盤以降のドロップはかなり軽減できていて、コンスタントに走ることができました。スティントの後半では、上位を走っているクルマと同じラップタイムで走れていたので、そういった部分では前進を感じましたが、まだ改善しなければいけない部分も。それでも、まだ始まったばかりですし、チームもドライバーも、そしてタイヤもミスなく戦うことができたので、すごくポジティブなレースになりました。

高星明誠 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
自分たちの思ったようなポテンシャルがまだ出ていなくて、まだまだタイヤのポテンシャルもマシンが引き出せていない。というのを感じるので、そこを一定の評価ができるように、マシンのレベルを引き上げなきゃいけないと思うのと、タイヤに関してはライバルに対して改善しなければいけない部分があると思うので、まずはマシン、その次にタイヤという項目で、もっともっと開発していけたらと思っています。

笹原右京 選手 [Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT]

【今回の成績 : GT500クラス 12位】
個人的にはすごくいい予選でした。デビュー戦だったし、Q1突破をこのチームでするというのが第一目標だったので、すごく気持ちよかったです。レースでは僕は初めて履くタイヤだったのですが、スタートでいきなり抜くことができて、ペースもそんなに悪くなくて、安定して走れていたのですが、突然トラブルが立て続けに襲ってきて……。でも今後につながるよう、その後に武藤選手に走ってもらって、いろんなデータが取れたので、なんとか次もまた富士なので、今回の良いところ、悪いところ、しっかり分析して次はもっと行けるようにしたいと思います。

坂口夏月 選手 [マッハ車検GTNET MC86マッハ号]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
めちゃくちゃタフなレースでした。まずはいろんな意味で無事に開催できて、無事に走行できて、天気も良かったし、この環境にすごく感謝しています。タイヤは無交換ですが、よく保ってくれました。誰もまだウエイトを載せていないレースで、表彰台に上がれたのは最高に嬉しいです。去年はウエイトを積んでからバランスが崩れてグラグラしてしまいましたが、今年はタイヤもマシンもパフォーマンスが高いので、このまま維持して、また表彰台に上がりたいと思います。

平木湧也 選手 [マッハ車検GTNET MC86マッハ号]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
昨日の公開練習のタイムでスターティンググリッドが決まるかもしれなかったので、僕たちはドライタイヤを2セット使っちゃったんですよ。そのせいでQ2担当の僕のニュータイヤがなくて(笑)。ただ、Q1で坂口選手が行った時は新品で、トップ3に入っていたのでクルマ的にもタイヤ的にもパフォーマンスが高いのはわかっていたので、自信を持ってレースに挑むことができました。去年と変わったのはタイヤの部分が大きくて、去年のオフシーズンから開発をずっとやってきて、いいタイヤができたから、こういう結果を出すことができたんです。

星野一樹 選手 [TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
全体的には、ものすごくいいレースでした。ただ、謝りたいのは最初のSCの時にスロットルが電気系のトラブルで開かなくなって、後ろが僕を抜けないから迷惑かけちゃったこと。すぐエラーを解除して復活しましたが、申し訳なかったです。走り出しは厳しかったのですが、チームが走るたびクルマを良くしてくれて、レースでも追い上げられ、京侍も5番手まできてくれて、できる限りのことができたと思います。ただ、表彰台乗れなくて、めちゃくちゃ悔しいので、次はもっと頑張ります。タイヤは僕の時、プレッシャーが上がらなくて厳しかったのですが、調整してセカンドスティントは良くなりました。

ENGINEER VOICE

白石貴之 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

この週末、天候変化が著しく、なかなか先を読みづらく予想を外したこともありました。日曜日に関しては土曜日までと比べると、それほど読み辛くはない事を期待しましたが、午後が思いの外、天気が良くて温度が上がりすぎた部分も厳しかったです。

GT300の「マッハ車検GTNET MC86マッハ号」が表彰台、GT-Rの2台が4位、5位につけたことは、テストが少ない中でやったことが成果に結びついたと思っていています。しかし手応えとまではいかず、まだ課題はあると思います。次につなげることが出来ましたが、他の車両でいいところ悪いところに差がついてしまったので、そこは反省点とします。

GT500に関しては、予選まで「Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT」が好調でしたが、決勝では他社さんのタイヤとスープラの組み合わせが速かったので、まだまだヨコハマタイヤとしては力を出せていなかった、というところが多かったです。

ひとつの収穫としては、タイヤのゴムの選択肢としては去年よりも摩耗性能が向上して使えるようになってきていることです。ただし、それだけでは今日のように温度が上がった時にレンジについていけないということもあるので、今後のもっと気温が上がった時の対策を、より掘り込んでいく必要がありそうです。