2019 SUPER GT Round 6 Report

【SUPER GT 第6戦 / オートポリス】

気まぐれな天候が翻弄する中でMcLaren 720Sが準優勝を獲得、
マネパランボルギーニGT3は3位表彰台でランキング2番手に浮上!!

SUPER GT Round 6

開催日 2019年9月7日-8日
開催場所 オートポリス
(大分県)
天候 曇り 一時 雨
路面 ドライ~ウェット~セミウェット
決勝周回数 65周
(1周=4,674m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 24台)
SUPER GT 第6戦

絶えず激しいバトルが繰り広げられるSUPER GTはシリーズも終盤戦に突入し、今年も残るところ3戦となった。迎えた第6戦の舞台は九州のオートポリス、アップダウンの激しいテクニカルコースとして知られている。今大会までは獲得したポイントの2倍に値するウエイトハンデを積むこともあって、ランキング上位陣には厳しい戦いとなることが予想されていた。

相次ぐ台風の接近で心配された週末の天気だが、7日(土)の公式予選は気温26度、路面温度35度と程よいコンディション。上空は雲で覆われたものの、終始ドライコンディションが保たれた状態で、激しいアタック合戦が繰り広げられた。

GT300のQ1は「シンティアム・アップル・ロータス」の加藤寛規選手、「RUNUP RIVAUX GT-R」の青木孝行選手がノーハンデの強みもあって1〜2番手につける好発進に。しかし、Q2ではその2台が出したタイムを、0.4秒近く縮めた「HOPPY 86 MC」の松井孝允選手がトップに浮上。佐藤公哉選手とともに駆るマシンを今季3回目のクラス最前列、そして相性抜群のオートポリスで3年連続ポールポジション獲得となった。

以下、3番手を「D’station Vantage GT3」の藤井誠暢選手とJ.P.デ・オリベイラ選手が、5番手を「エヴァRT初号機X Works GT-R」のショーン・トン選手と道見真也選手が獲得。ノーハンデの強みを遺憾なく発揮することとなった。6番手は「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口信輝選手と片岡龍也選手で、それぞれ今季初の表彰台獲得の期待が込められることに。

GT500では「WedsSport ADVAN LC500」の坪井翔選手が9番手、「MOTUL MUGEN NSX-GT」の武藤英紀選手が11番手でQ1突破ならなかったものの、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は高星明誠選手が6番手につけ、続くQ2でヤン・マーデンボロー選手が3番手にジャンプアップ。ヨコハマタイヤユーザーとしては、今季最上位タイとなる結果をおさめていた。

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8日(日)の決勝はレース中に雨が降り出すという予報の中、まずはドライコンディションからのスタートに。3番手からスタートした「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」は、マーデンボロー選手が序盤から前のクルマに食らいついていく積極的な走りで、12周目に2台を抜いて2番手に浮上する。

さらにトップの背後に迫る勢いで周回を重ねていったが、雨が降り出して30周目を過ぎた頃にはライバルもピットストップを行う展開に。一方で、「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」はコースに留まることを選択したが、この直後にアクシデントが発生し、セーフティカー(SC)が導入される。すでにピットを終えた車両が背後についてしまい、結果的に大きく順位を下げることとなった。

その「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」はSCラン解除となった40周目にピットイン、高星選手に交代する。さらに後半のレースペースを見据えて、タイヤをスリックに交換した。ピットアウト直後は路面の水も多かったことから苦戦するも高星選手は粘りつよく走りきり、最終的に9位でフィニッシュした。

「WedsSport ADVAN LC500」は国本雄資選手がスタートを担当し、序盤は8番手をキープした。途中のピットストップでレインタイヤに交換するが、ピットアウトの際にGT300車両の接触を受け、左側のエアロパーツを傷めてしまう。だが、坪井選手はそれを感じさせない好ペースで周回し、一時は3番手にまで浮上した。しかし、路面が乾いていくにつれてペースが伸び悩み、最終的には8位でゴールした。

「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤選手がスタートを担当し、フォーメーションラップで隊列走行をしていた時に急減速した前のマシンに追突してしまい、左フロントのエアロパーツを損傷してしまう。さらにその追突に対してドライビングスルーペナルティが出され、序盤から後方に下がる展開を余儀なくされる。レース中盤のピットではスリックタイヤを選択して中嶋大祐選手がコースインするが、路面の水量が多く、なかなかペースを上げられないため、49周目に2度目のピットストップを敢行してレインタイヤに切り替える。最終的にはトップから2周遅れの14位でチェッカーを受けた。

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GT300ではポールスタートの「HOPPY 86 MC」を駆る佐藤選手が順当にトップを走るも、後方からの追い上げも激しく、11周目に逆転を許す。佐藤選手はその後4番手に退いた一方で、雨の降り始めとともにペースを上げたのが「グッドスマイル初音ミクAMG」の片岡選手。GT500車両を巧みに利用し、17周目にはトップに躍り出る。これにやがて「D’station Vantage GT3」のオリベイラ選手も続く。

いったんは勢いを弱めた雨は30周目が近くなった頃に再び強くなってきたことから、早めのドライバー交代を「D’station Vantage GT3」が行うも、左リアのタイヤ交換に手間取ってしまう。その後、2回もSCランが相次ぎ、ドライバー交代のタイミングや、タイヤ選択によってポジションにも大きな変動が。

レースが落ち着きを取り戻した時に2番手を走行していたのは、22番手からスタートしていた「マネパランボルギーニGT3」だった。元嶋佑弥選手が序盤の渋滞から抜け出し、さらに小暮卓史選手への早めの交代が功を奏していた格好だ。しかも、トップがペナルティを受けたことから、52周目にはトップにも躍り出る。

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そして2番手には、「McLaren 720S」のアレックス・パロウ選手が浮上。こちらも予選は21番手ながら、ウェットでのパフォーマンスに優れることを武器に、荒聖治選手が少しずつ上げていた順位を、さらに押し上げることとなっていた。勢いに乗るパロウ選手は、57周目にはトップにも浮上。そのまま2台で逃げ切ることが期待されたものの、すでに雨はやんでおり、予想以上に路面の乾きが早かったことから、ドライタイヤを装着していた車両の逆転を、ラスト3周で許してしまう。

それでも「McLaren 720S」が準優勝、そして「マネパランボルギーニGT3」が3位につけ、さらに終盤の巻き返しが著しかった「グッドスマイル初音ミクAMG」も4位でゴール。次戦のSUGOでは、表彰台の独占が今度こそ期待されることとなった。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 8位】
作戦も、ドライでのペースも良かったので、そこでチャンスをつかんで3番手にまで上がることができましたが、ウェットで苦しい展開となってしまいました。後ろとはかなり差があったので、悪くても4位でゴールできるかと思いましたが、1周あたり1秒単位で遅かったので、悔しいレースになってしまいました。ただ、ドライバーもチームもいい仕事をしたので、こういうレースを続けていって、良い結果を残したいです。

高星明誠 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 9位】
正直、あそこでなぜステイアウトをチームが選択したのか、僕には理由が分かりません。僕は入るべきだと思いましたし、状況を考えると失敗ではなかったかと。ピットアウトした時にスリックタイヤを選んだことは間違っていなかったです。ただ、内圧のバランスをアジャストしきれなくて、リアタイヤだけ温まらないという状況が続き、オーバーステアになってしまいました。そこをもうちょっと詰めることができていれば、もっと上位に行けたかもしれません。

荒 聖治 選手 [McLaren 720S]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
ピットストップのタイミングがすごく良く、その時にレインタイヤにした判断が良かった。最後の難しいコンディションでアレックス選手がとても良い走りをしてくれました。マクラーレンは雨の中がいいので、そこでちゃんとタイヤとともにパフォーマンスを出してくれました。まだまだBoP的には厳しいですが、この中でどう戦うか、チームとしっかり考えて、残り2戦も良いレースができればと思っています。

アレックス・パロウ 選手 [McLaren 720S]

【今回の成績 : GT300クラス 2位】
荒選手がドライコンディションで素晴らしい走りを見せて、何台かオーバーテイクして帰ってきてくれました。戦略もすごくうまくいって、セーフティカーが入る前にピットストップを済ませることができました。そこでレインタイヤを選びましたが、すごく機能してくれてポジションを上げられました。クルマのバランスも良かったけれど、終盤になるにつれて状況はかなり厳しくなりました。だけど、僕にとってSUPER GT初表彰台で嬉しいし、この結果はチームにとっても今後、間違いなくポジティブなものとなっていくと思います。

小暮卓史 選手 [マネパランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
これがGT300で2回目の表彰台となります。僕はレインタイヤで行きました。最後に抜かれてしまって、そこは悔しかったのですが、もうちょっと粘りたかったというのはありました。雨がもうちょっと降ってくれたら、全然違っていたと思うし、もしかしたら優勝できたかもしれません。これでシリーズランキングが2番になったので、残り2戦も頑張ります。

元嶋佑弥 選手 [マネパランボルギーニGT3]

【今回の成績 : GT300クラス 3位】
去年のオートポリスは2位で、今年も3位でまた表彰台とは、まさかですけどね。もちろん諦めずにやった結果で、チームの戦略と小暮選手の強いレースで、こうやって表彰台に上がれて嬉しく思います。何より大量ポイントが獲れたのが大きいですね。もてぎは得意なので、そこまでしっかり残ってみせます。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

GT300では表彰台の独占もいけるかと思っていましたが、後ろの方から速いペースで追い上げてくるクルマがあって……、そこは残念でした。今回は公式練習から路面状態の変化が大きく、GT500も含めて厳しいレースも予想していましたが、色々な要素によってレースが荒れ気味になった中でユーザーのみなさんがとてもに頑張ってくれました。ちょっとした判断の違いで優勝できていたかもしれないし、そういう意味では満遍なくいいパフォーマンスを出せたと思います。

GT500では「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」が3番手からスタートして、実力でトップも走ってくれて、今回から投入した新しいタイヤがいいパフォーマンスを発揮していたと思います。今回は要所要所で進歩もいくつか確認できて、タイヤの開発的にはポジティブなことは多かったので悪くないレースだったのではないかと思っています。

次戦のSUGOは2週間後ですが、きっと良いパフォーマンスを発揮できると思っています。GT500もGT300も、みんなが良い結果を出せるように頑張ります。